古志鎌倉ズーム句会(2021年2月14日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
龍太忌や背筋を伸ばす春の山 神谷宣行
蜷ゆくやいつかの道は選ばざる 関根千方
外套や馥郁と男ありにけり 長谷川櫂
山越えて笊売りが来る龍太の忌 木下洋子
山盧まで道遥けしや龍太の忌 喜田りえこ
冬麗のつもりて白し浅間山 長谷川櫂
隆々と龍太の臍や山ざくら 神谷宣行
【入選】
紅梅やえやみの世など知らぬかに 吉田順子
水の音山蘆に春の来てゐたり 木下洋子
みそさざいの声冴え冴えと龍太の忌 仲田寛子
あふみのみたぶたぶ満つる雪解水 園田靖彦
香り立つ後山の春や龍太の忌 西村麒麟
白梅に蕾みたるものみな光 藤原智子
風折れの枝のささくれ鳥の恋 升谷正博
•長谷川櫂選
【特選】
あたたかや人形焼のどの顔も 関根千方
山盧まで道遥けしや龍太の忌 喜田りえこ
水の音山蘆に春の来てゐたり 木下洋子
追へば引く波追ひかけて朝寝かな 曽根崇
手も足もなき一本の挿木かな 関根千方
白梅とともに暮れゆく人のかほ 森永尚子
【入選】
甲斐駒の白く輝く龍太の忌 西村麒麟
さみどりの梅を訪ねん龍太の忌 仲田寛子
ひともじのぐるぐる春は遠からじ 葛西美津子
山越えて笊売りが来る龍太の忌 木下洋子
春昼やはな毛のびゆく鼻の中 森永尚子
競ひ合ふ梅の命や龍太の忌 西村麒麟
雪形の鯉泳ぎ出す龍太の忌 わたなべかよ
筆二本机に置かれ春の暮 喜田りえこ
白梅の奥よりぬつと君来る 藤原智子
春風が春風を呼ぶ龍太の忌 西村麒麟
笛吹川に小鷺来るころ龍太の忌 仲田寛子
銀鼠の夜空となりぬ龍太の忌 金澤道子
狐川奏ではじめし龍太の忌 澤田美那子
龍太忌や畑の中の梅白く 藤原智子
雪嶺は春の白さよ龍太の忌 葛西美津子
龍太百歳松の緑のたくましく 藤英樹
目を覚ます雪の山々龍太の忌 木下洋子
香り立つ後山の春や龍太の忌 西村麒麟
第二句座 (席題:根分け、鱵)
•藤英樹選
【特選】
きらめきの細魚は淡き水の味 西川遊歩
根分けして鉢が三つや古代蓮 喜田りえこ
不意の雨しとど濡れたる菊根分 神谷宣行
株分けや齢忘れて生きんとす 曽根崇
一椀のさよりに夜のまだ浅く 森永尚子
【入選】
清明の風にはなてる根分けかな 川村玲子
遠山に雪まだ白し株分ける 曽根崇
菊根分無口な父と思ひしが 西村麒麟
根分して息深々と吐きにけり 藤原智子
菊根分けしてあとの晩酌美味きこと 澤田美那子
シンビジウム妻の根分けの鉢あまた 神谷宣行
白焼の香りの立ちし細魚かな おほずひろし
根分けする母は大正生まれかな 田中益美
一匹の鱵が釣れていそいそと 田中益美
•長谷川櫂選
【特選】
鰭を立て鱵の頭落としけり 西村麒麟
根分けして隣へ分ける桜草 わたなべかよ
子の釣りし針魚三匹昆布締めに わたなべかよ
家の中まだひんやりと桜かな 藤原智子
【入選】
さいよりの海を刺しゆくしづけさよ イーブン美奈子
すいすいと水の光のさより釣る 葛西美津子
清明の風にほぐして根分けかな 川村玲子
きらめきの細魚は淡き水の味 西川遊歩
根分けして鉢が三つに古代蓮 喜田りえこ
菊根分母から我へ幾鉢ぞ 森永尚子
軍艦の海といへどもさよりかな 藤英樹
暁の海へ散りゆくさより舟 木下洋子
菊根分ベランダをまた狭くする 金澤道子
火にのせてうすき煙のさよりかな 葛西美津子
白焼の香り立ちたる細魚かな おほずひろし
ぱつたりと風止む時や針魚舟 金澤道子