ネット投句(2022年5月15日)選句と選評
・ウクライナ戦争の句あまた。
・ただし「人ごと俳句」はだめです。
【特選】
ウクライナ思へばせめて武具飾らず 石川 松川まさみ
七十余年隻眼で見る春の山 愛知 青沼尾燈子
遥かなる夏へと逝つてしまはれし 京都 佐々木まき
遺されしいのちの句集風薫る 京都 佐々木まき
竹串の播州ぶりや焼穴子 和歌山 玉置陽子
友の訃や昨日は麦を刈りしとか 香川 曾根崇
余生にもささやかな夢茄子植うる 香川 曾根崇
つつましく生きる白シャツ縫ひにけり 長崎 ももたなおよ
【入選】
蕗の葉も余さずたいて御菜かな 北海道 芳賀匙子
そそり立つポプラ一本夏野原 北海道 柳一斉
伊達武者の兜のごとく筍出づ 宮城 長谷川冬虹
はじまりは故郷の駅花の旅 茨城 袖山富美江
一遍の蘇生の清水あづからん 埼玉 園田靖彦
山中にちろちろ音す清水かな 埼玉 園田靖彦
分別す花びら付けしビール缶 千葉 芦野アキミ
柏餅心臓包む脈太し 千葉 宮城治
寝静まる卯の花月夜猫の影 千葉 谷口正人
踏み洗ふ道着の白さ夏来る 千葉 麻生十三
恥づかしや痩せたる手足更衣 千葉 麻生十三
再発も転移もなし更衣 東京 神谷宣行
羅や癌に勝ちたる恋女房 東京 神谷宣行
顔ほどの薔薇に顔近づけぬ 神奈川 越智淳子
花みかんその匂ひこそ道しるべ 神奈川 三浦イシ子
人生の夏切り開く句集かな 神奈川 三玉一郎
一冊の句集の上に夏の雲 神奈川 三玉一郎
起きぬけの一杯の水夏来る 神奈川 松井恭子
牡丹のごと崩れるのならそれも良し 神奈川 中丸佳音
青鷺の二足歩行や思慮深く 神奈川 中丸佳音
うどわらびこごみたらの芽薫る風 富山 酒井きよみ
長崎やゼリーに沈む枇杷ひとつ 石川 花井淳
久々に人の繰り出す街五月 石川 松川まさみ
鳴かせたしひよこのやうな枇杷を手に 石川 松川まさみ
不穏なる飛行機の音夏に入る 長野 大島一馬
青森は妻のふる里林檎咲く 愛知 青沼尾燈子
重機もてうづめる遺体雪の果て 大阪 木村さよみ
畦塗も三日で終り昼の酒 大阪 齊藤遼風
忘れては生きてゆくなり夏立ちて 兵庫 天野ミチ
生まれくる命待つ日や二重虹 兵庫 福田光博
ひかがみの蛭に怯まず田植かな 奈良 喜田りえこ
髪洗ふ子ども失ふそのたびに 奈良 喜田りえこ
あのかどを曲がれば我家花茨 奈良 喜田りえこ
み吉野の奥へ奥へと青嵐 和歌山 玉置陽子
岩陰に煙ひとすぢ海女憩ふ 香川 曾根崇
母の日や母であること母忘れ 長崎 ももたなおよ
温泉の湧く海城下鰈良し 大分 山本桃潤