古志仙台ズーム句会(2021年1月24日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
初山河一句を敲き響かせん 上村幸三
左目は鳥に食はれて雪兎 石原夏生
雪まるげ海深く今もねむる子よ 齋藤嘉子
悪太郎なほ生かされて注連飾る 青沼尾燈子
まだ知らぬ吾のあるべし初御空 川辺酸模
【入選】
冷や酒が六腑に染みるどんどかな 石原夏生
どんどの火逃げ出して来た火の粉かな 平尾 福
白鳥や雪の舞ふかにまた数羽 谷村和華子
メンバーの増えて豊かに初句会 及川由美子
田も畑も雪の浄土になり給ふ 阿部けいこ
赤べこの頷くたびに日脚伸ぶ 武藤主明
尻を出し畑にをどる蕪かな 那珂侑子
十年目の初日浴びませ泥天使 長谷川櫂
餅花や座敷童子の鬼ごつこ 平尾 福
振り袖の弁天小僧黙阿弥忌 鈴木伊豆山
・長谷川櫂選
【特選】
冬将軍自分も氷つてしまひけり 平尾 福
水垢離のしぶき凍るや七日堂 武藤主明
藁しべのあと窪みけり凍豆腐 佐伯律子
年越すや餅の粉掃く小帚も 宮本みさ子
合戦の鬼よ亡者よ雪つぶて 上村幸三
佐保姫の難儀なことよ雪を掻く 上村幸三
【入選】
湯気濃ゆきグラタンスープ雪の宿 及川由美子
左目は鳥に食はれて雪兎 石原夏生
冷や酒が六腑に染みるどんどかな 石原夏生
垣根より首を伸ばして花アロエ 那珂侑子
寒流の底を腹ばふ鮃かな 上 俊一
かじかめど誹諧休む暇はなし 辻奈央子
歩くこと夢見て日記始めかな 辻奈央子
除染せし田んぼスケート風が押す 甲田雅子
雪まるげ海深く今もねむる子よ 齋藤嘉子
餅花にまづ大判を吊るしけり 佐伯律子
飴玉をそつとマスクの隙間より 伊藤 寛
悪太郎なほ生かされて注連飾る 青沼尾燈子
炉に二人燠火はぜるを聞きながら 上 俊一
炬燵から見ゆる下枝を目白かな 石原夏生
待春の水輪のあそぶ川面かな 川辺酸模
白鳥や雪の舞ふかにまた数羽 谷村和華子
寒々と骨の鮟鱇吊られけり 川辺酸模
隠岐の島雪の怒濤のその中に 齋藤嘉子
赤べこの頷くたびに日脚伸ぶ 武藤主明
丹田に気を集めゐる海鼠かな 青沼尾燈子
原発の町に売り出す福だるま 甲田雅子
山はもう目覚めてゐるか春隣 那珂侑子
輪飾りに児の貼り付けしどらえもん 甲田雅子
古手紙投じてどんどいよよ燃ゆ 長谷川冬虹
二世に春南相馬の一本松 石川桃瑪
餅花の揺り揺れてゐる天地かな 青沼尾燈子
初句会馴れぬ樏はいて来し 齋藤嘉子
雪折れや芯の紅みづみづし 及川由美子
山眠る薬草吊るす杣の家 阿部けいこ
知らぬ間の古希の身空や小正月 川辺酸模
まだ知らぬ吾のあるべし初御空 川辺酸模
弱法師も足踏ん張つて若菜摘む 石原夏生
厨へと日の回りきし寒卵 石川桃瑪
去年今年夜中踊るや洗濯機 長谷川冬虹
第二句座(席題:鬼やらひ 河豚 ものの芽)
・長谷川冬虹選
【特選】
念入りに我が身に豆をまきにけり 平尾 福
雪の中われもわれもと物芽出づ 齋藤嘉子
この国を明るくせんと木の芽吹く 辻奈央子
主亡き部屋にぱらりと豆を撒く 伊藤 寛
やらはれし鬼を気遣ふ寒さかな 平尾 福
ものの芽や同窓会の謀 川村杳平
【入選】
ものの芽の内なる堅き闘志かな 及川由美子
燐寸の火点せよ河豚の鰭酒へ 川村杳平
どやどやと河豚鍋囲む女衆 佐伯律子
河豚食うて知つたかぶりにものを言ふ 平尾 福
ものの芽のあらにぎやかや音立てて 齋藤嘉子
我家から見ゆる天守や欅の芽 武藤主明
ものの芽の紅殻色に濡れてゐる 佐藤和子
もののめや黒土の罅ひろがりぬ 鈴木伊豆山
・長谷川櫂選
【特選】
燐寸の火点せよ河豚の鰭酒へ 川村杳平
ものの芽のあらにぎやかや音立てて 齋藤嘉子
ものの芽の紅殻色に濡れてゐる 佐藤和子
【入選】
土塊の匂ひうれしきもの芽かな 上村幸三
変異株目がけてぱつと鬼打豆 石川桃瑪
マスクしてコロナやらはん鬼やらひ 長谷川冬虹
雪の中われもわれもと物芽出づ 齋藤嘉子
喜々として鬼となりたる追儺かな 上 俊一
隣より飛んで来たるや追儺豆 武藤主明
主亡き部屋にぱらりと豆を撒く 伊藤 寛
やらはれし鬼を気遣ふ寒さかな 平尾 福
河豚膨れたり水走る箱の中 上村幸三
ものの芽や鉄路に沿へる散歩道 伊藤 寛
河豚喰うて一夜の夢の馬関かな 川辺酸模