ネット投句 2018年12月15日 選句と選評
【特選】
ちらちらと地球の骨の見えて冬 07_福島 渡辺遊太
雨傘の深きにかばふ風邪ごこち 14_神奈川 高橋佳代
@傾けカバふ
天国の母も加勢の年用意 27_大阪 福田弘子
@娘を見かねて
太陽の塔うとうとと冬日向 27_大阪 木下洋子
@冬日向、ダメ。これだとうとうとの説明。
室の花に話すや妻にせしやうに 27_大阪 澤田美那子
抱きとむる命重たし祝箸 27_大阪 齊藤遼風
一生を君に託して祝箸 27_大阪 齊藤遼風
軽やかな茶室の屋根や小六月 27_大阪 福田弘子
うとうとと句に寄りかかる炬燵かな 28_兵庫 藤岡美惠子
@上々
くれなゐを凍らしてゐる莟かな 29_奈良 喜田りえこ
@くれなゐの氷つてゐたる莟かな
武蔵野は恋捨てしとこ冬木立 38_愛媛 豊田喜久子
極月の日に日に青き青菜かな 42_長崎 川辺酸模
@上々
手袋や久しき友と会ふ心地 44_大分 山本桃潤
【入選】
人の世は奈落か島の天の川 04_宮城 長谷川冬虹
はたはたに海の深さを問ふ夕餉 05_秋田 佐藤一郎
@夕餉、不要。
冬夕焼明日があるとは限らざる 07_福島 渡辺遊太
飛行機のゆつくり飛ぶや落葉焚 08_茨城 斉藤慎哉
@飛んで
ラガーらの負けて子牛のごと立てる 11_埼玉 園田靖彦
@ごとく立つ
凍鶴の寂しきままに凍りけり 11_埼玉 上田雅子
帰り花お前は年を越せさうか 12_千葉 若土裕子
ちゃんちゃんこ言いたきことは声出して 12_千葉 池田祥子
@ちやんちやんこ言ひたき
その果てにスカイツリー枯野原 13_東京 安藤文彦
@〜の立つ枯野
歳晩の闇の奥より火の匂ひ 13_東京 岡 恵
底冷えや犬にせがまれ散歩せし 13_東京 外澤桐幹
@する
肖像画掲げし部屋の暖炉かな 13_東京 外澤桐幹
@掛けたる
癌治療終へしばらくは冬籠 13_東京 松宮京生子
@終へてしばらく
冬の雲私の病薬無く 13_東京 長尾貴代
@無し
初めての句集校了街は冬 14_神奈川 伊藤靖子
手術後のリハビリ終はりはや師走 14_神奈川 伊藤靖子
@時間に沿ってタラタラとならないように
枯葉飛ぶ大道芸にわが歓声 14_神奈川 越智淳子
@われ
冬晴や谺のかへりくる早さ 14_神奈川 金澤道子
カーテンに陽の移ろへる風邪籠り 14_神奈川 高橋佳代
@陽は移ろひて
ぬくとさや話をねだる子の毛布 14_神奈川 高橋佳代
雪に澄み雪に汚るるふるさとよ 14_神奈川 三玉一郎
風の音つめたき眼鏡目に戻す 14_神奈川 三玉一郎
@風の音、ダメ。
ストーブのブリ大根の待つ夜かな 14_神奈川 水篠けいこ
@ストーブで
山茶花のこぼれる道をポストまで 14_神奈川 水篠けいこ
寒禽いろいろリコーダーの児に降るも 20_長野 柚木紀子
酒樽に麹沸き立つ霜夜かな 23_愛知 稲垣雄二
老も児も猫も鼠も煤籠 23_愛知 青沼尾燈子
煤逃や此処ぞと走る弁当買ひ 23_愛知 青沼尾燈子
極楽は地獄にちかし竈猫 27_大阪 古味瑳楓
三椏を蒸すや谷間の朝けむり 27_大阪 古味瑳楓
気の急いてなかなか冷めぬ葛湯かな 27_大阪 木下洋子
この星の血潮の如く冬紅葉 27_大阪 澤田美那子
北風や天地にのこる色すこし 28_兵庫 加藤百合子
下駄箱の簀の子の下の落葉かな 28_兵庫 重定克則
生垣の輝くほどの冬日かな 28_兵庫 重定克則
坂下る人の消へゆく濃霧かな 28_兵庫 重定克則
どこまでも一本道の寒さかな 28_兵庫 千堂富子
果てしなき空をにらんで冬の鵙 37_香川 曽根崇
錦鯉のほかはいろなき冬なりけり 38_愛媛 岡崎陽市
仰ぎみてせかいしづまる聖樹かな 38_愛媛 岡崎陽市
花八つ手盛りを誰も気にとめず 38_愛媛 豊田喜久子
初雪や羽毛まるまる烏骨鶏 42_長崎 百田直代
古外套曾祖父さんは大男 44_大分 山本桃潤