古志鎌倉句会 2017年12月17日
席題=石蕗の花、年の暮、寒蜆
【特選】
寒鯉や魚籠の底まで月あかり 靖彦
寒鯉や鰓に止どめの枝通す 靖彦
我を待つ小筆大筆年用意 靖彦
闇にみる山河のごとく今年かな 一郎
地吹雪の向こうへつなぐ歌仙かな 一郎
心まで白くなりゆき餅を搗く 一郎
初漁や網に三つ四つ寒蜆 玲子
まぼろしの人も炉辺に桜炭 玲子
括られて眠りにつきぬ白菜は 侑子
仏手柑しばらく囲む我らかな 侑子
人生の大きな秤年の暮 遊歩
花石蕗と同じ日向に瑞泉寺 伸子
大根も日暮れてきたり大根焚 英樹
煮凝のかすかにふるふ会話かな 光枝
水道の水ちょろちょろと寒蜆 益美
せかせかとするが楽しき年の暮 佳余子
鴉も鷺も鴨も遊べり冬の川 ひろし
聖歌隊入れて厳かなるロビー 涼子
黒々と鍋にしづみて寒蜆 美津子
母の忌のあとも十月桜かな 秀子
【入選】
枯蘆の光を風の渡りゆく 美津子
亡き父をしきりと想ふうるめかな 美津子
朽ちゆくかほほけてゆくか日向ぼこ 美津子
牡蠣飯に思はぬひと夜泊りかな 美津子
とほき戦ちかき戦やおでん酒 玲子
天井に樅の木つかえクリスマス 玲子
歴史とは戦の歴史おでん酒 玲子
ババリアの森の香りのクリスマス 玲子
すつかりと裸木となり星の中 康子
朝もやの立ちこめたるや寒蜆 康子
一日中日当る庭や石蕗の花 のぶ子
稲村へのぼりゆく道石蕗の花 のぶ子
ひともとの桜とならん冬ごもり 宣行
カトレアの花芽みつけし冬至かな 宣行
おのろけ豆おとぼけ豆や冬籠 ひろし
あと少し蒲団の中に冬ごもり 涼子
掻き寄せて日の温もりの落葉かな 道子
軒つらら折つては蹴つて登校す 順子
街へ出ることも減りたりちゃんちゃんこ じろ
古暦書き込み見ては焼べてをり 定治郎
鎌倉はいつも日帰り水仙花 秀子
蟷螂は夢を見ながら枯れてをり 伸子
しわしわの心伸ばさん冬至の湯 佳余子
週二回移動スーパー冬日向 益美