日の障子太鼓の如し福寿草 松本たかし
淑気という言葉がある。和やかで清らかな新春の空気をいう。たかしの句、床の間に福寿草の盆が据えてあるのだろうか。日の当たる障子が打てば鳴る太鼓のように張り詰めている。黄金色の花が真っ白な障子に映えて、まさに淑気の句。
日の障子太鼓の如し福寿草 松本たかし
淑気という言葉がある。和やかで清らかな新春の空気をいう。たかしの句、床の間に福寿草の盆が据えてあるのだろうか。日の当たる障子が打てば鳴る太鼓のように張り詰めている。黄金色の花が真っ白な障子に映えて、まさに淑気の句。
七草の粥のあをみやいさぎよき 松瀬青々
春の七草は芹、薺、御形、はこべら、仏の座、すずな、すずしろ。すずなは蕪、すずしろは大根。どれも野山にいち早く訪れた春のかすかなことぶれ。この七草を刻んで投じた七種粥は炊き上がると緑に染まる。初春の野の草の清らかな緑。『鳥の巣』
新しき年の始の初春の今日ふる雪のいや重け吉事 大伴家持
因幡国庁の新年の宴で国守の家持が披露した歌。元日の今日降る雪のように今年いいことがたくさんあるように。この新年を祝福する歌で「万葉集」全二十巻は閉じられる。この終わり方はとてもいい。『万葉集』巻二十
大年の鐘つく僧がひるがへり 高橋鷹史
天下に名鐘はいくつもあるが、京都知恩院の梵鐘は世にも稀な大鐘。年越しの夜、大勢で引き寄せた梁ほどもある撞木に、若い修行僧がわが身を委ねて大鐘に打ち当てる。そうして初めて鐘は海のように深々と鳴りわたる。大年は大晦日のこと。『天女花』
白々と女沈める柚子湯かな 日野草城
衰え果てた冬の太陽は冬至の夜を境に再びよみがえる。その晩、柚子を浮かべた香り高い風呂を浴びて無病息災を願う。今ここの柚子湯に深々と身を沈めているのは一人の女性。明るい光の中に揺らめくこの幸福感は絵にすればマティス。『花氷』