古志仙台ズーム句会(2020年12月27日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
行く先を決めかねてゐる冬の蜂 佐伯律子
冬の水吸ふて黒々寒蜆 佐伯律子
赤べこの頷いてゐる年始 那珂侑子
何もせぬことが今年の年用意 辻奈央子
煤逃げて今年納めの句会かな 平尾 福
小春日の鳩になりたる子供かな 武藤主明
【入選】
枯蓮や金釘流の恋の文 服部尚子
大海を泳ぎきつたる真鱈かな 佐伯律子
雪の夜やおもちやの兵隊動き出す 及川由美子
凍蝶や重たき翅をたたみけり 谷村和華子
払ひたる煤も今年を闘へり 辻奈央子
赤ん坊笑へば我も初笑 長谷川櫂
煮含めて吾八十の年用意 鈴木伊豆山
仕事終へ夜が聖夜に切り替はる 森 凛柚
コンビニで買ひしケーキも聖菓かな 森 凛柚
・長谷川櫂選
【特選】
ゆつくりと戻すぜんまい年の暮 阿部けいこ
返信もこれまた酔筆年の暮 伊藤 寛
木も花もひたと沈黙初氷 石川桃瑪
青空の地球にぽつと冬菫 川辺酸模
枯蓮や泥のぬくきに眠りけり 上 俊一
残生に花よあれかし初御空 川辺酸模
老い二人命まぶしむ柚子湯かな 川辺酸模
【入選】
雪催ひ笠を目深に石狐 武藤主明
赤き実を封じ込めたる氷柱かな 長谷川冬虹
松葉蟹前後左右に歩きけり 平尾 福
松島の潮たたふる牡蠣啜る 平尾 福
マスク取り入れ歯外して雪見酒 川村杳平
新しき日課となりぬマスク洗ふ 那珂侑子
凩や振り向きながら去りし猫 金谷 哲
からつ風原発帰還ほど遠く 甲田雅子
餅に海苔醤油のかをる嗚呼日本 石原夏生
赤べこの頷いてゐる年始 那珂侑子
凍み豆腐月の光に吊るしけり 甲田雅子
蝦夷の鮭美男なるぞと贈り来つ 甲田雅子
何もせぬことが今年の年用意 辻奈央子
凍蝶や重たき翅をたたみけり 谷村和華子
塩引を跨ぐこの猫罰あたり 服部尚子
燃料よし保存食よし冬籠り 及川由美子
煮含めて吾八十の年用意 鈴木伊豆山
豊麗線かくれてうれしマスクかな 那珂侑子
第二句座(席題:年忘れ 薺 木菟)
・長谷川冬虹選
【特選】
木菟の子のすでに知恵ある眼かな 森 凛柚
掘り上げて雪の底より薺かな 武藤主明
厨より祖父の声して薺打つ 石川桃瑪
唱へ言無言で唱へ薺打つ 佐藤和子
七草のなづなを笑ふ鈴菜かな 平尾 福
【入選】
せりなづなまた一年を初めけり 長谷川櫂
メモ書きの句作の山や年忘れ 阿部けいこ
孫たちに打つてみせたる薺かな 伊藤 寛
ほうほうと闇に呼ばはる木菟よ 上 俊一
ひつそりと世を捨てしごと年忘れ 辻奈央子
白川郷屋根に賜る薺かな 鈴木伊豆山
木星と土星出会ひぬ年忘れ 上 俊一
それぞれの笑顔を思ふ年忘れ 谷村和華子
・長谷川櫂選
【特選】
孫たちに打つてみせたる薺かな 伊藤 寛
みちのくの水で肥えたる薺かな 辻奈央子
七草のなづなを笑ふ鈴菜かな 平尾 福
きよらかな粥にきらめく薺かな 及川由美子
【入選】
みみづくの鳴くたび闇は深まりぬ 辻奈央子
木菟や眠りはぐれし床のなか 川辺酸模
木兎やほらふき男猟師とは 上村幸三
メモ書きの句作の山や年忘れ 阿部けいこ
木菟の子のすでに知恵ある眼かな 森 凛柚
忘れたきことは忘れず年忘れ 上村幸三
次の世はぺんぺん草か酒呷る 川村杳平
掘り上げて雪の底より薺かな 武藤主明
少年の秘密の森や木菟鳴く 及川由美子
年忘れ傘寿の夫へ大吟醸 佐藤和子
みみづくの首をのばして世に鳴けり 甲田雅子
言いわけのまま酔いつぶれ年忘れ 上村幸三
厨より祖父の声して薺打つ 石川桃瑪
ズーム句会南北縦断年忘れ 長谷川冬虹
ひつそりと世を捨てしごと年忘れ 辻奈央子
何もかも白紙にしたし年忘れ 那珂侑子
恒例の父の説法年忘れ 佐伯律子
年忘れするを忘れてゐたりけり 平尾 福
独酌に年忘れする悪太郎 青沼尾燈子
木菟やまばたくことを忘れけり 谷村和華子
唱へ言無言で唱へ薺打つ 佐藤和子
使者として闇の国より木菟来たり 石川桃瑪
白川郷屋根に賜る薺かな 鈴木伊豆山
木星と土星出会ひぬ年忘れ 上 俊一
囃されて薺打ちたる年男 長谷川冬虹