古志仙台ズーム句会(2024年12月22日)
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
眠りゐる胡桃の中のこどもかな 長谷川櫂
始まりは師走八日のカタカナ文 青沼尾燈子
父に似ず弟にも似ず初鏡 臼杵政治
冬ぬくし隣の席に盲導犬 那珂侑子
【入選】
つんつんと喜んでいる風呂の柚子 甲田雅子
手袋に欲望の手を隠しけり 長谷川櫂
黒々と輪郭のなき鯨かな 三玉一郎
若き日の顔しか知らず賀状書く 齋藤嘉子
大根の機嫌損ねる大根引き 佐伯律子
それぞれの間合で眠る真鴨かな 武藤主明
紅白の鶴折ることも年用意 上村幸三
鍋底の焦げを落として年の果 及川由美子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
我入れて喜んでゐる風呂の柚子 甲田雅子
遠き日の柚子の匂ひの女房かな 平尾 福
鎌倉の谷戸をめぐるや時雨雲 服部尚子
若水を掬びてひかり珠のごと 谷村和華子
大年の湯屋の花やぐ子らの声 川辺酸模
【入選】
小春日やでたらめに鳴く鳩時計 及川由美子
念入りに猫は顔撫で年用意 平尾 福
冬欅オリオンの歌聴いてをり 平尾 福
若き日の顔しか知らず賀状書く 齋藤嘉子
大根の機嫌うかがふ大根引き 佐伯律子
学長の職責重し初日記 長谷川冬虹
初雪や猫には猫の世界あり 服部尚子
木枯しや隣の席に盲導犬 那珂侑子
白菜を立てて包丁入れにけり 宮本みさ子
【第二句座】(席題:煤払ひ、ブロッコリー、若菜摘む)
長谷川冬虹選
【特選】
若菜籠草に浮かせて置きにけり 宮本みさ子
我がために若菜を摘んでくれし人 平尾 福
七草や万葉びととなりて摘む 石川桃瑪
【入選】
この畑に一叢見つけ若菜摘む 佐藤和子
筍もそろそろ出でよ若菜摘む 長谷川櫂
手際よき妻の指図や煤払ひ 川辺酸模
牛に声かけて牛小屋煤払 齋藤嘉子
勇ましき妻の襷や煤払ひ 川辺酸模
また同じ思ひ出ばなし煤払 三玉一郎
若菜籠揃ひたりとぞ妻の声 石川桃瑪
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
去年摘みし若菜の原はいま戦野 服部尚子
妻が手のためつすがめつブロッコリー 青沼尾燈子
煤掃やかつて白蛇のをりし梁 上 俊一
【入選】
図書館の波郷全集煤逃す 長谷川冬虹
角力とるブロッコリーとカリフラワー 長谷川冬虹
竹長く小僧のけぞり煤払ふ 宮本みさ子
煤逃げの真白きベビーベッドかな 谷村和華子
ブロッコリー湯がいて春を待つとせん 平尾 福
若菜籠草に浮かせて置かれあり 宮本みさ子
勇ましき妻の襷や煤払ひ 川辺酸模
煤払ふ父に用意の風呂を焚く 甲田雅子
昨日きし移住の人と若菜摘む 甲田雅子
気がつけば蕾は花にブロッコリー 齋藤嘉子
ブロッコリー小さな山を一つ買ふ 那珂侑子
あをあをと匂へるものにブロッコリー 辻奈央子
煤逃やそのまま一人帰り来ず 上 俊一