ネット投句(2023年3月15日)選句と選評
【特選】
紀ノ国の四方さんざめく木の芽かな 和歌山 玉置陽子
子よりも先に泣きけり卒業歌 和歌山 玉置陽子
【入選】
踏み分けて犬のひつぱる春の泥 北海道 芳賀匙子
群青の海や流氷あとずさり 北海道 柳一斉
心に花咲かせ続けよ卒業歌 宮城 長谷川冬虹
啓蟄や鍋の蜆もうごきをり 埼玉 佐藤森恵
山ひとつ動くが如く春一番 千葉 春藤かづ子
海底に元寇の船磯遊び 千葉 池田祥子
朝寝してつかぬ間に入る涅槃かな 千葉 麻生十三
遺品みな夢の残骸春霞 東京 神谷宣行
一瞬をよぎる尾羽や燕来る 神奈川 越智淳子
春めくと汝も旅人汽車のなか 神奈川 三浦イシ子
友達の顔知らぬまま卒業す 神奈川 三玉一郎
春寒し書に飽いて汲む寝酒かな 神奈川 藤澤迪夫
歩くたび音のして床あたたかし 神奈川 那珂侑子
鷹化して鳩の飛び立つ建長寺 神奈川 片山ひろし
園児折るかたちいろいろ紙雛 神奈川 片山ひろし
春愁の顔ふたつゆく犬と我 新潟 安藤文
むにやむにやと呪文唱へて春の水 長野 金田伸一
新幹線力の限り芽ぶきけり 岐阜 夏井通江
啓蟄や草地の穴の数知れず 岐阜 古田之子
老猿のしろがねの魂冬襖 岐阜 梅田恵美子
風車じいじも走らされてをり 京都 氷室茉胡
何もかもスマホに尋ね春の風 京都 氷室茉胡
手探りの親でありしが卒園す 大阪 安藤久美
息白く阪神淡路震災忌 大阪 木下洋子
戦争の昔語らん春夕焼 大阪 澤田美那子
花粉症コロナのマスク役立てて 兵庫 天野ミチ
花の句に今日はどつぷり西行忌 兵庫 藤岡美恵子
ポチ逝きてここらあたりか梅花 兵庫 福田光博
春の潮錨泊船の変わる向き 兵庫 髙見正樹
天辺はもう満開の枝垂梅 奈良 きだりえこ
花桃の欠伸している午後三時 奈良 きだりえこ
雛飾り一人で眺めまた仕舞ふ 奈良 中野美津子
故郷に父母おはし日々春彼岸 広島 鈴木榮子
干潟はや島とつながる夕べかな 香川 曽根崇
鶯餅花粉まみれの貌をして 長崎 ももたなおよ
五十の群れ八十の群れ鶴帰る 長崎 ももたなおよ
咲き満ちて白木蓮すでに翳りあり 長崎 川辺酸模
老い先の道のり知らずいぬふぐり 大分 竹中南行