ネット投句(2022年8月31日)選句と選評
・わからない句(伝わらない句)が多い。第三者の目で見直して。
・他人事になっているのでは。
【特選】
がうがうとおのが火を浴び大文字 大阪 安藤久美
傭兵の一人の価秋の風 大阪 山中紅萼
拾ひあげまた元に置く秋団扇 大阪 澤田美那子
星屑にまみれて眠る案山子かな 長崎 川辺酸模
朝顔のひと夜の夢のかたちかな 大分 竹中南行
【入選】
トーチカの砂となる日の秋の風 北海道 村田鈴音
老犬の朝のまどろみ懸巣鳴く 北海道 芳賀匙子
吐いて出す息ここちよし涼新た 北海道 柳一斉
(仙台育英)百年の扉開きて涼新た 宮城 長谷川冬虹
秋の夜やすつと出てきし黒き猫 茨城 袖山富美江
かなかなや今日の一日を絵日記に 埼玉 園田靖彦
新涼の筆跡ちから戻りたる 千葉 若土裕子
虫咥へ猫の出てくる萩の花 千葉 若土裕子
桃好きの亡き母食みおりし流しの前 千葉 春藤かづ子
三反歩命つなぎし稲の花 千葉 麻生十三
朝顔と猫が迎える独居かな 千葉 麻生十三
君逝きて遺書が届きぬ法師蝉 東京 岡田定
母老ひて医者巡りをり秋の雨 東京 長尾貴代
帰省子や厨磨きて帰りゆく 東京 畠山奈於
大阪も少し寂しき秋の水 神奈川 越智淳子
八月の終りこんなにしづかなり 神奈川 三玉一郎
石段の隅から隅を掃きて秋 神奈川 那珂侑子
白山を手枕にして鰯雲 石川 花井淳
過ぎ去りし時が背を押す墓参かな 石川 松川まさみ
潮騒になじまぬ枕夜長かな 石川 密田妖子
つゆ草のやうな顔やなやんま来る 岐阜 夏井通江
鍋に鯊菊花に並べ甘露煮に 愛知 稲垣雄二
夫婦鹿ひとこゑもなく立ち去りぬ 愛知 青沼尾燈子
一輪の桔梗挿して鎮まりぬ 愛知 青沼尾燈子
かなかなや子等にそれぞれ帰る家 京都 諏訪いほり
妙法の火の粉浴びたる我が家かな 京都 氷室茉胡
たのもしや火床を守る玉の汗 大阪 安藤久美
夜の目に入道雲のなお白し 大阪 山中紅萼
久々や手を止めて聞く遠花火 大阪 澤田美那子
鮎下る山端然とあるばかり 大阪 澤田美那子
術後の句芭蕉葉に露わくごとく 兵庫 加藤百合子
新涼に会へて嬉しくなつかしく 兵庫 天野ミチ
恩深き祖母の齢をを超えて秋 兵庫 天野ミチ
手びねりのいびつもの云ふ秋灯下 兵庫 藤岡美恵子
頼もしき防災の日のリュックかな 兵庫 木下洋子
星飛ぶや鑿より出づる阿弥陀仏 奈良 喜田りえこ
ひやひやと身を洗はるる鱸かな 和歌山 玉置陽子
分け入りて蘆刈舟や雲の中 和歌山 玉置陽子
つくつくし慌てふためき鳴き終はる 大分 山本桃潤
わが血にも戦争ひそむ残暑かな 大分 竹中南行