ネット投句、年間賞は上田雅子さん
候補作どこがいいのか
すべて精読してください。
人の句から学ぶ、
これができない人は俳句に向きません。
【年間賞】
たいくつはのつぺらぼうやマスクして 埼玉 上田雅子
【次点】
母の日や母が私を忘れても 東京 森凜柚
今生の句集ものさん玉の汗 長野 金田伸一
岩とても老ゆるこの世に更衣 愛知 稲垣雄二
元を取れぬものに子育て茄子の苗 愛知 宗石みずえ
谷翔くる鬼のまぼろしほととぎす 福島 渡辺遊太
バロックの審美の金魚ひるがへる 東京 西川遊歩
素早さの尾へと流るる蜥蜴かな 神奈川 越智淳子
ひとつずつ花の名忘れ晩夏光 新潟 高橋慧
ふと見れば夫は老人柿の花 岐阜 夏井通江
我がために母生きむとす額の花 大阪 内山薫
明日ひらく花の香りや大夕焼 東京 長井亜紀
マスク外せばこんなにも草いきれ 兵庫 加藤百合子
【候補】
かなしみの空響もして白鳥帰る 北海道 芳賀匙子
蛇穴を入づ衣擦れの音させて 神奈川 金澤道子
アフガンの水路の柳青めるか 岐阜 三好政子
花の下肺も心ももも色に 京都 佐々木まき
春愁の脱け殻一つ朝の寝間 長崎 川辺酸模
想ひの丈を尻尾に込めて猫の恋 神奈川 湯浅菊子
吾が手より春の水飲む貰ひ犬 愛知 青沼尾燈子
顔のなき季語となりけり昭和の日 大阪 高角みつこ
馬ひとつ庭に飼ひたき五月かな 福島 渡辺遊太
考へてもみなかつたバナナ洗ひけり 東京 岡 惠
顛末をしづかに見てる金魚かな 神奈川 三玉一郎
春愁の鎧おもたき散歩かな 新潟 安藤文
初幟立てて地球はまはりけり 大阪 古味瑳楓
新品の冷房の風褒めてをり 大阪 高角みつこ
川底の緑深みて鯉病めり 大阪 山中紅萼
一本の穴子二人で昼の酒 大阪 齊藤遼風
薫風や網繕ふも舟の上 香川 曽根崇
ほたる舟言葉の河に遊びては 大分 山本桃潤
蟻あゆみ蟻たちどまり蟻かしぐ 鹿児島 大西朝子
さむがりの目高一匹鉢の底 神奈川 那珂侑子
昼間から頭に浮かぶビールかな 新潟 安藤文
春眠や醒めて体を組立てる 静岡 池ケ谷章吾
窓放ち聞かむ新樹の大笑ひ 愛知 青沼尾燈子
寝そべれば腹のよく鳴る五月かな 大阪 高角みつこ
箱庭や去年がとうに懐かしき 大阪 高角みつこ
竹の子やこころを留守にしたる間に 兵庫 加藤百合子
蒸しあげて身は白銀の鱸かな 奈良 喜田りえこ
粘りよき泥が自慢の植田かな 和歌山 玉置陽子
もてあそぶ音の涼しき花鋏 愛媛 豊田喜久子
昼寝さめ疫禍の国へ戻りけり 長崎 川辺酸模
担がれて蝶の骨ゆく夏野かな 長崎 川辺酸模
花石榴群れず叫ばず触れ合はず 長崎 百田直代
産土の夜ごと降らすや栗の花 埼玉 佐々木みほ
荒梅雨や雲の内なる山の音 長野 大島一馬
わだつみの深海水芭蕉万のゆらゆら 長野 柚木紀子
金魚玉金魚虚空に遊ぶかな 愛知 稲垣雄二
鮟鱇の心がわかる鯰かな 愛知 青沼尾燈子
つまらなき予報通りの梅雨入りかな 大阪 高角みつこ
七十の浅知恵育て夕端居 奈良 喜田りえこ
中空を揺れつつ上る大毛虫 奈良 田原春
したたるやかんばせうづめ桃食らふ 岡山 齋藤嘉子
アッパッパ痩の止まらぬ副作用 香川 丸亀葉七子
朝顔や今朝濡れ縁の賑はしき 香川 曽根崇
我もまたアジアの民よサングラス 長崎 川辺酸模
父の日や父の椅子には父座る 鹿児島 大西朝子
まだ父に辿り着けない帰省かな 神奈川 三玉一郎
旅は良し家はなほよし青簾 愛媛 豊田喜久子
睡蓮や収まりつかぬ昼の酒 大分 山本桃潤