古志沖縄句会(2019年11月2,3日)
・11月2日(土)
【特選】
さがり花終の一花の燃え尽きぬ 美津子
遠火事や古酒大甕沈黙す 美津子
塹壕の窪みありけり大花野 桃潤
雁の空を焦がして城燃ゆる 光枝
端然と絶望があり百合白き 一郎
歌声は岩をはなれず沖縄忌 一郎
うつくしき鶲が来たり囮籠 美津子
こんりんざい鳴かぬ囮や籠の中 光枝
紅型に開く花々水澄めり 光枝
【入選】
首里城は真黒の骨と化して秋 美津子
赤き花たづね首里城秋の風 美津子
身に入むや焦土に残る守礼門 酸模
月抱いて月よりしづかがま眠る 一郎
燃え尽きて蟋蟀の闇あるばかり 光枝
赤い花見れば思ほゆ首里の夏 美津子
秋風の吹きすさびけり首里の丘 光枝
一夜明け城なき首里の冷まじや 酸模
囮籠下げて父追ふ日々ありき 酸模
・11月3日(日)
【特選】
長き夜の古酒は孤独深めつつ 桃潤
鷹が見し原初の青や大皿は 桃潤
秋深き三線に乗せ恋の歌 光枝
くば笠を吹き破りし夕立かな 光枝
琉球のはじまりの恋浜千鳥 光枝
海風に破れ破れてくば団扇 光枝
無念なる骨の眠れる花野かな 酸模
三線のいつしか秋の波の音 一郎
あかあかと秋のおはりの仏桑花 真知子
榕樹の気根ぶらりと小春かな 真知子
嘉手納基地横の広場は運動会 真知子
藍を着てしづかに秋を思ひけり 一郎
秋の波越え来てここに神の恋 光枝
初時雨琉球瓦走りゆく 光枝
色鳥の声こぼしたる小皿かな 酸模
陵の骨の煌めく月夜かな 酸模
塹壕に国とは何か秋夕焼 桃潤
【入選】
秋深む鉈で割りては黒砂糖 真知子
がじゆまるの根に抱かれて昼寝かな 美津子
とつくり椰子大徳利に古酒かな 光枝
がじゆまるは岩を噛みゐる月夜かな 美津子
朽ち果てて秋暑の中のサバニかな 酸模
城跡より望む城跡初しぐれ 美津子
厨子の甕芒の風に置かれあり 美津子
幻の琉球を追ふサバニ舟 酸模
イラヨーヘイイラヨーホイと稲を刈る 光枝
青々と芝生広がる基地は秋 酸模
三日月の今宵玲瓏首里の城 美津子
一村の家々しづか秋の昼 真知子
混沌のアジアの街や花苦菜 酸模
どこまでが米軍基地か秋の晴 真知子
月光に甘蔗の花のさやぐかな 酸模
冷え冷えと月に眠れる陵墓かな 酸模