古志鎌倉句会(2019年6月9日)
席題=起し絵、クロール
*特選◎
青々と平家の霊や立版古 麒麟
睡蓮の一花静かや軒の下 邦紀
殺したき人はわれにも立版古 秀子
*特選○
クロールの飛沫追ひかけ夏の恋 光枝
青梅のすこし傾ぐや皿の上 光枝
観音は梅雨の眠りにあるらしく 英樹
湯河原の湯を舐めにくる蛍かな 英樹
百姓のわれよろこばす梅雨入かな 靖彦
起し絵のやうや松原越しに浪 道子
バスタブに夏潮の揺れ船の旅 孝予
サーカスの馬の飼はれて梅雨の星 皓大
湧き出づるもののしづけさ夏の空 一郎
歌人の名前は知らず花柚かな 宣行
*入選
草々の青臭き径梅雨入りかな 幸三
起し絵の幽霊に影ありしかな 幸三
後の世もこの夏帽と旅に出ん 幸三
起し絵のお岩の霊に震へけり ひろし
焼酎を注ぐや氷のはぜる音 ひろし
梅川の道行きに泣く立版古 ひろし
マンゴーの実る樹の下昼寝覚 光枝
起し絵を覗く顔こそおそろしき 光枝
起し絵の耳なし芳一耳切られ 光枝
小鯵刺夕暮の海さわがしき 英樹
どくだみに月青々と上りけり 英樹
じゆんさいを引く箱舟を傾かせ 英樹
クロールのチーム対抗水しぶき 益美
山荘の水は冷たし飯を炊く 益美
実の成りて桑の木と知る木下闇 侑子
禍々しき大きな種枇杷を食ぶ 菊子
おこし絵のへなちょこ男へたりけり 靖彦
遺されて黴の餌食となる鞄 美津子
もう一度潜りたくなる茅の輪かな 麒麟
灯を入れる美しき人起し絵に 伸子
幾百の椅子を並べて堂涼し 京子
梅雨入や花柄の傘買うて来よ 孝予
ゆりの木の花散りかかる詩のごとく 秀子
むしむしと朝から雨や梅雨に入る 康子
クロールや自由の海をほしいまゝ 宣行
もの陰といふ形なき涼しさよ 一郎
大方丈涼しき顔をならべけり 梅子