古志広島句会 2017年9月3日
*第一句座
【特選】
初秋の影の行き交ふ通りかな 広
玉音や色なき風にひざまづき 嘉子
ひとり来て秋のはじめの爆心地 真知子
とうきびのよき塩加減焦げ加減 緑
吹つ飛びしままの青空秋高し 一雄
永遠といふしづけさに原爆忌 真知子
炎昼にどさりと被爆レンガかな 和子
まぼろしの街の音する残暑かな 広
この川にけふも鯊釣る広島忌 京子
【入選】
夏草のふゆるばかりや原爆忌 真知子
月の精歌ふやからすうりの花 嘉子
落雁はほのかに秋の日差しかな 広
広島に二百十日の句会あり 和子
袋みな力みなぎる桃畑 嘉子
この秋のきな臭きまで暑さかな 秀也
庭仕事さつさと終へて桃を食ふ 洋子
みの虫やひとすぢの糸ひからせて 奈央子
初秋刀魚四の五の言はず焼かれけり 和子
稲の穂の粒一つづつ白露かな 有里子
脱け殻の原爆ドーム天高し 酸模
広島はヒロシマとなり秋の蝉 洋子
碑にあきつ来てゐる日和かな 広
渋滞の車窓を去らぬ西日かな 酸模
被爆せしこと忘れたる裸かな 一雄
火傷して湯に入りくる広島忌 一雄
広島とヒロシマに吹く秋の風 真知子
紫蘇の実や香りたたへて塩漬けに 奈央子
爆心地秋風に置く竹箒 真知子
初秋や掛軸の草なつかしく 有里子
きな臭き世界をすいと蜻蛉かな 洋子
原爆忌たまたまそこに居し人の 美那子
軽やかに雨戸走れり今朝の秋 崇
*第二句座(無花果 虫 露)
【特選】
釣れてよし釣れずともよし鯊日和 嘉子
瞑れば九月の水の音の中 広
鮎下る月の夜をまた星の夜を 京子
落ちてゆく眠りの中に虫の声 真知子
骨董を値切つてあそぶ秋日和 緑
【入選】
無花果の裂けてあまたや原爆忌 嘉子
いちぢくや町川を潮のぼり来る 崇