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俳句は宇宙的な詩

俳句は宇宙的な詩です。
俳句は有季定型といいますが、有季とは季語を入れること。定型とは575のリズムがあることです。
季語とは季節を表す言葉ですが、季節は地球の回転軸が傾いているために地球上に生じる現象です。
このため季語を入れると、俳句に宇宙上の自分の位置を刻印することになります。
また575のリズムは波のリズム、潮の満ち干のリズム、月と太陽のリズム、そして天体の奏でるリズムとの唱和にほかなりません。
有季も定型も単なる約束事ではなく、このような壮大の意味をもっていることを意識すれば、一人一人の俳句についての考え方、その人の俳句自体も変わってくるはずです。

俳句は大きな鐘

俳句は大きな鐘に似ています。
小さなものと思って撞けば小さな句しかできませんが、大きなものと思って撞けば大きな句が生れます。
俳句を作る人の志がいちばん大事です。

俳句はなぜ短いか①蒸し暑さに適応

俳句は世界でもっとも短い定型詩です。
この短い詩がなぜ日本で誕生したのか。
これにはふたつの理由が考えられます。
ひとつは日本の夏が高温多湿でたえがたい暑さであるために、言葉はできるだけ短いものが求められたということが考えられます。
*参考=長谷川櫂『和の思想』中公新書

俳句はなぜ短いか②禅の思想

もうひとつは中国の宋・南宋から伝わった禅の影響が考えられます。
禅は言葉に対してふたつの相反する考え方をもっています。
1)言葉では真理に到達できない。つまり言葉を信用しない。
2)しかし言葉は真理に到達するための有効な手段ではある。
このふたつの考え方が合わさると、言葉は短くなるしかありません。
禅の語録に残されている禅の言葉が短いのはそのためです。
中世以降、禅のこの思想が日本に流れこみ、そのなかから短い俳句が誕生したと考えられます。