ネット投句(2020年4月15日)選句と選評
・好調!
・リクツにならないように。
【特選】
かなしみの空響もして白鳥帰る 01_北海道 芳賀匙子
帽子変へ春風を新たにす 01_北海道 柳一斉
・リズムととのえる。
花に風人に疫禍のあるごとく 07_福島 渡辺遊太
コロナ禍に立ち向かふべく柏餅 12_千葉 若土裕子
全力で手洗ひうがひ新社員 13_東京 森凜柚
春逝くや名刺交換できぬまま 13_東京 森凜柚
春月や地球まるごと病んでをり 14_神奈川 金澤道子
蛇穴を入づ衣擦れの音させて 14_神奈川 金澤道子
・出づ。すでにあるか。
アフガンの水路の柳青めるか 21_岐阜 三好政子
花の下肺も心ももも色に 26_京都 佐々木まき
・心でないほうがいい。
あれに寝る人は路通か花の山 27_大阪 古味瑳楓
大蒜や病ひおそろし飯うまし 27_大阪 高角みつこ
鶯の声に負けじと披講かな 27_大阪 木下洋子
疫癘や海にただよふ花筏 28_兵庫 加藤百合子
・海を
大難のつづくいつしか柿若葉 37_香川 丸亀葉七子
目に見えぬ敵に疲弊の暮春かな 38_愛媛 豊田喜久子
春愁などではなくてこもり居り 38_愛媛 豊田喜久子
春愁の脱け殻一つ朝の寝間 42_長崎 川辺酸模
言の葉の森の小道を大岡忌 44_大分 山本桃潤
【入選】
冷えた風咲けよ咲けよと花辛夷 01_北海道 高橋真樹子
・咲けよ散れよと?
はだれ野はじれてこがれて暮れなづむ 01_北海道 芳賀匙子
鳥雲に無音室に入るやうに 01_北海道 芳賀匙子
春の空遥かな日々を散歩せり 01_北海道 柳一斉
われひとり千本桜の花の下 04_宮城 長谷川冬虹
血を吸ふて今年の花のあかきこと 04_宮城 長谷川冬虹
・吸うて
はくれんの今朝ひとときの輝きよ 04_宮城 長谷川冬虹
斑雪嶺に田の神います出羽の国 05_秋田 佐藤一郎
魚食うて春はまぶしき怒濤かな 07_福島 渡辺遊太
休校の畑の菜花のくくだちて 11_埼玉 佐々木みほ
・くくだてり
繰り言はぬか床深く春しぐれ 11_埼玉 佐々木みほ
花ふぶき一変したる世に吹雪く 11_埼玉 上田雅子
耐へきれぬごとくほぐるる牡丹かな 11_埼玉 上田雅子
いつの日か百万本の山桜 12_千葉 若土裕子
筍に地霊の力ずんずんと 12_千葉 池田祥子
薔薇揺るる黙礼をしてすれ違ふ 13_東京 岡 惠
春愁のせいにやあらん吹出物 13_東京 葛西美津子
花散つて野鯉は其の身養へり 13_東京 市村さよみ
ゴム毬を投げたるやうに春満月 13_東京 松宮京生子
引越しの荷が動きだす櫻かな 13_東京 松宮京生子
・荷車のよう?
花に触れ風に触れし手洗ひけり 13_東京 森凜柚
・触れたる手を洗ふ
椿けさ蜜一滴をこぼしけり 13_東京 西川遊歩
桜餅雨降れば京思ひだす 13_東京 長井亜紀
猫の子の何も知らずに泣きにけり 13_東京 長井亜紀
・ゐたり
風に問ふかつて飾りし雛のこと 13_東京 長井亜紀
桜咲けど会いたき人に会えぬ春 13_東京 長尾貴代
春の雪父亡くなりて五十年 13_東京 長尾貴代
葉ざくらやひこうき雲の彼方へと 13_東京 楠原正光
・飛行機雲は
草取りが日課でありし母の庭 13_東京 楠原正光
浅間山白し周りの山笑ふ 13_東京 堀越としの
花仰ぐ遠きあの日のあの笑顔 13_東京 堀越としの
葉桜となりて鎮もる向う山 14_神奈川 遠藤初惠
煮返して卓の真ん中春大根 14_神奈川 遠藤初惠
藤揺れて募る京への旅心 14_神奈川 原田みる
辻地蔵の前掛け新た花菜風 14_神奈川 原田みる
あたたかにあなたの立つてゐたあたり 14_神奈川 三玉一郎
・に?
花吹雪消えていよいよふぶきけり 14_神奈川 三玉一郎
春ショールかなしい方の目に涙 14_神奈川 三玉一郎
・三玉さんの3句、言葉だけにならないように。
落ち合ひて渦になりけり花筏 14_神奈川 松井恭子
蔦若葉家を一軒ラッピング 14_神奈川 松井恭子
届きそうなスーパームーン春の月 14_神奈川 森川ヨシ子
・手の届く
人通り絶えて真昼の桜かな 14_神奈川 水篠けいこ
飛花落花花眼近眼つのりつつ 14_神奈川 中丸佳音
待ちくるるあの遅桜まで行かん 14_神奈川 中丸佳音
海そこまで在りし記憶を松の芯 14_神奈川 中丸佳音
・そこに
母逝きて故郷遠し桃の花 14_神奈川 土屋春樹
親猫の子猫の数に惑ひあり 14_神奈川 湯浅菊子
・惑ひけり
ウイルスの行方おそろし飛花落花 20_長野 金田伸一
さみだれや他者に打ち寄せ発芽せむ 20_長野 柚木 紀子
牡丹の夢の中より咲きいでし 21_岐阜 夏井通江
末法の果ての青空仏生会 23_愛知 稲垣雄二
土筆一本すなはち妻に摘まれけり 23_愛知 青沼尾燈子
だぶだぶの学生服や春来たる 23_愛知 青沼尾燈子
桜散るどの別れより美しく 23_愛知 服部紀子
天上で待つと告げくる春の雪 23_愛知 野口優子
今の世に疎開ありけり万愚節 26_京都 氷室茉胡
・万愚節、この付け、リクツ。
養花天週に三度のテレワーク 26_京都 氷室茉胡
父の忌の去年もこの道紫木蓮 27_大阪 古味瑳楓
山笑ふ赤白黒と子犬生れ 27_大阪 高角みつこ
・この山笑ふもリクツ。
植ゑし人の心の色やチューリップ 27_大阪 内山薫
・色に
車椅子の母の重みや桜坂 27_大阪 内山薫
花びらに乗りて訪ふ西行庵 27_大阪 木下洋子
・尋ねん?
搗きたての草餅一句授かりぬ 27_大阪 木下洋子
・去年の句ですか?
ひたすらにコロナ籠りや春の月 27_大阪 澤田美那子
朝顔の種浸しあり洗面所 27_大阪 澤田美那子
姿見のなかゆく飛花と落花かな 27_大阪 齊藤遼風
閉じ込める小さな夢や紙風船 28_兵庫 千堂 富子
閉じ込めて小さな夢を、のびのびと。
春の蝿手足のしどろもどろかな 28_兵庫 千堂 富子
褒めやればまたさへづれりまた褒めん 28_兵庫 藤岡美惠子
唐突な川の空白鳥帰る 28_兵庫 髙見正樹
ネギ坊主いつかだれかの役にたて 29_奈良 喜田りえこ
行春やぐいと襟首掴まれて 29_奈良 喜田りえこ
・?
畑終へし夫腰かけて夕桜 29_奈良 田原春
花水木朝の乙女が歌ひ出す 30_和歌山 玉置陽子
さながらに花曼荼羅や遍路道 33_岡山 齋藤嘉子
・この季重なり、ダメ。
朝掘の筍マスクの返礼と 37_香川 丸亀葉七子
・に
庵主さま余生を木通の花咲かせ 37_香川 丸亀葉七子
・を、不要。
天界に挑む雲雀の棒あがり 38_愛媛 豊田喜久子
コロナ禍の街に桜の散る日かな 42_長崎 百田直代
潮まねきあの夕空を切り取らん 42_長崎 百田直代
・切り取らん、リクツ、よって不要。
風神のほほゑみ尽きず飛花落花 44_大分 竹中南行