古志唐津句会(2020年2月23,24日)
☆2月23日(日)
【特選】
一息に運ぶ筆先春の風 りえこ
叱られてこの世に戻る朝寝かな りえこ
梅一輪素焼きの皿に咲かせけり 真知子
花烏賊や墨吐くこともなまめかし 真知子
菜の花や湯船のやうな唐津湾 緑
【入選】
殿山の唐津茶碗の朧かな 酸模
殿山に春の音する徳利かな 酸模
糸遊の中からこつと馬印 酸模
春愁の馬歩まする渚かな 酸模
金色の春まぶしさよ黒茶碗 酸模
たんぽぽや焼いては砕く皿茶碗 光枝
ひしやげたる唐津大皿草の餅 光枝
おくんちの鯛躍り出る桜かな 光枝
海風や唐津千軒かぎろへり 光枝
焼きあげて唐津大皿花ふぶき 光枝
捨るべき陶片も又落椿 和子
登り窯暮れずともよし山椿 和子
麗らかや下手がよろしき絵付筆 和子
菜の花や唐津街道夕ぐれて 和子
夜咄や遺作の盌へ月明かり 京子(唐津)
冬晴や遙か対馬の青き陸 京子(唐津)
囀や愚の極みなる戦跡 京子(広島)
春風や絵付三角まる四角 京子(広島)
みつつ買ひふたつ食うたり桜餅 真知子
ひえびえと登り窯あり山椿 真知子
ペンタツクス首から下げて永き日を 緑
草餅や茶話西南の役となり 国光
☆2月24日(月)
・第一句座
【特選】
焼きしめて花びらとなる茶碗かな りえこ
咲きみつる花の中より茶碗かな りえこ
薄墨も漆黒も黒花の皿 りえこ
たつぷりと春ふくません絵付筆 京子(広島)
春潮におぼれんばかり壱岐対馬 京子(広島)
春浅し掻き寄せてごに花の色 光枝
樹木医の木槌一本花のこゑ 充子
目つむれば金の茶室の花ふぶく 酸模
【入選】
引出の陶片はみな春の音 りえこ
古唐津の鯨の遊ぶ春の空 りえこ
柔らかに春日の抱く茶碗かな りえこ
大皿の黒の変幻花吹雪 りえこ
初蝶は皿から皿へ移りけり 緑
春霞なにも映さぬ鏡山 緑
ものの芽に巨人の影の近づきぬ 緑
しづけさや轆轤を回す春の人 光枝
まだ寒き松原に掻く松露かな 光枝
初蝶や母子で守る登窯 光枝
窯に火の仄かに見えて初日出 京子(唐津)
かつを菜や青き香のたつ鰤雑煮 京子(唐津)
落椿樹々の喜ぶ声すなり 眞理子
春風や煎餅に焼く鯛車 真知子
松林を飛び跳ねてゐる春日かな 久子
まつぼつくりは笑ひ上戸よ梅の花 充子
うららかや空より来たる白き船 みほ
手にとれば春の名残の茶碗かな 酸模
・第二句座
【特選】
ころびつつ千鳥のゆくや春の浜 りえこ
薄紙に松露饅頭花を待つ 光枝
潮満ちて白魚梁の鴎翔つ 国光
野梅咲く李参平は胡座して 充子
【入選】
そのへんに蛇の眠れり蕗の薹 京子(唐津)
人しのぶことしきりなる椿かな 和子
からからとろくろの回る蝶々かな 光枝