ネット投句年間賞(2019年第1期)は柚木紀子さん
【年間賞】
即興の一生だった紅薔薇 長野 柚木 紀子
・選者の一言 自分のことを詠んでまさに即興の句、人生の重みを感じる。
【次点】
産土に帰る日あるや絵双六 福島 渡辺遊太
エプロンのまま寝ころんで春休 東京 長井亜紀
初蝶の下ろしたてなる命かな 神奈川 松井恭子
落第やこころ豊かに育ちし子 大分 山本桃潤
自ずから鳴き出しさうな鶯笛 埼玉 森凜柚
ひと吹きでもう晩年よしやぼん玉 愛媛 岡崎陽市
一本の草笛となり少女かな 大阪 安藤久美
・となる
【候補】
万物の氷れる中に光堂 宮城 長谷川冬虹
恋の日や押し掛けて行く四畳半 千葉 菊地原弘美
春寒のビルの隙間に人のみち 神奈川 高橋佳代
さくら貝好きだつた人いまも好き 埼玉 森凜柚
生けるまま故郷埋もるる冬野かな 福島 渡辺遊太
寒がらす人の世もつとさびしいぞ 愛媛 岡崎陽市
埋火やときに大蛇の息づかひ 大阪 安藤久美
地の力借りて摺り足初稽古 静岡 池ヶ谷章吾
着ぶくれやいよよ気にせぬ世間体 京都 氷室茉胡
新たなる老いに目見へん初鏡 兵庫 藤岡美惠子
風花や夢は自ら作るもの 大分 山本桃潤
定年や弱気の虫を鬼やらふ 宮城 長谷川冬虹
あふみのみ底に湧き出ず寒蜆 埼玉 園田靖彦
大寒やこころ無にしてから俳句 千葉 森住昌弘
静けさの鹿の道あり山眠る 千葉 池田祥子
菜の花や馬体一瞬沈みスタート 長野 柚木紀子
鬼は外などとひとりはばかばかし 大阪 澤田美那子
ことさらに四角の豆腐寒の水 愛媛 豊田喜久子
オラウータン襤褸布かぶる余寒かな 東京 松宮京生子
図体は親とおんなじ巣立鳥 神奈川 金澤道子
淡雪やあはれ仔豚の殺処分 大阪 内山薫
なさけあつき人のお骨や梅かをる 大阪 内山薫
春来る皿にちよこんと赤福餅 大阪 福田弘子
春寒や昔有りけりバリケード 奈良 喜田りえこ
冴え返る骨壺一つ夜の底 長崎 川辺酸模
燃え残る言葉を捜す末黒かな 福島 渡辺遊太
春蘭の金の莟の力満つ 東京 西川遊歩
地球儀のカタカナ読めて孫の春 岐阜 三好政子
永き日のむなしく帰るうなぎ筒 大阪 澤田美那子
梅咲いてそらよりひろい庭となれ 愛媛 岡崎陽市
鍋焼きや老いてかくかく役立たず 大分 山本桃潤
あけぼのや二つながらに春の星 東京 外澤桐幹
木ノ芽時からだ丈夫な野宿者 東京 柴田清栄
まだ人の淋しさ知らぬ子猫かな 大阪 古味瑳楓
母とゐてさみしき日あり揚雲雀 大阪 内山薫
わが軒に卵孵せや初燕 長崎 川辺酸模