第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
ピカソより画才長けたる福笑 武藤主明
加湿器は優しき言葉吐き続け 森 凛柚
鬼たちをやらひしあとのがらんどう 平尾 福
水仙やふつと力を弛めをり 谷村和華子
雪晴や銀の喇叭を吹くごとく 平尾 福
【入選】
配られし短冊真白初句会 青沼尾燈子
ときどきは猫の声する初句会 平尾 福
水仙を剪りし鋏の冷たさよ 上村幸三
大氷柱ありて氷柱のこどもかな 長谷川櫂
原発の町に並びし福達磨 甲田雅子
新色の紅を買ひたる雪女 平尾 福
葉牡丹や少し過ごしし昼の酒 平尾 福
産声や春の扉を押し開く 齋藤嘉子
大鷺のほわんと白し日向ぼこ 青沼尾燈子
・長谷川櫂選
【特選】
手繰り寄す五人がかりの凧 佐伯律子
憤懣の残骸として枯木立つ 三玉一郎
ずたずたの背骨なだめて春を待つ 川辺酸模
凧みづから糸を切りにけり 三玉一郎
極寒の海はひたすら沈黙す 佐伯律子
【入選】
配られし短冊真白初句会 青沼尾燈子
水仙を剪りし鋏の冷たさよ 上村幸三
雪捨ての車ぎりぎり崖の上 及川由美子
病む夫に野の香七草粥さます 甲田雅子
これでもう賀状仕舞ひと賀状来る 青沼尾燈子
雪晴や銀の喇叭を吹くごとく 平尾 福
梅一輪乾坤かんと響かせて 齋藤嘉子
とぼとぼとけふを愛しむ枯野道 谷村和華子
第二句座 (席題:兎、福寿草、湯たんぽ)
・長谷川冬虹選
【特選】
あぶくまの今日の残雪白うさぎ 甲田雅子
花びらのやうな足あと兎消ゆ 佐藤和子
相応の福を賜る福寿草 平尾 福
【入選】
白兎夢から覚めてまた夢へ 三玉一郎
兎跳ね悲しきときも良きときも 森 凛柚
湯婆抱くちやぽんと海に抱かれて 谷村和華子
雪原に雪の白さの兎かな 川辺酸模
父を看とり母を看とりしたんぽかな 長谷川櫂
大小の湯たんぽ残し子は巣立ち 齋藤嘉子
・長谷川櫂選
【特選】
湯たんぽや大がふたつと小三つ 服部尚子
湯たんぽや波打つたびに眠られず 佐伯律子
湯たんぽのあばらが当たる膝頭 武藤主明
【入選】
湯たんぽやおやすみなさいと手渡され 服部尚子
地震の夜やペットボトルの湯たんぽを 佐藤和子
湯婆抱くちやぽんと海に抱かれて 谷村和華子
足もとの湯たんぽ朝は胸に抱き 上 俊一
一晩ですつからかんや兎小屋 川辺酸模
湯たんぽの石ならべたる囲炉裏端 宮本みさ子
針金をたわめて焼いて兎罠 武藤主明
湯たんぽの火傷の跡の昭和かな 武藤主明
湯たんぽや奥へ奥へと潜りこむ 平尾 福
湯たんぽや蒲団をまづはぬくめたる 齋藤嘉子
大小の湯たんぽ残し子は巣立ち 齋藤嘉子