ネット投句(2019年3月31日)選句と選評
・今までに詠まれた句は詠む必要がない。
・そのためには今まで詠まれた句(古典)を学ぶこと。
・直感でわかる句をめざす。
【お知らせ】
今年9月1日(日)、長野県の軽井沢で「第1回ネット投句スクーリング」を開催します。参加ご希望の方は事務局にお知らせください。時間、会場、投句についてはあらためてお知らせします。
【特選】
さくら貝好きだつた人いまも好き 11_埼玉 森凜柚
ひざまずく懐かしさなり黄水仙 11_埼玉 牧内麻衣
・なり、不要。消す工夫を。
春日傘まはすや心定まらず 12_千葉 菊地原弘美
つぼむ力ひらく力やチューリップ 12_千葉 森住昌弘
木ノ芽時からだ丈夫な野宿者 13_東京 柴田清栄
・時、消す工夫。
エプロンのまま寝ころんで春休 13_東京 長井亜紀
・◎
初蝶の下ろしたてなる命かな 14_神奈川 松井恭子
・◎
菜の花や川より広い河川敷 14_神奈川 松井恭子
一本の草笛となり少女かな 27_大阪 安藤久美
・◎
うるみゐる山また山や甘茶寺 27_大阪 安藤久美
まだ人の淋しさ知らぬ子猫かな 27_大阪 古味瑳楓
・◎、人の、がいい。
母とゐてさみしき日あり揚雲雀 27_大阪 内山薫
・◎
雁風呂や三陸鉄道復旧す 27_大阪 福田弘子
・雁風呂の、でないと成り立たない。切ればいいというものではない。結ぶことも重要。「秋深き隣」のように。
きのふ来てあすも見にくる桜かな 28_兵庫 加藤百合子
ひと吹きでもう晩年よしやぼん玉 38_愛媛 岡崎陽市
・◎
わが軒に卵孵せや初燕 42_長崎 川辺酸模
落第やこころ豊かに育ちし子 44_大分 山本桃潤
・◎
【入選】
祝婚のもちつき唄や春彼岸 04_宮城 長谷川冬虹
・春彼岸、がどうしようもない。
ものの芽や母たよたよと徘徊り 05_秋田 佐藤一郎
・下五は何と読みますか。ご連絡を。
東京は坂と階段春の風 08_茨城 斉藤慎哉
・春の風、安易。
よりて寂しはなれて寂し花筏 11_埼玉 上田雅子
蜜蜂の重さに耐へる小さき花 11_埼玉 森凜柚
われもまた月を仰ぐや立子の忌 11_埼玉 森凜柚
ふりかへる道いつぱいに花ミモザ 12_千葉 菊地原弘美
若冲の動物こぞり来る朧 12_千葉 若土裕子
逝きしよりなほありありと山桜 12_千葉 若土裕子
やはらかき花のつぶてのふぶきけり 12_千葉 若土裕子
・ふぶくなり
曼荼羅の煌めきのごとつくづくし 12_千葉 池田祥子
・のごと、不要。
スマホ手に過ぎ行く人や梅真白 13_東京 安藤文彦
永き日やランナーに越されつつ歩く 13_東京 安藤文彦
くれないの春コート着て若き母 13_東京 安藤文彦
春嵐 生き物すべてあはれなり 13_東京 稲垣京子
初蝶を見送ってゐて見失なふ 13_東京 岡 恵
立て札高く南蛮煙管咲いてます 13_東京 岡 恵
指し示す時計の針や花辛夷 13_東京 外澤桐幹
駒鳥の我に喧嘩を仕掛けくる 13_東京 荒木大和
頭のみ転(うた)た光れり甘茶仏 13_東京 荒木大和
・のみ、不要。
潮干狩鯨一頭掘り出さん 13_東京 神谷宣行
・大袈裟だ。
のびのびとはるかに寝釈迦伊豆半島 13_東京 西川遊歩
・伊豆半島は寝釈迦かな
お彼岸や参れぬ母の淋しさよ 13_東京 長尾貴代
・お彼岸に。特選選評参照。
チューリップ一列に並びそら仰ぐ 14_神奈川 伊藤靖子
啜る茶に温めるまぶた春夕焼 14_神奈川 越智淳子
・春夕焼、動く。
蚕豆の花が怖いと泣く子かな 14_神奈川 遠藤初惠
春の風邪孫よりしかともらい受け 14_神奈川 遠藤初惠
老いも死も他人事なり桜餅 14_神奈川 金澤道子
校庭を猫が横切る春の雨 14_神奈川 高橋佳代
ただきみを思ふさくらとなりにけり 14_神奈川 三玉一郎
また夫婦ふたりの暮らし春夕焼 14_神奈川 山本孝予
・この春夕焼けも。
幸運の兆し桜の天気雨 14_神奈川 山本孝予
寂しいと絶対言はぬ桜漬 14_神奈川 山本孝予
平成の終わりに懸かる春の虹 14_神奈川 森川ヨシ子
重曹を付けて食べたり夏蜜柑 14_神奈川 水篠けいこ
・たき
新海苔を炙る手つきの父に似る 14_神奈川 水篠けいこ
雪柳庭に色なききのふけふ 20_長野 金田伸一
なに色に咲くやチューリップの莟 20_長野 金田伸一
つまびらか柱状節理冴返る 20_長野 柚木 紀子
吟行はつくし摘みとなりにけり 21_岐阜 夏井通江
・これは散文。一工夫を。
茸目を持つ子伴ひ春の山 21_岐阜 三好政子
喉仏置き去りし友よ白木蓮 22_静岡 池ケ谷章吾
・わかるが、わかりにくい。
人間の五欲十悪山笑ふ 27_大阪 喜田りえこ
・山笑ふ、安易。
花びらと共に山門くぐりけり 27_大阪 古味瑳楓
碧眼の僧ひとりあり彼岸寺 27_大阪 内山薫
・あり、無駄。
目の合へば糞して翔てるメジロかな 27_大阪 内山薫
菊根分いつたいいくつ分くる気ぞ 27_大阪 澤田美那子
火の国の四つ手に遊ぶ白魚かな 27_大阪 齊藤遼風
満開は秘するがよろし山桜 28_兵庫 加藤百合子
バイオリンの路上ライブや春うらら 28_兵庫 千堂富子
・春うらら、安易。
春風邪や螺子の緩みしオルゴール 28_兵庫 千堂富子
・付きすぎ。
蕗味噌や夫の茶碗の大きこと 28_兵庫 藤岡美惠子
つかまり立ちの嬰の尻もち葦の角 28_兵庫 藤岡美惠子
・葦の角、ではずぶ濡れになる。
墳山の石よじ上り春休み 29_奈良 真知子眞知
何か捨て何かを拾ふ遍路道 37_香川 丸亀葉七子
四五人の工夫陽炎抜けて来し 37_香川 曽根崇
春灯や明日退院の服を吊る 37_香川 曽根崇
・春灯に。特選選評参照。
陽炎ふて昔が揺るる棟瓦 37_香川 曽根崇
春の鹿そらへさびしいかほ上げよ 38_愛媛 岡崎陽市
春愁のひとつに待つといふことも 38_愛媛 豊田喜久子
城の石くずれて三年桜かな 43_熊本 筑紫秋蘭
・くづれて