古志鎌倉句会 2018年12月9日
席題 = 凩、漱石忌
【特選】
とろとろと炬燵の母はまた解脱 宣行
鈍にして胃痛縁なし漱石忌 宣行
最後まで女解せず漱石忌 宣行
右隻から左隻へ吹雪く屏風かな 佳余子
凩の夢まぼろしの茶碗かな 梅子
冬の山裸のままで次の湯へ 麒麟
凩の吹き枯らしたり愛の歌 遊歩
三の酉熊手も少し疲れけり 英樹
大榾火心の中は澄みわたり 順子
針穴をしづかに通る冬の糸 一郎
芳しき森のかをりよ落葉踏む 道子
【入選】
マラソンの人垣くづれ小春かな 幸三
天気上々白菜が丸々と 幸三
煤払仏も汚れるもののうち 幸三
煤逃げやおのれも煤のごときもの 幸三
一草の花悠々と永遠の春 幸三
黒髪の君より知らずさねかづら 秀子
この冬のぬくとさ君のゐますかに 秀子
笹鳴や君の清記の読み難く 秀子
まだ庭の小菊そのまま漱石忌 秀子
枇杷の花さもぬくさうやかたまつて 美津子
漱石忌猫にぬくもる心あり 美津子
凩と来て凩と去る男 美津子
手袋に悔やむこころを押し込みぬ ひろし
凩や火勢のあがる登り窯 ひろし
山茶花にいくさの影の差してをり 英樹
凩の音聞きゐるか塀の中 英樹
凩や襤褸縫ひ合せ旅衣 宣行
なほさびし大きく開く冬薔薇 侑子
玄海の波より荒し火吹竹 梅子
凩の吹き散らしたる昴かな 福
子を思へば乳のあふれて冬日向 伸子
柴漬の小魚てんやわんやかな 遊歩