ネット投句(2020年5月31日)選句と選評
・読み直すこと。
・旧かなの勉強を。
・人の句に学ぶこと大事。
【特選】
朴の花透かしてみまゆ高天原 01_北海道 高橋真樹子
母の日や母が私を忘れても 13_東京 森凜柚
ありつたけ摘んで名残の豆ご飯 14_神奈川 松井恭子
さむがりの目高一匹鉢の底 14_神奈川 那珂侑子
昼間から頭に浮かぶビールかな 15_新潟 安藤文
今生の句集ものさん玉の汗 20_長野 金田伸一
春眠や醒めて体を組立てる 22_静岡 池ケ谷章吾
岩とても老ゆるこの世に更衣 23_愛知 稲垣雄二
岩孤独人も孤独や新茶汲む 23_愛知 稲垣雄二
元を取れぬものに子育て茄子の苗 23_愛知 宗石みずえ
・元を取らぬ?
窓放ち聞かむ新樹の大笑ひ 23_愛知 青沼尾燈子
寝そべれば腹のよく鳴る五月かな 27_大阪 高角みつこ
箱庭や去年がとうに懐かしき 27_大阪 高角みつこ
・はやも
ふるさとの早苗吹かれて歌ふごと 27_大阪 木下洋子
・歌ひけり。なぜ「ごと」というのか、考えること。
恐る恐る自粛解除や冷奴 27_大阪 木下洋子
水の嵩ふゆる近江や夏つばめ 27_大阪 齊藤遼風
・を。この「や」命とり。
帰省なく上京もなきマスクかな 27_大阪 齊藤遼風
竹の子やこころを留守にしたる間に 28_兵庫 加藤百合子
南風や電波を恃む人と人 28_兵庫 加藤百合子
蒸しあげて身は白銀の鱸かな 29_奈良 喜田りえこ
粘りよき泥が自慢の植田かな 30_和歌山 玉置陽子
もてあそぶ音の涼しき花鋏 38_愛媛 豊田喜久子
昼寝さめ疫禍の国へ戻りけり 42_長崎 川辺酸模
担がれて蝶の骨ゆく夏野かな 42_長崎 川辺酸模
花石榴群れず叫ばず触れ合はず 42_長崎 百田直代
【入選】
ほおほおと人の眠りへ青葉木菟 01_北海道 芳賀匙子
青空を栞としたる籐寝椅子 01_北海道 柳一斉
日に三度朝ドラを見て昼寝かな 04_宮城 石原夏生
葉桜よ百まで生きん母の背 04_宮城 長谷川冬虹
・背、不要?
地球ごと草臥れてゐる聖五月 05_秋田 佐藤一郎
・聖不要。安易につけるなかれ。
老いぼれの蟻の見てゐる蟻の列 07_福島 渡辺遊太
初蛍拍手をもって迎へらる 11_埼玉 園田靖彦
風は香に青山椒の切通し 11_埼玉 佐々木みほ
スカイツリー青く点して梅雨入かな 11_埼玉 上田雅子
・梅雨に入る
籐椅子を揺らし淋しき音を聞く 11_埼玉 上田雅子
螺子巻の柱時計や梅雨に入る 12_千葉 若土裕子
・も
吾が朝の寂しからずや囀れり 12_千葉 水町ゆの
涼しさを剪りて一本白あやめ 12_千葉 池田祥子
老鶯の囃子高らか田を植うる 12_千葉 池田祥子
ホタホタとニセアカシヤは花落とし 13_東京 横山直典
・落とす
露草の今年の蕾まだ蕾 13_東京 岡 惠
ドアノブに天道虫の来てをりぬ 13_東京 岡 惠
筍もそろそろ終はり寸胴鍋 13_東京 葛西美津子
水中花塩ビ間仕切り翻り 13_東京 市村さよみ
・飜る
幸せも不幸もはじけソーダ水 13_東京 森凜柚
・並列、安易。
食べ頃をメモして贈るメロンかな 13_東京 森凜柚
かぐはしき樟の若葉や天つ宮 13_東京 西川遊歩
水替えてプール不敵な面構え 13_東京 西川遊歩
・替へて
なんでやねんこの世不条理長命縷 13_東京 西川遊歩
薬害の私もリセット夏椿 13_東京 長尾貴代
それぞれに産地の札や花菖蒲 13_東京 楠原正光
・生国の札
飛魚や高速船を追い越して 13_東京 楠原正光
・ひ
山小屋を去る新緑に送られて 14_神奈川 伊藤靖子
思ひ出す旅のあれこれ更衣 14_神奈川 原田みる
夏蝶が自由に出入りするこころ 14_神奈川 三玉一郎
平凡な暮らし尊し青田風 14_神奈川 山本孝予
柿の花ぽろぽろ散りぬ塀の外 14_神奈川 山本孝予
茄子漬の床かき混ぜる夕餉かな 14_神奈川 森川ヨシ子
スカイプのわが顔卯の花腐しかな 14_神奈川 水篠けいこ
ピアノと語りピアノ弾く人リラの花 14_神奈川 中丸佳音
執着の薄るもさみし葦あをし 14_神奈川 中丸佳音
・青葦原
水盤は目高の宇宙泳ぎけり 14_神奈川 湯浅菊子
這い上がる山霧速き山つつじ 15_新潟 高橋慧
・ひ
夏三日月肩胛骨さゆう搾り 20_長野 柚木 紀子
こゑもなし一花多果これ「蓮の徳」 20_長野 柚木 紀子
わが庭の雨蛙鳴く今日祝ぎて 21_岐阜 夏井通江
ころぶときスローモーションヒメヂョヲン 21_岐阜 夏井通江
代掻きや水路縦横美濃日和 21_岐阜 三好政子
入浴を五分短く夏時間 21_岐阜 三好政子
何あらむ燕のゐない燕の巣 23_愛知 臼杵政治
丸刈りや初夏の子の頬光る 23_愛知 青沼尾燈子
白い雲帰還困難地や田植え 23_愛知 服部紀子
・雲白き、ゑ
雨蛙何を告げんと今日も鳴く 23_愛知 野口優子
どくだみの花越えてきし風ならん 26_京都 佐々木まき
言ひにくきことを夫に新茶汲む 26_京都 氷室茉胡
・言ひにくきことを言ふ妻?
雷や子を宥めつつテレワーク 26_京都 氷室茉胡
ゆさゆさと大神の幣夏に入る 27_大阪 安藤久美
ぽんぽんと茅花流しをゆく船か 27_大阪 安藤久美
としどしの歩幅せばまる蛇苺 27_大阪 古味瑳楓
・年々に
香水を纏ひてからの後悔も 27_大阪 高角みつこ
四十分待たされてゐる薄暑かな 27_大阪 内山薫
ひとり居にたそがれながき五月かな 27_大阪 内山薫
・ひとり居の
面会のかなはぬ日々の昼寝かな 27_大阪 内山薫
・日々は
ややうしろめたき曲線水茄子 27_大阪 澤田美那子
・はっきりいったほうがいい。
田には水蝌蚪に足ある嬉しさよ 27_大阪 齊藤遼風
籠りたる日々の分まで初夏の光 28_兵庫 加藤百合子
モノクロのやうな暮らしや更衣 28_兵庫 千堂 富子
・やうな、不要。
大空にハート描きて草矢射る 28_兵庫 千堂 富子
白玉はしばし口にて遊ぶもの 28_兵庫 藤岡美惠子
これ以上はと言はんばかりの牡丹かな 28_兵庫 藤岡美惠子
夏暁の散歩にマスク疫病禍 28_兵庫 髙見 正樹
覆われて消えし近道草いきれ 28_兵庫 髙見 正樹
・覆はれて
あいなめの男振りよきえらの張り 29_奈良 喜田りえこ
薄暑光理科室に彼の口笛 29_奈良 田原春
・上五、再考。
後もどりできぬ道あり蟻の昼 30_和歌山 玉置陽子
・蟻では理屈。
夏潮やアサギマダラの旅はるか 33_岡山 齋藤嘉子
・夏潮、理屈。
飼ひ殺しのことばありけり山椒魚 33_岡山 齋藤嘉子
・といふ、けり、不要。
ひさかたの夕焼野電車ひた走る 37_香川 丸亀葉七子
著莪なだれ大きな滝となるところ 37_香川 曽根崇
初花のいちはつに雨音もなく 37_香川 曽根崇
・し
さやさやと畳過ぎりし蜈蚣かな 42_長崎 川辺酸模
・を過ぎる
蚕豆を莢ごと焼いて青き味 42_長崎 百田直代
屋台酒まかり出たる夏の月 43_熊本 筑紫秋蘭
七七と発句に付ける心太 44_大分 山本桃潤
教師らよ麦笛くらい吹きてみよ 44_大分 山本桃潤
月の竹残りの皮も脱ぎにけり 44_大分 竹中南行
妹のショートカットや夏来る 46_鹿児島 大西朝子