古志鎌倉ズーム句会(2020年6月14日)
第1句座
・藤英樹選
【特選】
惜しむべき百三歳や鱧の旬 麒麟
瓢箪となるも糸瓜となるもよし 千方
幾柱おはす我が家黴の神 尚子
火取虫ときのけ捕へ燃えにけり 宣行
鑑真忌浄衣を濡らす一雫 りえこ
藍一枚ゆたかに裁ちて浴衣かな 櫂
鎌倉や水湧きあがる五月闇 櫂
【入選】
葛桜ほどの静かな心こそ 麒麟
冷やつこ元屋醤油を一しづく 遊歩
天地人金魚玉よりみはるかす 美津子
コロナ禍といふ日常や夕端居 美那子
瓜番に特上瓜のごとき月 靖彦
石斛の一輪香る虚空かな 光枝
籠もる日々金魚に愚痴をこぼしけり 順子
ぎこちなくさして男の日傘かな 道子
ぎんどろの分けても高く涼しさよ 櫂
しばらくは音聞いてゐる夏の雨 智子
夏暖簾くぐれば大将一人かな 益美
二の膳の蓴ぬらりと抗ひぬ かよ
みなづきの水の中からあかんばう かよ
・長谷川櫂選
【◎特選】
心中はうねり机上は青嵐 美津子
【特選】
花茣蓙やしばらく風の子に添ひ寝 道子
惜しむべき百三歳や鱧の旬 麒麟
さばへなす神打ち払ふ一句あれ 遊歩
さざ波にひとつ開くや羊草 光枝
幾柱おはす我が家黴の神 尚子
一匹と見れば三匹はぶの籠 英樹
ほら穴の政子の墓や黴にほふ 順子
守宮啼く人畏れつつ人の家 千方
田草取蛭取る暇ももどかしく 靖彦
【入選】
葛桜ほどの静かな心こそ 麒麟
朝採れの入梅イワシ梅で煮ん 遊歩
冷やつこ元屋醤油を一しづく 遊歩
着崩れていよいよ楽し沖膾 麒麟
すこしずつこの世へ戻る昼寝かな 真知子
還暦のことしは漬けん蝮酒 英樹
雨ざつと土用鰻の日なりけり 麒麟
短夜を駆け抜けてゆく雨の音 美津子
端切もてマスク作るや五月晴 洋子
全句集掴みて戻る裸かな 麒麟
ハンモック寝心地のまだ定まらず 道子
瓢箪となるも糸瓜となるもよし 千方
咲き初むる泰山木や岳父逝く かよ
明易や訴状を束ね訳しゆく 美奈子
語るかに念じゐるかに仏法僧 京子
這ひ出して黒き土塊蟇 光枝
濡れてゐる闇に滲むや蛍の火 遊歩
籠もる日々金魚に愚痴をこぼしけり 順子
見せたくてとりだしてゐる扇かな はるみ
ぎこちなくさして男の日傘かな 道子
疫病にふりまはされてはやも夏至 美那子
猫嗅いで大崩れなり蟻の列 英樹
ぷりぷりと尻を振りたる茄子かな りえこ
蟻の列ソーシヤルデイスタンス何事ぞ 真知子
風の子の今まで居たる円座かな 道子
残されしパセリのやうにここにゐる 京子
薔薇園に薔薇無き五月晴れわたり 美那子
咲き満ちて紫陽花あかりわが窓辺 順子
第2句座(席題=蛞蝓、焼酎、端居)
・藤英樹選
【特選】
なめくぢり世を正さんと湧き出たり 宣行
なめくぢの跡形もなきひかりかな 真知子
舌頭千転なほ定まらず夕端居 靖彦
どつかりと薬缶で出さる芋焼酎 美奈子
なめくぢら銭湯の富士山這ひ登る 光枝
【入選】
端居してあちらも端居してをりぬ 智子
端居してただならぬ日々忘れけり 洋子
泡盛に酔ふや花びらほどけゆく 光枝
蛞蝓や水の命をつぶらかに 千方
現るるも消ゆるも一如なむくぢら 櫂
なめくぢの大宴会を眺めをり 麒麟
・長谷川櫂選
【◎特選】
なめくぢの跡形もなきところかな 真知子
【特選】
端居してあちらも端居してをりぬ 智子
もう少しこの世に居たき端居かな 順子
焼酎や氷からころ躍らせて 靖彦
なめくじをつまむ割り箸そこかしこ 美那子
焼酎や壺の破れを愛でる国 遊歩
【入選】
鎌倉のやぐらを住処なめくぢら 順子
結論は明日でよろし端居かな はるみ
野地蔵の元につどうて蛞蝓 千方
なめくじりこの世で二番目に嫌ひ 京子
島唄は慟哭のうた黍焼酎 宣行
植木鉢底に笑へるなめくぢり 智子
柄杓添へ焼酎の甕届きたる はるみ
膝小僧細くなりけり夕端居 靖彦
焼酎やけふ小鰯の解禁日 京子
焼酎はほどほどにせよ角煮かな 益美
ナメクジを手にのせ走り戻る子よ 益美
夕端居ぶち猫隣にゐて静か かよ
肩触るる立ち飲みいつも芋焼酎 りえこ
よれよれの古き雑誌や夕端居 麒麟