古志鎌倉ズーム句会(2020年8月9日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
八月や牛馬絶唱の原野あり 神谷宣行
冬瓜やいまも戦のただ中に 長谷川櫂
しんしんと高し八月十五日 神谷宣行
掃き寄するものの軽さよ今朝の秋 澤田美那子
糸瓜棚風に任せておけば良く 西村麒麟
敗戦忌父つぶやきし杜甫の詩 越智淳子
軍服はかくも丈夫や魂祭 木下洋子
【入選】
やうやくに籐椅子に添ふこの身かな 長井はるみ
昼寝覚ひとりぼつちに戻りけ 吉田順子
あちこちの綻ぶ地球つづれさせ わたなべかよ
けさ空を仰げば夏の墓標あり 長谷川櫂
夏の蝶インパールより続く地に イーブン美奈子
江の島に龍棲む岩屋土用波 金澤道子
一枚の布巻いてサマードレスかな 西川遊歩
敗戦忌ラジオが探す尋ね人 西川遊歩
百姓を退きてさみしき明けの梅雨 園田靖彦
夏の川坊主頭の子どもたち 藤原智子
ひまはりが空へ群れ咲く爆心地 神谷宣行
波乗りは大碧落に呑まれけり 長谷川櫂
くすくすと笑つてゐたる夜の桃 西村麒麟
どの子にも高らかにあれ夏木立 関根千方
茄子漬に辛子たつぷり夜の秋 葛西美津子
踊る人なければ一人踊るなり 森永尚子
•長谷川櫂選
【特選】
やうやくに籐椅子に添ふこの身かな 長井はるみ
八月や牛馬慟哭の原野あり 神谷宣行
一枚の布巻いてサマードレスかな 西川遊歩
しんしんと高し八月十五日 神谷宣行
【入選】
電線を栗鼠の走れり夏の月 金澤道子
夏の蝶インパールより飛び来たる イーブン美奈子
掃き寄するものの軽さよ今朝の秋 澤田美那子
踊る人なければ一人踊るなり 森永尚子
敗戦忌父つぶやきし杜甫の詩 越智淳子
軍服はかくも丈夫や魂祭 木下洋子
第二句座
席題=茶立虫 、生身魂
•藤英樹選
【特選】
弾ひとつ身体に埋づめ生身魂 西川遊歩
弔ひの半生なりき生身魂 園田靖彦
生身魂櫓をこぐ真似をしてゐたり 西村麒麟
夢の底サツサツとゆく茶立虫 おほずひろし
生身魂こころ半分空にあり 藤原智子
茶立虫母と添ひ寝の一夜かな 吉田順子
【入選】
生身魂けふはこの世に戻りゐし 葛西美津子
本の山枕のそばに生身魂 田中益美
茶立虫猫の耳垢ぬぐひをり 関根千方
生身魂山河慟哭の昔あり 長谷川櫂
生身魂となりたる猫や二十才 関根千方
生き抜いて今が幸せ生身魂 吉田順子
猪口一杯召されて機嫌生身魂 葛西美津子
もの言へば言葉詩となる生身魂 西川遊歩
一人居の吾に親しき茶立虫 わたなべかよ
腸をのの字にこする生身魂 関根千方
•長谷川櫂選
【特選】
郎党のほまれこれあり生身魂 園田靖彦
弾ひとつ身体に埋づめ生身魂 西川遊歩
我が庵の自慢なりけり茶立虫 森永尚子
弔ひの半生なりき生身魂 園田靖彦
太閤の閨おどろかす茶立虫 藤英樹
【入選】
生身魂けふはこの世に戻りゐし 葛西美津子
父母を恋ふ日もあらん生御魂 澤田美那子
祀るべき偉業はあらず生身魂 イーブン美奈子
亡き夫は若きままなり生身魂 木下洋子
水漬たる家かさこそと茶立虫 神谷宣行
明け方の部屋ひんやりと茶立虫 神谷宣行
仏壇の大が自慢や生身魂 長井はるみ
夢の底サツサツとゆく茶立虫 おほずひろし
猪口一杯召されて機嫌生身魂 葛西美津子
また誰ぞ起き出してきし茶立虫 イーブン美奈子
一人居の吾に親しき茶立虫 わたなべかよ
腸をのの字にこする生身魂 関根千方
茶立虫母と添ひ寝の一夜かな 吉田順子
六人の姉を送りぬ生身魂 わたなべかよ