古志鎌倉句会(2020年2月2日)
兼題=龍太忌
席題=薄氷、豆撒き
【特選】
花探す如くに選や春の人 麒麟
朝きたる春の鳥こそ龍太の忌 麒麟
鬼強き世の懐かしき追儺かな 麒麟
平凡な日々のこころに薄氷 ひろし
雪山のいまだ動かず龍太の忌 ひろし
龍太忌の沈黙といふ大きな死 英樹
龍太忌やそこに龍太のゐる如く 英樹
龍太百歳山廬に春の立ちにけり かよ
身中の鬼も呆けたり年の豆 道子
山河はや花と香れる龍太の忌 美津子
豆撒や美貌一層大女 じろ
たからかに初音聞かせよ龍太の忌 梅子
【入選】
スワンボート湖の春光分かちゆく 和華子
いつせいに風のなだりへ野水仙 和華子
浄らかな光よ二月龍太の忌 和華子
龍太忌や一日富士の雪けむり 光枝
裏山の竹かんかんと龍太の忌 光枝
寒鯉の棒ばらばらと水の底 光枝
遊女らは裾ひるがへし絵踏かな 靖彦
鳥たちのつつきしだくや紅椿 靖彦
ものの芽や地球の殻をつき破り 靖彦
父死んで癌も死にけりヒヤシンス かよ
龍太忌の川きらきらと谷の中 かよ
胸赤き鳥は何鳥探梅行 秀子
薄氷や眠たき鳥をたなごころ 秀子
朝とれの鯥は煮付けぞ目の光 遊歩
越の国どかどか降れよ春の雪 遊歩
春暁の瀬音新らし甲斐の村 伸子
慰霊祭十年で終はる余寒かな 伸子
雪吊が退屈さうに立つてゐる 侑子
鶯餅ほど柔らかなこころ持て ひろし
明神の亀が遊べり薄氷 順子
青白く輝く山や龍太の忌 麒麟
夜明けの歌うたひ薄氷溶け始む 宣行
晴々と鴨ぶら提げて来たりけり 千方
そこに鳴きそこにはゐない雲雀かな 一郎
暁の水のみし夢薄氷 幸三
もみくちゃにされて湯島の鷽替へ 梅子
山廬へと朧の道の続きをり 美津子
替へ切れぬ噓また一つ女かな 伊豆山
うつくしや雛に眉のありやなし 英樹