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俳句的生活

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カテゴリーアーカイブ: 「四季」から

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読売新聞「四季」から45

俳句的生活 投稿日:2015年12月18日 作成者: KAI2016年1月1日

葱買て枯木の中を帰りけり  蕪村

 「葱買て」と聞いて白い根深を思い浮かべた人は東国の人だろう。西国の葱は緑の葉の茂る葉葱。蕪村は京に長く住んだので葉葱にちがいない。熱い鍋でも心に描きながら枯れ木の間の道を急ぐ人。手に提げた葱の束の緑がみずみずしい。『蕪村句集』

読売新聞「四季」から44

俳句的生活 投稿日:2015年12月11日 作成者: KAI2015年12月18日

ものゝふの矢並つくろふ籠手の上に霰たばしる那須の篠原  源実朝

鎌倉幕府三代将軍の歌。那須は幕府を支えた坂東武者の拠点の一つ、篠原は狩り場として知られた。箙の矢を揃える武者の籠手に音立てて弾ける霰の玉。この霰のような気風を好む武士の長が鎌倉の将軍だった。『金槐和歌集』

読売新聞「四季」から43

俳句的生活 投稿日:2015年12月2日 作成者: KAI2015年12月11日

何に此師走の市にゆくからす芭蕉

 何でこの忙しい師走の町へ烏は飛んでゆくのだろうか。琵琶湖の南端膳所での吟。烏を詠んでいるようにみえて、芭蕉はここで自分を烏になぞらえた。俗世間を離れた身でありながら、なぜお前は浮世の巷へ出かけてゆくのだという自問。『花摘』

読売新聞「四季」から42

俳句的生活 投稿日:2015年11月17日 作成者: KAI2015年12月2日

憂きことを海月に語る海鼠かな  召波
 
 「憂きこと」といえば恋の悩み。海鼠の君が鱚の乙女にでも恋をしたのだろう。それほど男前でもないから相手にしてもらえない。そこで浮世に長けた海月に苦しい胸の内を明かしているという次第。この句を知れば海鼠の味も深まる。『春泥句集』

読売新聞「四季」から41

俳句的生活 投稿日:2015年11月13日 作成者: KAI2015年11月17日

旅人と我名よばれん初しぐれ  芭蕉

 木の葉が風に舞うように人は旅人になる。ある年の初冬、芭蕉は江戸深川の庵をあとに上方へ向かった。これが紀行文「笈の小文」の大旅行である。その旅立ちの句。翌年夏、明石で折り返し、信州更科の月を見て深川に帰ったのは晩秋だった。『松尾芭蕉集②』

読売新聞「四季」から40

俳句的生活 投稿日:2015年10月22日 作成者: KAI2015年11月17日

かたまりて通る霧あり霧の中 高野素十

 霧の中にはさまざまな幻が住んでいる。素十の句、あたりいちめんに立ちこめる霧の中を、ひときわ濃く白い霧が流れてゆく。白い生きものの一群が霧に隠れて進んでゆくかのようだ。霧とともに現れて霧が晴れると消えてしまう白い幻。『素十全句集』

読売新聞「四季」から39

俳句的生活 投稿日:2015年10月2日 作成者: KAI2015年10月22日

新米もまだ艸の実の匂ひ哉  蕪村

お米も取れたての新米のうちはまだ草の実の匂いがする。なるほど田んぼで大事に育まれる、もとはといえば稲は草、お米は草の実にちがいない。人間も鳥や虫たちと同じように草の実を食べて生きてるんだと思えば何とはなしに愉快。『落日庵句集』

読売新聞「四季」から38

俳句的生活 投稿日:2015年9月16日 作成者: KAI2015年10月2日

白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり  若山牧水

 牧水は生涯に酒をほめる歌をいくつも詠んだ。みんなでぱっとというのも楽しいけれど、これは一人飲む、静かな秋の夜そのもののような酒。二十代半ばの歌だが、すでに堂々たる愛酒家の風格が漂う。『路上』

読売新聞「四季」から37

俳句的生活 投稿日:2015年9月5日 作成者: KAI2015年9月16日

我が声の吹き戻さるゝ野分かな  内藤鳴雪

 台風が巨大な風の渦であることは今でこそ常識だが、昔はどこからとなく吹く得体の知れぬ大風だった。それが野分。自分の口を離れた声が野分の風に押し戻され、後ろへ吹き飛ばされてゆく。声には姿も形もないが、目に見える塊のよう。『鳴雪句集』

読売新聞「四季」から36

俳句的生活 投稿日:2015年8月28日 作成者: KAI2015年9月16日

白を着て娘ざかりや涼新た  岩井英雅

夏の涼しさは立秋を境に新涼へと改まる。娘盛りといえば十六、七歳だろうか。句からは白いシャツやワンピースの似合う溌剌とした姿を想像する。あんなに小さかったのに、いつの間にか、すっかり大人びた娘をまぶしそうに眺める父。『東籬』

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読売新聞「四季」から

良寛の天といふ字や蕨出づ     宇佐美魚目

 良寛は少年に頼まれて凧に「天上大風」と書いた。天上の大風に乗って空高く舞い上がれと願いをこめて。四字とも漢字だが、ひらがなのようにのびのびしている。その自由自在な書体に春、大地から萌え出る早蕨の気配を感じての一句。『秋収冬蔵』

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    『四季のうた 美しい日々』
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    句集『太陽の門』
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    『四季のうた 天女の雪蹴り』
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    大岡信『折々のうた』選 俳句(二)
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    『四季のうた 普段着のこころ』
    中公文庫
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    2019年12月刊行


    大岡信『折々のうた』選 俳句(一)
    長谷川櫂 編
    岩波新書
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    中公新書
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    2019年1月刊行


    『四季のうた 至福の時間』
    中公文庫
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    2018年12月刊行


    『九月』
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    2018年8月刊行


    『Okinawa』
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    俳句 長谷川櫂
    英訳 デイヴィッド・バーレイ&田中喜美代(紫春)
    2018年5月刊行


    『俳句の誕生』(4刷)
    筑摩書房
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    『四季のうた 想像力という翼』
    中公文庫
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    『芭蕉さん』
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    選句解説・長谷川櫂
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    『震災歌集 震災句集』
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    『四季のうた 文字のかなたの声』
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    藤英樹著『長谷川櫂 200句鑑賞』
    花神社
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    『文学部で読む日本国憲法』
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    『日本文学全集12』松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶
    松浦寿輝、辻原登、長谷川櫂選
    河出書房新社
    2,600円+税
    2016年6月刊行


    『四季のうた 微笑む宇宙』
    中公文庫
    700円+税
    2016年3月刊行


    『芭蕉の風雅 あるいは虚と実について』
    筑摩選書
    1,500円+税
    2015年10月刊行


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    青磁社
    1,600円+税
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    『入門 松尾芭蕉』
    長谷川櫂 監修
    別冊宝島
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    『歌仙一滴の宇宙』
    岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
    思潮社
    2000円+税
    2015年2月刊行


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