俳人の正木ゆう子さんと長谷川櫂さんの往復書簡「故郷の肖像 プロローグ」が熊本日日新聞ではじまりました。1月4日に第1回、2月8日に2回目が掲載されています。このあと3月と4月に掲載の予定です。
5月からは長谷川櫂さんの「故郷の肖像」のエッセイの連載がはじまります。
近況から故郷の思い出など、今まであまり知られていないお二人の素顔に触れることができます。是非お読みください。(北側松太)
俳人の正木ゆう子さんと長谷川櫂さんの往復書簡「故郷の肖像 プロローグ」が熊本日日新聞ではじまりました。1月4日に第1回、2月8日に2回目が掲載されています。このあと3月と4月に掲載の予定です。
5月からは長谷川櫂さんの「故郷の肖像」のエッセイの連載がはじまります。
近況から故郷の思い出など、今まであまり知られていないお二人の素顔に触れることができます。是非お読みください。(北側松太)
| 第一句座 | |
| ・矢野京子選 | |
| 【特選】 | |
| 笑ひつつ鮟鱇煮ゆる鍋の中 | 長谷川櫂 |
| ひとひらの風花となり八代逝く | 安藤文 |
| 桝底に春の音する鬼やらひ | 駒木幹正 |
| 君居らぬ北陸の空梅探る | ストーン睦美 |
| 冬椿くづれくづれて有磯海 | 今村榾火 |
| 【入選】 | |
| みどり児は欠伸を一つ花びら餅 | 駒木幹正 |
| 春立ちぬ生きていかねば飯食うて | 夏井通江 |
| 生も死も淡々とゆく去年今年 | 米山瑠衣 |
| 椿なら一重の花をただ一輪 | 長谷川櫂 |
| 母の腹蹴つて胎の子春を待つ | 斉藤真知子 |
| 埋火や能登に朝市きつと立つ | ももたなおよ |
| 馬橇に子と猫を乗せ里帰り | 岡村美沙子 |
| やらはれて紙の鬼面の豆の音 | 矢田民也 |
| 雪に飽き一人も飽きて雪達磨 | 高橋真樹子 |
| 春寒や骨をたのみの八千歩 | 今村榾火 |
| 紅梅と白梅の家隣り合ふ | 加藤裕子 |
| さざ波に夢のちりぢり浮寝鳥 | 斉藤真知子 |
| 大寒を蹴飛ばし学童登校す | 城山邦紀 |
| * | |
| ・長谷川櫂選 | |
| 【特特選】 | |
| みどり児は欠伸を一つ花びら餅 | 駒木幹正 |
| きよらなるものに百寿のひめはじめ | 矢田民也 |
| 一歩でも春を遠くへ杖の母 | 矢野京子 |
| 春寒や骨をたのみの八千歩 | 今村榾火 |
| 逃げ帰る海山もなし能登の鬼 | 神戸秀子 |
| 【特選】 | |
| 風花のひとひらとなれ八代逝く | 安藤文 |
| 初糶やひと月を経て能登の海 | 大場梅子 |
| しみじみと舟唄を聴く寒夜かな | 安藤文 |
| 馬橇に子と猫を乗せ里帰り | 岡村美沙子 |
| はふはふと葛湯吹く母鼻赤し | ももたなおよ |
| 寒造米は無事とや水もあれ | 加藤裕子 |
| * | |
| 【入選】 | |
| 焼け焦げし朝市通り春の月 | 夏井通江 |
| 風花や瓦礫の下に眠る猫 | 大場梅子 |
| 水仙をきれいな水に挿しにけり | 斉藤真知子 |
| 福寿草家族がそろふその日まで | 菅谷和子 |
| 母の腹蹴つて胎の子春を待つ | 斉藤真知子 |
| 抱かれよ倉岳山の花もすぐ | 大場梅子 |
| ほんの少し未来ありけり種を蒔く | 菅谷和子 |
| やらひたき地震や津波や節分会 | 菅谷和子 |
| 熊穴を出づ政変のただなかへ | 菅谷和子 |
| 冬しぐれ君に似合わぬ死装束 | ストーン睦美 |
| 鬼やらひ鬼やらふ身の痛さかな | 城山邦紀 |
| 年の豆やらふべきもの身中に | 矢田民也 |
| 大津絵の鬼の目玉へ豆を打つ | 石塚純子 |
| 広げたる地図を旅する炬燵かな | 矢野京子 |
| 魞を挿すそばから魚影ちらばりぬ | 大平佳余子 |
| 振り向けば香る一枝や梅白し | 城山邦紀 |
| やらはるる鬼のお面に豆の音 | 矢田民也 |
| 桜鯛焼く香草を敷きつめて | 伊藤靖子 |
| 牡蛎鍋へ入れよや菜花芹水菜 | 伊藤靖子 |
| よか芋を呉れしはらから雑煮椀 | 金田伸一 |
| 鬼よりも恐き地震へ豆をまく | 大場梅子 |
| 海苔摘みの老人の舟戻り来る | 斉藤真知子 |
| 流氷の軋みてほかは音もなし | 高橋真樹子 |
| 春立つや瓦礫の山の能登の町 | 安藤文 |
| 日向ぼここのまま君の右側に | 矢野京子 |
| マスクして抗議の声も上げざりき | 石塚純子 |
| さざ波に夢ちりぢりに浮寝鳥 | 斉藤真知子 |
| 気がかりはマフラー持たせざりしこと | 矢野京子 |
| とくとくの雪解しづくや西行忌 | 大場梅子 |
| * | |
| 第二句座(席題:野焼き、春雨) | |
| ・矢野京子選 | |
| 【特選】 | |
| 春雨をためてはこぼす木瓜の花 | 岡村美沙子 |
| ジーンズの爺の集まる野焼かな | 今村榾火 |
| 春雨を薄いコートで駆け抜けん | ストーン睦美 |
| 【入選】 | |
| 貨物車を遠くかぞふる野焼かな | 高橋真樹子 |
| 目を覚ますいのち億万野焼きかな | 石塚純子 |
| 春雨やなほときどきの歯の痛み | 金田伸一 |
| 春雨に濡れて届きぬあなたの訃 | 岡村美沙子 |
| 迂回して野焼きの阿蘇を巡りける | 加藤裕子 |
| 春雨のこの明るさに旅へ出づ | ももたなおよ |
| ドア開けば野火の匂ひや武蔵野線 | 原京子 |
| 草焼くや大カルデラは真つ裸 | 今村榾火 |
| * | |
| ・長谷川櫂選 | |
| 【特選】 | |
| けぶらせて飛鳥大仏野焼かな | 菅谷和子 |
| この橋を渡れば我が家野火の中 | 矢野京子 |
| 草焼くや大カルデラは真つ裸 | 今村榾火 |
| 【入選】 | |
| 群がりて山ひとつ焼く野焼きかな | 上松美智子 |
| 老いたれば畑止めんか野焼の火 | 金田伸一 |
| 春雨のこの明るさに旅へ出づ | ももたなおよ |
| 野を焼いて炎よりきみ戻りける | 高橋真樹子 |
| 大佐渡の空を焦がして野焼かな | 安藤文 |
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
なかなかにあがらぬもよし絵双六 辻奈央子
凍虻のなにか話しに来たりけり 青沼尾燈子
龍神の舌めろめろとどんど焼 武藤主明
雪吊や等分に割る冬の空 佐伯律子
一瞬に瓦礫となりし初景色 武藤主明
【入選】
この星の揺らぎ鎮まれ初神楽 谷村和華子
求愛の鶴のこゑごゑ天に向く 佐藤和子
ストーブへ転校生の手が混じり 臼杵政治
避難所の門口に立つ雪女 三玉一郎
恋わづらひなだめすかして毛糸編む 辻奈央子
また行かな朝市ばあの頬被り 谷村和華子
能登瓦屋根が地べたの雪の上 長谷川櫂
風生と鶯餅の声待たん 上村幸三
ずたずたとなりて笑ひし凍虻よ 青沼尾燈子
古暦まづ引き寄せて抱きしめん 辻奈央子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
寒施行線路を越えて狸来る 平尾 福
朝市の婆頬被りまた行かな 谷村和華子
一椀の底に力や寒蜆 石川桃瑪
煙上げ春を待ちゐる畑かな 平尾 福
一瞬に瓦礫となりぬ初景色 武藤主明
【入選】
鰤起し巨大鯰を起こしけん 齋藤嘉子
母厭ふ吾をやらへや年の豆 川辺酸模
探検家列伝熱し冬籠 及川由美子
旅の宿枕に寄する冬の濤 武藤主明
今宵また気遣ふ能登の寒さかな 平尾 福
子ら帰り淋しからうよ雪達磨 臼杵政治
なかなかにあがらぬもよし絵双六 辻奈央子
種芋の目覚めたしかめ畝立てる 石川桃瑪
病室に残れる母に寒の月 川辺酸模
父の忌も忘れし母や百の春 川辺酸模
紅梅や広く照らせよ能登の地を 辻奈央子
第二句座(席題:鮟鱇、蕪、炬燵)
長谷川冬虹選
【特選】
吊されて鮟鱇の笑み微かなり 川辺酸模
地面から躍り出でたる小蕪かな 齋藤嘉子
鮟鱇は砂の中にて寝正月 平尾 福
鮟鱇は口のみとなり笑ひけり 長谷川櫂
【入選】
掘炬燵ふらふら猫の這ひだせり 武藤主明
不器用に生きて鮟鱇無口なり 三玉一郎
鮟鱇や友の顔してこちら見ん 辻奈央子
鮟鱇やこの国の愚を一呑みに 辻奈央子
鮟鱇や海の底にて出会ひたし 服部尚子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
ふらふらと猫這ひだしぬ掘炬燵 武藤主明
鮟鱇はあらひざらひを食はれけり 上村幸三
真白な乳房のごとき蕪かな 佐伯律子
【入選】
置炬燵北国暮らし四十年 長谷川冬虹
鮟鱇の肝はしつかり等分し 青沼尾燈子
鮟鱇のいのちの重さ吊るしけり 三玉一郎
大地震炬燵の下のいのちかな 三玉一郎
蓋とれば湯気もうもうと鮟鱇鍋 川村杳平
仲買は鮟鱇の口覗き込む 佐藤和子
幸せは粥の中から蕪かな 平尾 福
妻とゐてこの幅がよし掘炬燵 武藤主明
第一句座
当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
でんと置く初湯の尻や活断層 松川まさみ
セーターや先づは首から白鳥に 玉置陽子
余震千回能登一国は地震の上 酒井きよみ
鷹匠に鷹の眼差し初御空 藤倉桂
寒たまご瓦礫の町に光さす 飛岡光枝
鬼柚子をみな墜としたる能登地震 泉早苗
悲しみの底打ち叩く霰かな 越智淳子
冬木の芽いつかほぐれん能登の空 趙栄順
【入選】
待春や光れるものに能登の海 趙栄順
白山は天上の嶮初明り 玉置陽子
短日に瓦礫いくばく片づくや 越智淳子
この国の愚かなる一人初鏡 山本桃潤
地震の地へ雪は辛くも清め塩 密田妖子
男は漁女は朝市能登氷る 酒井きよみ
大加賀は詩のまほろば初句会 玉置陽子
分け入て心の奥へ旅はじめ 安藤久美
薺打つ春の鼓動のはじめなり 稲垣雄二
大地震や供華のごとくに波の花 安藤久美
月凍る家の肋骨頭蓋骨 稲垣雄二
真つ白な雪悲しけり能登半島 山本桃潤
揺れ止まぬ大地に机読始 稲垣雄二
老骨も免れがたく寒に入る 橋詰育子
・長谷川櫂選
【特々選】推敲例
地震ふるや夫を背負ふて初山河 鬼川こまち
春よこい能登一国は地震の上 酒井きよみ
風花や能登の嘆きに夜も舞ふ 稲垣雄二
山を流し海を抉りぬ冬の地震 飛岡光枝
揺れ止まぬ大地に机読始む 稲垣雄二
【特選】
地震つなみ火炎さかまく夢はじめ 鬼川こまち
薺打ち春の鼓動のはじめとや 稲垣雄二
能登揺れて足腰たたぬ二日かな 鬼川こまち
能登崩壊めくれぬままの初暦 泉早苗
悲しみの能登打ち叩く霰かな 越智淳子
黒焦げの街あらはるる二日かな 宮田勝
【入選】
初夢を砕く余震の夜を独り 泉早苗
不明百の活字をたたむ七日かな 川上あきこ
皮だけとなりし母の乳房や寒紅梅 飛岡光枝
白山は天上の嶮初明り 玉置陽子
凍星よ吾も凍星ウオッカ酌む 花井淳
福笹の押し合ふ路面電車かな 田村史生
逃れえぬ揺れや眩暈や三が日 鬼川こまち
短日に瓦礫いくばく片づくや 越智淳子
驚愕の後唖然たり能登は凍つ 清水薫
元日の円居を襲ふ地震無情 密田妖子
つぼみ数ふ友の遺愛の紅椿 間宮伸子
この国の愚かな一人初鏡 山本桃潤
岩海苔を炙るや能登の海の色 玉置陽子
岩出づるまことに寒の真水かな 梅田恵美子
遠巻きに鹿も見てをり大とんど 田村史生
大地震さつさと空へ初鴉 山本桃潤
大地震や海より供華の波の花 安藤久美
寒たまご瓦礫の町へ光さす 飛岡光枝
月凍る家の肋骨頭蓋骨 稲垣雄二
能登地震真つ白な雪悲しかり 山本桃潤
能登揺れて闇に分け合ふ節料理 宮田勝
屠蘇汲むや誰にも告げぬこころざし 藤倉桂
初山河わが足もとは活断層 安藤久美
老骨も免れがたく寒に入る 橋詰育子
第二句座
席題:「手袋」、「かいつぶり」
・鬼川こまち選
【特選】
われを呼ぶ鳰の声とは知らざりき 安藤久美
一対の手袋我になってゆく 川上あきこ
母の忌や母の手袋はめてみる 玉置陽子
ひとの世に影を遺さずかいつぶり 宮田勝
避難所の手袋の手が眠りをり 趙栄順
再会の手袋脱ぐももどかしく 安藤久美
若き日の手袋編みし社宅かな 密田妖子
手袋が飛びついてくる園の前 酒井きよみ
【入選】
流されし巣を又作りかいつぶり 橋詰育子
鳰あそぶさざ波のはて暮れにけり 安藤久美
手袋を掘り出せど人の手はあらず 稲垣雄二
手袋を外し拾へり泥の椀 趙栄順
手袋に欲望の手を隠しけり 長谷川櫂
にほどりや能登へ飛び立つ救援機 花井淳
手袋をしても寒かろ地震の後 近藤沙羅
川底になにを探してかいつむり 清水薫
ストーブに手袋並べ一限目 田村史生
鳰一羽水尾なめらかに立ちて消ゆ 越智淳子
避難所に手袋の束届きたり 宮田勝
手袋をぬぎ合掌す避難びと 泉早苗
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
手袋を掘り出せど人の手はあらず 稲垣雄二
手袋のずらりと干され雑魚寝かな 田村史生
避難者ら手袋をぬぎ合掌す 泉早苗
【入選】
口で剥ぐ凍てし手袋手湯足湯 鬼川こまち
一対の手袋我になってゆく 川上あきこ
何を啼く今宵闇夜のカイツブリ 田中紫春
ちつとも釣れずかいつむり眺めをり 酒井きよみ
避難所の手袋の手が眠りをり 趙栄順
手袋のままの握手の別れかな 藤倉桂
再会の手袋脱ぐももどかしく 安藤久美
若き日の手袋編みし社宅かな 密田妖子
避難所に手袋の束届きたり 宮田勝
手袋に鼻を突つ込む子犬かな 土谷眞理子
| ・年間賞 | ||
| すさまじや枝をそがれし木はわたし | 北海道 | 芳賀匙子 |
| ・次点 | ||
| 一年が瞼を閉じる除夜の鐘 | 東京 | 岡田定 |
| 背景の暮れてゆきけり冬帽子 | 広島 | 森恵美子 |
| 順序などないか柩に残菊に | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
| ・候補 | ||
| 蟷螂や半分枯れて夢ごこち | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| 南瓜切る妻に乙女の力あり | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 夜学の灯ここにこの国救ふ者 | 大分 | 山本桃潤 |
| 大年やいまだ固めず辞世の句 | 長野 | 金田伸一 |
| 竜の玉竜生まれんと今光る | 大阪 | 澤田美那子 |
| 除夜の鐘逝きしあの知者あの賢者 | 長崎 | ももたなおよ |
| 熱燗やまづ故郷の話から | 埼玉 | 佐藤森恵 |
| 一年が瞼を閉じる除夜の鐘 | 東京 | 岡田定 |
| 先生ら箒で払ふ子らの雪 | 富山 | 酒井きよみ |
| 白山の白限りなき初御空 | 石川 | 花井淳 |
| 大年やいまだ固めず辞世の句 | 長野 | 金田伸一 |
| 子等を待つ心のおどる初鏡 | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| 竜の玉竜生まれんと今光る | 大阪 | 澤田美那子 |
| 宝船敷きていよいよ眠られず | 大阪 | 澤田美那子 |
| 枯葎一雨毎に地に帰る | 兵庫 | 吉安とも子 |
| しがみつくこの手いつまで七五三 | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
| 除夜の鐘逝きしあの知者あの賢者 | 長崎 | ももたなおよ |
| 吹き荒れし風の塒か枯蓮 | 長崎 | 川辺酸模 |
| 流氷に乗つてうつかり白熊来 | 大分 | 山本桃潤 |
| 病得てからのいのちや大晦日 | 大分 | 竹中南行 |
| 第一句座 | |
| ・矢野京子選 | |
| 【特選】 | |
| 天と地の愛に生まれし初日かな | 菅谷和子 |
| だんまりの背中合わせの日向ぼこ | 岡村美沙子 |
| 風邪の子へきのふと同じ物語 | 高橋真樹子 |
| 雨と書き地震津波と初日記 | ももたなおよ |
| よかよかですませるなかれ母の春 | 長谷川櫂 |
| 【入選】 | |
| 羽子の音ひとりふたりと嫁ぎゆく | 加藤裕子 |
| 被災地の人々にこそ七日粥 | 加藤裕子 |
| 正月をぶち壊したり震度七 | 安藤文 |
| 頼りなき眉濃く引きて初鏡 | ストーン睦美 |
| どの山の花飛び来しか花びら餅 | 長谷川櫂 |
| 冬昴あつぱれ父の一世紀 | 米山瑠衣 |
| 大島をどうだと威張る爺の春 | 金田伸一 |
| 初御空あと百年を生きる子と | 矢田民也 |
| 窯の火を少し離れて冬の月 | 斉藤真知子 |
| 顔一つ増えて家族で初写真 | 駒木幹正 |
| 我らみな負けてたまるか粥柱 | 大場梅子 |
| ・長谷川櫂選 | |
| 【特特選】 | |
| 人間に渋皮のある初湯かな | ストーン睦美 |
| 出初式済ませもせずに地震の地へ | 神戸秀子 |
| 携帯に顔押し込んで初写真 | 加藤裕子 |
| 【特選】 | |
| 雪吊の松を遺して解れけり | 矢田民也 |
| 雑煮食ふはたと重たき輪島塗 | ももたなおよ |
| いや黒く豆も昆布も節の重 | 大平佳余子 |
| 地揺れて四方八方初鴉 | 安藤文 |
| 書き込みも右往左往や古暦 | 石塚純子 |
| 【入選】 | |
| しみじみと輪島の椀の雑煮かな | 原京子 |
| 風邪の子へきのふと同じ物語 | 高橋真樹子 |
| 年神の何の怒りや大地震 | 斉藤真知子 |
| 初春の日差しを浴びて庭仕事 | 伊藤靖子 |
| ひと言で足りる心や初電話 | 斉藤真知子 |
| 年明けて瑞々しきは人の顔 | 今村榾火 |
| 避難所に赤子を抱きて寒夜かな | 夏井通江 |
| 顔一つ増えて家族で初写真 | 駒木幹正 |
| 佐渡やいま大事ないかと薺打つ | 大場梅子 |
| 第二句座(席題:風邪、初場所) | |
| ・矢野京子選 | |
| 【特選】 | |
| 初場所や国も清めよ塩の華 | 高橋真樹子 |
| 客席に稲穂のかざし初相撲 | 加藤裕子 |
| 日本いま大きな風邪を引いてをり | 安藤文 |
| 【入選】 | |
| 天仰ぐ負けも勝ちなり初相撲 | 城山邦紀 |
| 風邪の赤子抱きて強き母となる | 瑞木綾乃 |
| ふるさとの山をしこ名に初相撲 | 今村榾火 |
| 上気して花の肌(はだえ)や初相撲 | 長谷川櫂 |
| 風邪ひいていつもの医者の仏顔 | 今村榾火 |
| ・長谷川櫂選 | |
| 【特選】 | |
| ふるさとの山をしこ名に初相撲 | 今村榾火 |
| 初場所や富士より高く清め塩 | 斉藤真知子 |
| 初場所や日本中へ清め塩 | ももたなおよ |
| 【入選】 | |
| とりだめのビデオ三昧風邪籠 | 大平佳余子 |
| 風邪薬備へ無敵の女かな | 神戸秀子 |
| 味のせぬ食事がつらし風邪籠り | 安藤文 |
| 落ちぶれて風邪並みとなるコロナかな | 石塚純子 |
| 枕もと横切る猫と風邪ごもり | 矢野京子 |
| 初場所や母がひいきの寺尾の訃 | 岡村美沙子 |
| 風邪と云ふ夫ほどほど大事かな | 高橋真樹子 |
| 風邪気味の夕べうれしき藷の粥 | 金田伸一 |
| 風邪ひいて息子少しは可愛いらし | ストーン睦美 |
| けふの寄席志ん生の風邪治りかけ | 斉藤真知子 |
| 風邪薬われをゆつくり眠らせよ | 城山邦紀 |
| 初場所や髷は結へねど勝ち進み | 斉藤真知子 |
| 初場所や化粧まはしもとりどりに | 矢野京子 |
| 風邪の目のうるんで母に寄りたがる | 夏井通江 |
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
初風や龍の一字を大空へ 臼杵政治
足袋洗ふ一指一指をぴんと張り 谷村和華子
戦争が隣に座りクリスマス 上村幸三
再会はいつも仏事やのつぺ汁 武藤主明
亡き人と向かいあつてゐる柚子湯かな 青沼尾燈子
【入選】
クリスマス寝息の横にそつと置く 臼杵政治
闇汁の中に戦車もミサイルも 長谷川櫂
車座や敷きたる熊の話せむ 臼杵政治
寒昴こよひ揃ひし六姉妹 上 俊一
寒月光死にゆくひとよ手の艶よ 谷村和華子
太陽が氷柱の中をのぼりゆく 三玉一郎
満々の最上の川や炬燵舟 甲田雅子
臍出して指さす真上冬昴 佐伯律子
これからは神に仕へよ親子熊 武藤主明
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
耳遠き母の聞きゐる聖歌かな 佐伯律子
雪兎一夜の雪に埋もれけり 平尾 福
箱の餅跨いで通る台所 平尾 福
はや逝きし人と向き合ふ柚子湯かな 青沼尾燈子
雪掻いて橇の坂道作りけり 服部尚子
【入選】
車座や敷きたる熊の話せむ 臼杵政治
戦争が隣に座るクリスマス 上村幸三
ことこととカレー煮ながら賀状書く 那珂侑子
太陽が氷柱の中をのぼりゆく 三玉一郎
オペ室の冱つる廊下や母を待つ 川辺酸模
さまざまを見し眼を手術冬すみれ 上村幸三
ペン一本あらたまの年迎へたり 青沼尾燈子
風邪の床熱し熱しとレモネード 佐藤和子
雪原を転がつてゆく夕日かな 平尾 福
満々の最上川行く炬燵舟 甲田雅子
仏より神へ大きな鏡餅 宮本みさ子
第二句座 (席題:伊勢海老、除夜、福寿草)
長谷川冬虹選
【特選】
福寿草ちと過ごしたる昼の酒 平尾 福
除夜の酒もう一本は年神と 上村幸三
雪の舞ふ暗き空より除夜の鐘 長谷川櫂
雪国や雪の底より除夜の鐘 長谷川櫂
【入選】
除夜の鐘煩悩一つ捨てそびれ 及川由美子
混浴のいで湯に独り年の夜 上 俊一
伊勢海老は重箱の蓋持ち上げて 青沼尾燈子
大年や父の枕の一升瓶 佐伯律子
除夜の鐘国弔ふにあらねども 長谷川櫂
大年や悪太郎とて闊歩せり 青沼尾燈子
大事さうに父の抱へる福寿草 佐藤和子
伊勢海老や安房の国にて捕へらる 平尾 福
生れし児のあだ名は社長福寿草 甲田雅子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
伊勢海老は今年大漁相馬沖 武藤主明
伊勢海老や重箱の蓋押し上げん 青沼尾燈子
伊勢海老の髭のそよぐや桶の中 及川由美子
福寿草いのちが溶かす山の雪 服部尚子
縁側に父の大事の福寿草 佐藤和子
【入選】
伊勢海老の殻のスープも贅沢に 佐藤和子
伊勢海老に伊万里大皿用意せん 上村幸三
伊勢海老は見るだけにせん車海老 佐伯律子
のけぞつて投げ餅運ぶ除夜の寺 宮本みさ子
よみがへる休耕田に福寿草 武藤主明
この寺の福寿草見に今年また 那珂侑子
煩悩の一つ増えたり除夜の鐘 石川桃瑪