【相談】
「子季語」と「傍題」の違いがわりません。
たとえば、きごさい歳時記の「雪」(晩冬)には次の言葉が「子季語」としてあがっています。
六花、雪の花、雪の声、深雪、雪明り、粉雪、細雪、小米雪、餅雪、衾雪、今朝の雪、根雪、積雪、べと雪、雪紐、筒雪、冠雪、雪庇、水雪、雪華、雪片、しまり雪、ざらめ雪、湿雪、雪月夜、雪景色、暮雪、雪国、銀化、雪空、白雪、明の雪、新雪
また「雪女郎」(晩冬)には次の子季語があげてあります。
雪女、雪坊主、雪の精
これらを「傍題」と呼ぶこともあるようですが、子季語と傍題はどう違うのですか。
【回答】
まず季語を季題と呼ぶことがあります。これについては「季語か季題か」の質問にすでに答えました。ご質問の「子季語か傍題か」は「季語か季題か」に対応しているので、まずこの項目をお読みください。
そのうえでご相談についてお答えすると、季語にはその変化形(バリエーション)があります。それを親季語に対して子季語と呼びます。そして季語を季題と呼ぶ場合にはこれらの変化形を主たる季題に対して傍題と呼びます。つまり季語(親季語)→子季語、季題(主たる季題)→傍題となるわけで内容に違いはありません。
「季語か季題か」の項目に書いたとおり、季題という言葉は特殊な呼称であり、一般的には季語と呼びます。そこでその変化形も子季語と呼ぶほうがいいのですが、「季語の傍題」という人もいます。ただ厳密にいえば、これはちょっと変な言い方ということになります。
それよりも問題は何を親季語として立て、何をその子季語とするかです。「雪」の場合は問題ないのですが、「雪女郎」の場合、「雪女」を親季語に立てることも考えられます。これは雪女郎と雪女のどちらが大きな言葉かという問題ですから、その選択は歳時記によって、また時代によって変わる可能性があります。そしてどの言葉を親季語に立てるかで歳時記の編集者の見識とセンスがわかります。