古志新潟雪中句会(2020年1月18、19日)
☆1月18日
・一座目
【特選】
少年の我なつかしや雪女郎 英樹
寒の水で締めて下田の手打そば 美津子
白鳥の羽根激流にのまれゆく 光枝
白鳥の花のごとくに流れ来る 善子
なにもかも吊る雪国の梁ぞ 英樹
われ容れてほの紅の枯木山 光枝
この里を鷹守りゐる巌かな 善子
【入選】
白鳥がいつせいに鳴く声の中 松太
さびしさに目覚めてはまた眠る山 玲子
流されてゆく白鳥の一花あり 美津子
子白鳥まだ白鳥の色なさず 善子
山河荒涼大白鳥の啼きかはす 玲子
浮寝にも飽いて白鳥石の上 美津子
八木鼻の崖真二つ鎌鼬 松太
白鳥の仲間はづれの一羽かな 松太
ゆく道や氷のつむり剃り上げて 美津子
雪よりもしづかに雪をまちゐたり 一郎
白鳥や莟ほどきて飛び立り 善子
ひらきつつ白鳥の花流れくる 光枝
一睡の夢の間に鷹老いにけり きよみ
・二座目
【特選】
雪嶺に真白き炎立ちにけり 遊歩
大空に鷹を待ちゐる一樹あり 善子
桜炭暗き炎を上げにけり 光枝
雪国の雪なき春を恐れけり 善子
八木鼻の崖の哭く夜は虎落笛 松太
雪国のしみじみ暮れて大藁屋 英樹
【入選】
白鳥は大き水輪のただ中に りえこ
日向ぼこ共に白髪の我と猫 善子
白鳥の餌を運びゆくバケツかな 松太
☆1月19日
・一座目
【特選】
大根につまづくことも冬籠 松太
冬麗の臼挽きこぼす光かな 遊歩
あかあかと氷の下に寒の鯉 りえこ
【入選】
一丁の豆腐となりぬ寒の水 善子
寒鯉の眠りて水も眠りけり 遊歩
寒芹を摘んで匂ふや掌 松太
山の湯におぼろの人がまた一人 英樹
急流に削られて山眠りけり 玲子
安寧の鷹の巣こもる八木ヶ鼻 遊歩
深々と鯉はしづみぬ寒の水 善子
寒鯉の洗ひとなれば酒二合 英樹
鉛筆と句帳しづかに悴めり 一郎
むささびの穴にも風の吹きすさぶ 光枝
ぬくもれや塩湯に猿も羚羊も 善子
氷切るごと寒鯉を切りにけり 英樹
・二座目
【特選】
寒芹や根を茫茫と水の中 光枝
寒鯉のにはかに動く閑けさよ 遊歩
白鳥の茜に染まる寒さかな 松太
餅腹の重き体を初泳ぎ 善子
佐保姫の腰のくびれて笹団子 善子
【入選】
煮菜の塩なかなか抜けぬ霜夜かな 美津子
研ぎ上げし包丁弾く寒の水 光枝
白鳥を焦がさんばかりどんどの火 松太
雪蓑の藁からからや山の宿 りえこ
粥炊くや春の光をふきこぼし きよみ