古志広島ズーム句会(2021年1月3日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
初暦かしこみかしこみ表紙取る 石塚純子
開戦日桜錨に憧れき 米山瑠衣
初鏡去年の顔は忘れけり ストーン睦美
歳晩や夫よ花道参ろうぞ ももたなおよ
瀬戸内のみかんのやうな初日かな 大場梅子
【入選】
獅子舞ふや獅子の白息太々と 飛岡光枝
犬のことばかりや友の年賀状 ストーン睦美
赤牛をそこここ阿蘇の初景色 神戸秀子
声宿る雪にしたがひ雪下ろし 高橋真樹子
千年を生きたる歌と春を待つ 斉藤真知子
金沢の雪一塊や蕪鮓 長谷川櫂
夢殿を夢より覚ます煤払ひ 菅谷和子
ラグビーのスクラム動くしじまかな 飛岡光枝
羽子板の姫打ち出さん初鼓 大平佳余子
恨み言絡めて大根おろし餅 ストーン睦美
どこまでが本気嘘ん気雪合戦 高橋真樹子
初句会みんなで富士へ登る意気 岡村美紗子
初山河牛の歩みを一歩より 城山邦紀
・長谷川櫂選
【特選】
寒紅を秘めていづこの浜の貝 神戸秀子
雑煮椀鯊の尾頭はみ出しぬ 原京子
よく笑ふ花びら餅の娘たち 大場梅子
氷瀑の中を一滴したたれり 城山邦紀
読み人のひと声に舞ふ歌留多かな 斉藤真知子
初鏡去年の顔は忘れけり ストーン睦美
にこにこと初日出で来よ大八州 石塚純子
オーロラにオリオンみゆる大旦 上松美智子
ペンギンの嘴につららや水の星 米山瑠衣
夢殿を夢より覚ます煤払ひ 菅谷和子
初硯かぐはしき墨なめらかに 菅谷和子
佐保姫はまどろみゐたり花びら餅 神戸秀子
やや濃ゆし磐長姫の花びら餅 神戸秀子
荒海の鰤をひと切れ雑煮椀 斉藤真知子
【入選】
獅子舞ふや獅子の白息太々と 飛岡光枝
終りなき始まりのうた初句会 矢野京子
しづかなる時を編みこみ毛糸編む 夏井通江
犬のことばかりや友の年賀状 ストーン睦美
初暦かしこみかしこみ表紙取る 石塚純子
開戦日桜錨に憧れき 米山瑠衣
寒卵富士の裾野の放し飼ひ 飛岡光枝
手をとほす春着の袖に母の紋 矢野京子
赤牛をそこここ阿蘇の初景色 神戸秀子
新暦贔屓力士に貼り替へて 原京子
一本の新巻鮭のたのもしく 飛岡光枝
昼酒に道を逸れたり絵双六 矢野京子
広島のドームこころに初句会 神戸秀子
おほいなる宝船あり空をゆく 長井亜紀
年玉を渡す子の丈仰ぎつつ ストーン睦美
人と会ふ約束もなし初鏡 斉藤真知子
ラグビーのスクラム動くしじまかな 飛岡光枝
家居してこれぞ正しきお正月 矢野京子
はるばると夫と十年雑煮かな 長井亜紀
寝正月時は金とやこれ如何 ももたなおよ
ウオーキングコースに社初詣 石塚純子
新しき顔つくりけり初鏡 上松美智子
末つ子はいつも腹ぺこ開戦日 米山瑠衣
夫の声大きく元気根深汁 夏井通江
餅ふくる引きも切らずに感染者 ストーン睦美
蓬莱の島にいちりん梅ひらく 大場梅子
初山河牛の歩みを一歩より 城山邦紀
第二句座(席題:月冴ゆる、どんど焼き)
・矢野京子選
【特選】
どんど焼き焼くには惜しき君の文 菅谷和子
どんど焼き二十日の月を焦がしけり 長谷川櫂
とんど焼き平凡な日の美しくあれ 夏井通江
【入選】
どんど果て山の獣や声近く 高橋真樹子
暗き波打寄する彼方月冴ゆる 伊藤靖子
磯どんど海幸彦は煤だらけ ももたなおよ
左義長や身に焚き込めん火の命 米山瑠衣
大どんど万のマスクを投げ入れよ 神戸秀子
男来てまづ尻炙るどんど焼き 石塚純子
武蔵野のはずれこがすやどんど焼き 大平佳余子
・長谷川櫂選
【特選】
左義長や大磯の浜とどろかす 大場梅子
積み上げてわが一生のどんど燃ゆ 城山邦紀
頬染めて眠る子どもやどんど焼 長井亜紀
【入選】
どんど焼きこの一年を穢すまじ 石塚純子
どんど焼き焼くには惜しき君の文 菅谷和子
どんど焼き蜜柑も餅もこんがりと 上松美智子
とんど焼く火群は天へ駆け上る 矢野京子
どんど焼願かけ札は塵と舞ひ 米山瑠衣
胸の子のまなこ痛がるどんどかな 神戸秀子
月冴ゆるダム湖の底に村ありき 米山瑠衣
犬小屋に身じろぎの音月冴ゆる 石塚純子
降る雪にあがる火の粉やどんど焼き 菅谷和子
磯どんど海幸彦は煤だらけ ももたなおよ
左義長や身に焚き込めん火の命 米山瑠衣
少しずつ忘るる母とどんど焼き 高橋真樹子
丈高く積みしむかしよどんど焼き 林弘美
神おはすどんどの櫓青々と 長井亜紀
天辺で達磨の笑ふどんど焼き 大平佳余子
眉凛々し少年たちのどんどかな 大場梅子
武蔵野のはずれこがすやどんど焼き 大平佳余子