「短歌往来」(ながらみ書房)12月号に「千年の瀧」10句が載っています。
今年夏、軽井沢の千ヶ滝で詠んだ句です。
「短歌往来」(ながらみ書房)12月号に「千年の瀧」10句が載っています。
今年夏、軽井沢の千ヶ滝で詠んだ句です。
「俳壇」「歌壇」(本阿弥書店)12月号でAI俳句、AI短歌を巡って歌人の坂井修一さんと対談しています。やーおもしろかった。ぜひご一読を。
この問題は「きごさい」の次号(2024年3月出版)でも取り上げます。
「俳句」(角川文化振興財団)9月号の原稿に、3月13日に死去した黒田杏子さん(84)の名誉を著しく毀損する部分がありましたので、KADOKAWA、角川文化振興財団、「俳句」誌編集長に対し、10月23日に抗議文を送付しました。
26日の朝日新聞、新潟日報、山梨日日新聞、熊本日日新聞、福島民報など各紙をごらんください。
デジタル・ニュースはGoogleなどで「角川」「俳句」「抗議」と検索してください。
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
天守より鏑矢ひゆつと秋祭 武藤主明
わが子よりはるかに若し獺祭忌 齋藤嘉子
天上は一気に秋よ鰯雲 上 俊一
業平になりきつてゐる村芝居 那珂侑子
草の穂や鼻寄せあへる犬と犬 及川由美子
【入選】
ぐづぐづと寝屋より出でし龍田姫 青沼尾燈子
地下鉄や夏の終はりの闇の音 長谷川櫂
小鳥来てしきりに妻を呼びにけり 平尾 福
処理水と名を変へ海へ星月夜 武藤主明
名月をへうたんに入れもてなさる 上村幸三
稲刈り機稲の機嫌をこはさずに 宮本みさ子
曼殊沙華鎮守の杜は伐られけり 上 俊一
良い月が出てゐますよと操縦士 平尾 福
秋空に並ぶ二台の車椅子 佐伯律子
・長谷川櫂選(推敲例)
【特々選】
小鳥来てしきりに妻を呼ぶ日かな 平尾 福
稲の香にまみれて昇る棚田かな 武藤主明
よい月が出てゐますよと操縦士 平尾 福
【特選】
わが子よりはるかに若し獺祭忌 齋藤嘉子
離れ住む子の誕生日栗ごはん 長谷川冬虹
鹿垣とおぼしきものが山の中 齋藤嘉子
露けしや鼻寄せあへる犬と犬 及川由美子
【入選】
猫つれて猫戻り来る良夜かな 平尾 福
処理水と名前だけ変へ星月夜 武藤主明
怒るほど心離るる秋の風 青沼尾燈子
新涼のゆるりと香る緑茶かな 阿部けいこ
母に少し用事を頼む敬老日 齋藤嘉子
病む夫の夏の帽子を助手席に 甲田雅子
草取りの進まぬ畑昼の虫 阿部けいこ
第二句座(席題:秋簾、糸瓜水、蚯蚓鳴く)
・長谷川冬虹選
【特選】
蚯蚓鳴く山盧の橋の短かさよ 宮本みさ子
ITの声かも知れず蚯蚓鳴く 平尾 福
干天の慈雨やれやれと蚯蚓鳴く 服部尚子
青空にバーコードのやう秋簾 佐藤和子
【入選】
蓑虫に負けてはならじ蚯蚓鳴く 青沼尾燈子
葱箸で蕎麦をすするや秋簾 武藤主明
効能は祖母の美肌か糸瓜水 及川由美子
若き日の母が使ひし糸瓜水 佐藤和子
おづおづと妻に糸瓜の水渡し 臼杵政治
黒々と原爆ドーム蚯蚓鳴く 三玉一郎
・長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
いつまでも綺麗な女房糸瓜水 平尾 福
裏表色をたがへて秋簾 阿部けいこ
蚯蚓鳴く外に風呂場のありし頃 阿部けいこ
【入選】
使はざる部屋の簾も仕舞ひたり 石川桃瑪
旱天の慈雨やれやれと蚯蚓鳴く 服部尚子
葦抜けてそぞろとなりぬ秋簾 及川由美子
しばらくは残す書斎の秋簾 臼杵政治
寝そびれて声の聞こゆる蚯蚓かな 上 俊一
染みだらけなれど朝晩へちま水 齋藤嘉子
若き日の母が使ひし糸瓜水 佐藤和子
NHK「英雄たちの選択 “奥の細道”への道〜松尾芭蕉 五・七・五の革命〜」がBSプレミアムで再放送されます。
【BSP】2023年10月14日(土)14:00〜14:59
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
炊き上げて大地の色や零余子飯 齋藤嘉子
笑顔のみ思ひ出されて盆の月 及川由美子
原爆忌わたしも愚者のその一人 三玉一郎
会津峰の水をちからの稲の花 宮本みさ子
十一時二分のしじま長崎忌 青沼尾燈子
【入選】
戦争を売り買ひしたる烏ども 青沼尾燈子
旧姓にはつと振り向く盆踊 谷村和華子
百日紅遠き戦地の子らの声 青沼尾燈子
父親によく似た人や踊りの輪 平尾 福
どの家も老いし女や敗戦忌 長谷川櫂
枝豆や酒徒は硬めの茹で加減 石川桃瑪
すべりひゆ地球のどこかいつも飢餓 佐藤和子
・長谷川櫂選
【特々選】
夕暮れて道なほ熱し葉鶏頭 服部尚子
ややの声露の言葉を吐かんとす 齋藤嘉子
いまさらと詫びも通らぬ糸瓜かな 臼杵政治
【特選】
寂莫と火蛾の紋様塵取りに 佐藤和子
広島がしづかに眠る夏帽子 三玉一郎
旧姓にはつと振り向く盆踊 谷村和華子
心平の瞑想の籐寝椅子かな 宮本みさ子
一匹で足りる一夜の虫の声 佐伯律子
冬瓜や妻の寝姿そのままに 齋藤嘉子
湾曲の列島猛々しき残暑 川村杳平
すべりひゆ地球のどこかいつも飢餓 佐藤和子
【入選】
片蔭をはみ出してゐる力士かな 佐伯律子
海風に溺れさうなり秋の蝶 平尾 福
炊き上げて大地の色や零余子飯 齋藤嘉子
弾けたる氷の音や冷し酒 武藤主明
手花火や安らぎこぼる妻の顔 川辺酸模
畑仕事終へて自由な素足かな 阿部けいこ
かなかなや木の根に縋る焼山寺 川辺酸模
孫よりの朝顔のたね開花せり 那珂侑子
白桃の夢のしずくを啜りたり 上村幸三
小さき手に零るる菓子や地蔵盆 臼杵政治
ひもじさを知る人の減り終戦日 阿部けいこ
数多なる魂とびかふ終戦忌 青沼尾燈子
遺影早も決めある輩生身魂 石川桃瑪
笑顔のみ思ひ出されて盆の月 及川由美子
さよならと空に書きおく秋燕 臼杵政治
夫が手の抹茶いただく涼新た 那珂侑子
秋の灯へ広ぐ英世の母の文 宮本みさ子
広島やひとりひとりが爆心地 三玉一郎
原爆忌わたしも愚者のその一人 三玉一郎
盆帰省磐梯山の水真つ先に 宮本みさ子
ケルン積む姫神山の磊磊たり 甲田雅子
盆迎へ山形なまりの母の声 長谷川冬虹
会津峰の水をちからの稲の花 宮本みさ子
墓参り戦死特進古びけり 上 俊一
第二句座(席題:九月、ねこじやらし、鰡)
・長谷川冬虹選
【特選】
一湾を自在に跳ねる鰡たちよ 上 俊一
ランドセル誰のものやらゑのこ草 臼杵政治
寄り道は秘密の始め猫じやらし 及川由美子
しろがねのつぶてつぎつぎ鰡飛べり 齋藤嘉子
【入選】
鯔ばかり狙ふ白髪の漢かな 及川由美子
故郷の川はいまでも鰡飛ぶか 那珂侑子
鰡の子のしきりに跳ぶや竿の先 平尾 福
猫見舞ひ狗尾草を手土産に 及川由美子
だんだんと猫に遊ばれ猫じやらし 臼杵政治
尻尾立て猫出かけ行く九月かな 平尾 福
・長谷川櫂選
【特選】
故郷の川はいまでも鰡飛ぶか 那珂侑子
鰡の子のしきりに跳ぶや竿の先 平尾 福
老犬よ九月の風を見に出でん 青沼尾燈子
尻尾立て猫出かけ行く九月かな 平尾 福
九月来る草ばうばうの吾が庭に 那珂侑子
【入選】
グランドに大声響く九月かな 阿部けいこ
鰡とんで福島の海取り戻せ 甲田雅子
蔵王山雲隆々と九月来る 長谷川冬虹
ねこじやらし二本枯れたり本の上 上村幸三
旅先にワインの試飲九月かな 佐藤和子
鰡跳んで雨雲かかる羽田沖 服部尚子
小名木川堤越えんと鰡飛べり 齋藤嘉子
阿蘇五岳ふたり遊びし九月かな 川辺酸模
えのこぐさ九月はわれの生まれ月 長谷川冬虹
涸れ川に水流れ入る九月かな 服部尚子
仮設跡ゑのころ草の盛りなり 武藤主明
鰡の腹そろばん珠をまさぐりぬ 佐伯律子
投げ直す竿や鰡飛び暮るる海 石川桃瑪
今年また夫の誕生九月くる 甲田雅子
砂浜を軽トラがゆく九月かな 谷村和華子
「祇園祭歳時記」すべてWORDでまとめました。左欄からダウンロードできます。
青木亮人さんによる『太陽の門』の書評が「青磁社通信」第32号(2023年8月)に掲載されています。
金田伸一句集『山幸』、斉藤真知子句集『香水瓶』、南川閏句集『種袋』、平尾福句集『百福』の書評も掲載されています。
ぜひお読み下さい。
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
時々は母に戻らる生身魂 川辺酸模
分蘖の音と田水の沸く音と 齋藤嘉子
見出しだけ走り読みして猛暑かな 上 俊一
手にのせて命つめたき守宮かな 齋藤嘉子
亀の子よ海は向かうと判るのか 上 俊一
【入選】
灼け道を帰還の父よ遠き日よ 甲田雅子
記念樹は空を突きたり花柘榴 及川由美子
半月の白きを衝いて雲の峰 上 俊一
尻に花付けたままなり朝胡瓜 平尾 福
一本の草の涼しき唐津かな 川辺酸模
手花火は帰省の兄のにほひかな 上村幸三
飛魚やジャックナイフの滑空す 武藤主明
昼顔や未来の沖へ汚染水 長谷川櫂
長谷川櫂選
【特選】
地下足袋に藺草からまり昼寝人 齋藤嘉子
母の髪の針刺し今も藍浴衣 佐藤和子
水一本ぶらさげて出る油照 石川桃瑪
黒々と人間つどふ原爆忌 甲田雅子
蝉時雨へと爆弾の落ちゆくも 平尾 福
【入選】
灼け道を帰還の父よ遠き日よ 甲田雅子
時々は母に戻らる生身魂 川辺酸模
ユリノキの夏葉の美しき影を踏む 阿部けいこ
猫の来て茅の輪潜つて行きにけり 平尾 福
こはごはと外を窺ふ暑さかな 平尾 福
涼風や蝙蝠の棲む岩屋より 及川由美子
見出しだけ走り読みして猛暑かな 上 俊一
手にのせて命つめたき守宮かな 齋藤嘉子
心エコー透ける命の涼しさよ 川辺酸模
故郷は山百合高く咲くころよ 甲田雅子
悠々と山百合揺れてゐる故郷 川村杳平
たじろぎぬ重さ大きさ山百合よ 服部尚子
尻に花付けたままなり朝胡瓜 平尾 福
一本の草の涼しき唐津かな 川辺酸模
滝の音からだで聞いてをりにけり 三玉一郎
梅漬ける母の色には及ばざる 武藤主明
死者の霊柱と数へ八月来 及川由美子
いましばしきみのとなりに夕涼み 川辺酸模
父母の魂が呼ぶ帰省かな 三玉一郎
ずぶ濡れで行く青春の大夕立 平尾 福
青春の水辺は遠く草いきれ 石川桃瑪
はるかより龍のごとくに夏怒濤 長谷川冬虹
同窓の友も減りけり田水沸く 川辺酸模
浜えんどう津波禍の魂戻り来ず 甲田雅子
第二句座 (席題:行水、生姜、蝮)
長谷川冬虹選
【特選】
行水のへそが笑つてをりにけり 三玉一郎
枝張つて扇さながら大生姜 長谷川櫂
孫ひ孫次々にふゆる生姜かな 長谷川櫂
【入選】
味噌つけて辛さの旨し新生姜 佐藤和子
蝮酒島の自慢と振る舞はる 谷村和華子
蝮酒未だ貰ひ手見つからず 武藤主明
素麺に気合ひ入れたる生姜かな 平尾 福
蝮酒小屋に秘したる天狗山 及川由美子
セルロイドのひよこ侍らせ行水す 及川由美子
長谷川櫂選
【特選】
晒されて風に鳴りゐる蝮かな 川辺酸模
行水に冷ます頼みのあばら骨 臼杵政治
浮世絵の行水美人老もせず 上村幸三
【入選】
祖母愛用祖父の遺しし蝮酒 齋藤嘉子
みちのくや学費にあてる蝮酒 阿部けいこ
爺は逝き蝮は壜に存へて 上 俊一
蝮酒未だ貰ひ手見つからず 武藤主明
行水の子に桃の葉をぴちやぴちやと 佐藤和子
竹棒に日陰干しする蝮かな 川辺酸模