古志金沢ズーム句会(2021年2月21日)
第一句座
・鬼川こまち選
【特選】
影奔る雪代山女龍太の忌 酒井きよみ
白鳥帰るつよき意志ある首のべて 近藤沙羅
睦びたる水の疲れや蝌蚪の紐 玉置陽子
痒さふなところより山焼かれをり 田村史生
しくしくと胃の腑も春の愁ひかな 酒井きよみ
テーラーは豆腐に針を祭りけり 間宮伸子
料峭や能登半島は千切れさう 山本桃潤
ひと鍬を入れて芳し春の雲 花井淳
【入選】
春の雪湯の真中に赤ん坊 安藤久美
天体も張りを弛めぬ二月尽 佐々木まき
春の使者となりてつばくら隠岐島 近藤沙羅
春の鹿神様にして寝惚けたる 田村史生
白山の水を一杓根分あと 篠原隆子
薄氷の四角震へる柳の芽 梅田恵美子
蓮根分くれなゐの芽を一つかな 長谷川櫂
恋いろいろ雛の恋にきはまりぬ 長谷川櫂
春光や地上絵を描く耕運機 田中紫春
飛ぶ鳥は光のつぶて二月来る 篠原隆子
春の雪縦横無尽に舞いにけり 高橋慧
原発の村に育ちて海胆を採る 篠原隆子
塩漬けの蕨尽きれば春来る 稲垣雄二
二ン月や老いて鬼の世おもしろき 梅田恵美子
深きより大地揺らして春動く 長谷川櫂
声変はり少し大人になりし冬 山本桃潤
・長谷川櫂選
【特選】
立春やわけても白き越の山 泉早苗
【入選】
亡き人のかばかりの針納めけり 玉置陽子
塩漬けの蕨尽きれば春来る 稲垣雄二
第二句座(席題=風車、春の水)
・鬼川こまち選
【特選】
恐ろしや地獄地蔵のかざぐるま 篠原隆子
水底に何動くらん春の水 泉早苗
千枚田まづ一枚に春の水 稲垣雄二
春の水瑞穂の國の目覚めかな 清水薫
ざぶざぶと洗ふ幸せ春の水 佐々木まき
【入選】
まさをなる空を流るる春の水 長谷川櫂
病む人へ羽七色の風車 篠原隆子
風車売るや丹波路の泥付けて 玉置陽子
そこらまで送りに出でぬ春の水 松川まさみ
房総の沖の明るさ風車 安藤久美
北風を切り裂き行かん風車 稲垣雄二
火種はや影を負ひたり春の水 玉置陽子
風車かの世の空の明かるけれ 篠原隆子
買つて来し父となる日の風車 安藤久美
風車フランス窓の風まねく 泉早苗
大売りだしの日の子供らに風車 酒井きよみ
太陽は虹色の暈春の水 佐々木まき
春の水去りゆく潮のしじまかな 梅田恵美子
・長谷川櫂選
【特選】
千枚田まづ一枚に春の水 稲垣雄二
春の水瑞穂の國の目覚めかな 清水薫
春の水ひかりまぶしや踊り食ひ 鬼川こまち
恐ろしや地獄地蔵のかざぐるま 篠原隆子
一塊の風となりけり風車 趙栄順
【入選】
その人へ羽七色の風車 篠原隆子
風車たくさん回りおそろしき 近藤沙羅
退屈な女の回す風車 趙栄順
風車回りつづけてこはれけり 松川まさみ
流れ去る破れ白菜春の水 花井淳
買つて来し父となる日の風車 安藤久美
こはるるかいよいよ速し風車 梅田恵美子
大売りだしの日の子供らに風車 酒井きよみ
折り紙の回らぬもよし風車 梅田恵美子