古志鎌倉ズーム句会(2020年9月13日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
パソコンを猫が踏み行く良夜かな 西村麒麟
夫にまた恋をしている葡萄かな 森永尚子
つや姫の早稲かぐはしき月の山 西川遊歩
秋風やさらりと乾く浅間山 長谷川櫂
成美なら何を肴に菊の酒 わたなべかよ
【入選】
ドローンきて稲穂の値踏みしておりぬ 升谷正博
藤の実や傘立にまだ母の杖 金澤道子
職退いて帰る近江や今日の月 わたなべかよ
啼きかはすぬえや銀河の白むまで 川村玲子
対馬よし短足寸胴馬肥ゆる 園田靖彦
一箱のずしと十全茄子かな 長谷川櫂
青空をはみ出している紫苑かな 喜田りえこ
孫ひ孫何人ゐるや芋煮会 木下洋子
コスモスや休耕田をさびしうす 澤田美那子
冬瓜や愛されるのも一仕事 喜田りえこ
•長谷川櫂選
【特選】
歌声のひびく風船葛かな おほずひろし
一年の傷み身に染む新酒かな 神谷宣行
指組んで眠れる君へ稲光 葛西美津子
無防備の日々がなつかしねこじやらし 仲田寛子
海へ散る月の光や展宏忌 西村麒麟
【入選】
深々と紺一粒の葡萄かな 藤原智子
藤の実や傘立にまだ母の杖 金澤道子
職退いて帰る近江や今日の月 わたなべかよ
颱風の眼にまばたきの無かりけり 藤英樹
鉢植ゑのオリーブ青き実をあまた 金澤道子
パソコンを猫が踏み行く良夜かな 西村麒麟
宝石のごとき朝日や黒葡萄 神谷宣行
皿に盛る紺や翡翠や秋茄子 わたなべかよ
月の山つや姫の早稲かぐはしき 西川遊歩
秋風や一刀を置く鹿の角 葛西美津子
あきらかに労はられゐる秋思かな 金澤道子
けさ雲は九月となりぬ白く濃く 葛西美津子
手花火の影絵となりて一家族 森永尚子
ふるさとの浅間の麓大花野 吉田順子
忽然と死ぬるしあはせ栗ご飯 川村玲子
十年があつといふ間や青瓢 藤原智子
対馬よし短足寸胴馬肥ゆる 園田靖彦
みなしごの猫を授かる良夜かな 関根千方
展宏忌子持ちの鮎を塩焼きに 西村麒麟
朝顔にはじまる一日花時計 関根千方
歩かねば見えぬ景色よ鰯雲 田中益美
台風をやり過ごしたり草ひばり 木下洋子
この先に立子の墓やこぼれ萩 長井はるみ
孫ひ孫何人ゐるや芋煮会 木下洋子
コスモスや休耕田をさびしうす 澤田美那子
第二句座
(席題= 虫売り、焼帛)
•藤英樹選
【特選】
虫売りの売れ残したる虫の声 升谷正博
焼帛のにほへる肌とまぐはひぬ 森永尚子
島原や間夫は今朝より虫売りに 喜田りえこ
仇討ちや鈴虫売に身を窶し おほずひろし
虫売のたちまち消えてしまひけり おほずひろし
虫売りや虫より籠がうつくしく 川村玲子
【入選】
虫売りや空の虫籠背負ひつつ わたなべかよ
焼帛や老爺はひとり泰然と イーブン美奈子
触れまはる明日わが畑は焼帛と イーブン美奈子
焼しめや遠回りして帰る子ら 木下洋子
虫売りの橋のたもとを縄張りに わたなべかよ
虫売の子にして未だ鳴かせ下手 イーブン美奈子
虫売りは声きかせんと霧を吹く 川村玲子
•長谷川櫂選
【特選】
焼帛や燃ゆる髪守る夜の畑 越智淳子
仇討ちや鈴虫売に身を窶し おほずひろし
焼帛の香りかぐはし天上る 神谷宣行
焼帛や明智が妻の黒髪も 藤英樹
【入選】
虫売りの売れ残りたる虫の声 升谷正博
夜をこめて村中の田を焼帛めん 曽根崇
焼帛のにほへる肌とまぐはひぬ 森永尚子
焼しめの臭ひをまとふ猪撃たれ 西川遊歩
焼帛の煙這ひゆく峡の畑 金澤道子
振分けの荷をそつと置き虫売は 長井はるみ
虫売のまづは明かりを灯しけり 吉田順子
虫売が一服するによき根株 木下洋子
焼帛の煙に巻かれ道祖神 曽根崇
足早き虫売りの顔おそろしき 田中益美
焼しめや遠回りして帰る子ら 木下洋子
虫売りの橋のたもとを縄張りに わたなべかよ
虫売は闇を背負ひて商へる 葛西美津子
虫売や邯鄲ひとつ売れ残り 木下洋子
虫売りや人近づけば霧を吹き 金澤道子
虫売や吉良の邸のうらおもて 藤英樹
虫売りのまづは七色啼いてみせ 園田靖彦
焼帛の染み付く野良着けふも着て 葛西美津子
焼しめの煙たまらず犬猫も わたなべかよ
やきしめや国を守るも大仕事 仲田寛子
虫売りや子ども二人を賑はひに 越智淳子
虫売のたちまち消えてしまひけり おほずひろし
虫売の座る大きな影の中 西村麒麟
草の闇ザクと切り取り虫を売る 神谷宣行
焼帛の煙をまねき杣の道 関根千方
大焼しめの後の大雨祖谷の村 澤田美那子
焼帛の命はじける煙かな 藤原智子
焼帛をはらひ錫杖鳴らし来る 関根千方
虫売りの残りの二匹おまけとす 園田靖彦
虫売りや声聞かせんと揺すれども 川村玲子
虫売りの男よき声買はんかな 森永尚子
虫売りは声きかせんと霧を吹く 川村玲子
虫売りや虫より籠がうつくしく 川村玲子
虫売の小銭の手には売り惜しむ 長井はるみ