ネット投句 選句と選評(2019年2月15日)
【特選】
万物の氷れる中に光堂 04_宮城 長谷川冬虹
@上々の句。
起重機の掲げしままに冴返る 08_茨城 斉藤慎哉
恋の日や押し掛けて行く四畳半 12_千葉 菊地原弘美
来る足跡行く足跡や春の雪 12_千葉 森住昌弘
瓦斯ストーブのがうがうと物思ふ 13_東京 安藤文彦
オラウータン襤褸布かぶる余寒かな 13_東京 松宮京生子
狩人といへば雪野のブリューゲル 13_東京 西川遊歩
図体は親とおんなじ巣立鳥 14_神奈川 金澤道子
春寒のビルの隙間に人のみち 14_神奈川 高橋佳代
@春寒や
太巻きの芯は菜の花昼ごはん 14_神奈川 水篠けいこ
擂り粉木でこんにゃく叩く春隣り 21_岐阜 三好政子
@や
淡雪やあはれ仔豚の殺処分 27_大阪 内山薫
なさけあつき人のお骨や梅かをる 27_大阪 内山薫
春来る皿にちよこんと赤福餅 27_大阪 福田弘子
言の葉は心の蔵に梅白し 28_兵庫 加藤百合子
春寒や昔有りけりバリケード 29_奈良 喜田りえこ
@ける
うどん屋の庭に榾割り老ゆるかな 37_香川 曽根崇
おほごゑで売つてゐるのは春告魚 38_愛媛 岡崎陽市
冴え返る骨壺一つ夜の底 42_長崎 川辺酸模
@夜の底に骨壷一つ冴返る、も。
【入選】
採血の部屋の窓から雪の峰 03_岩手 川村杳平
淡雪やかの世の塵か光堂 04_宮城 長谷川冬虹
@淡雪は
佇めば鴨のむらだつ残存湖 05_秋田 佐藤一郎
@佇めば、不要。
鶴去りて月のかそけき襖かな 07_福島 渡辺遊太
いく万の命ほのめく春土かな 11_埼玉 園田靖彦
@ただごと。
恐ろしきこの世に雛飾りけり 11_埼玉 上田雅子
雪解水いのち孕みて濁りけり 11_埼玉 牧内麻衣
生涯に玉の一句を梅の花 12_千葉 若土裕子
@を→や
こころざし透けてしまへり春の雪 12_千葉 森住昌弘
気骨ある鬼名のりでよ鬼やらひ 12_千葉 池田祥子
畔焼きの跡の潤めり春の雪 12_千葉 池田祥子
引越しを見送りにけり木瓜の花 13_東京 岡 恵
片栗咲く夕日の山と別れけり 13_東京 岡 恵
八十五未知の世界へ風光る 13_東京 柴田清栄
癌再発の電話バレンタインの日 13_東京 松宮京生子
富士山頂樹海を下に目刺焼く 13_東京 神谷宣行
白鳥の春あけぼのを浴びる声 13_東京 西川遊歩
@春の光を
寒明けの花芯にもぐる目白かな 13_東京 太田直子
@上五、再考。
八朔の鈴なりの家ベル鳴らす 13_東京 太田直子
@鈴なりの八朔の
草餅や母と作りし遠き日々 13_東京 長尾貴代
@草餅を、日よ
女房の十三回忌梅に雪 13_東京 櫻井滋
はるかまで藍色の海明日立春 14_神奈川 伊藤靖子
ひと筆の三日月白く冴え返る 14_神奈川 伊藤靖子
@白き三日月
土手の辺に母にならひて土筆摘む 14_神奈川 越智淳子
@辺に、不要。
鳴きながら鶫飛びゆく春の雪 14_神奈川 金澤道子
ポップコーンひいふうみいよ春うごく 14_神奈川 高橋佳代
病室の窓に流るる春の雪 14_神奈川 森川ヨシ子
@窓を
一八階の窓開け空へ鬼やらふ 14_神奈川 水篠けいこ
四畳半の大極殿に雛艶やlか 14_神奈川 湯浅菊子
五錠のむサプリメントや冬木の芽 20_長野 金田伸一
湯冷めつつ酌みつつ敲く一句かな 20_長野 金田伸一
大寒の妻と速歩を競ひけり 20_長野 金田伸一
もはや黄のふうせん一つふくらませず 20_長野 柚木紀子
朝来たる寒桜咲いてたから 20_長野 柚木紀子
月のごとぽっかり浮かぶ寒牡丹 21_岐阜 夏井通江
@ぽつかり
よく揚がる凧弟に譲りけり 21_岐阜 三好政子
立春に生まれ来る子や筋斗雲 22_静岡 池ケ谷章吾
乳飲み子をかひなに包む絵踏かな 23_愛知 青沼尾燈子
雛祭り皆同じ顔AKB 27_大阪 福田弘子
@AKB皆同じ顔ひな祭
土佐鶴を下げてきし子や花菜漬 27_大阪 齊藤遼風
@子が提げてきて
神仏の混じり合ひたる遍路かな 27_大阪 齊藤遼風
生き難きこの世を生きて干蒲団 27_大阪 齊藤遼風
疑問符を残ししままに卒業す 28_兵庫 千堂富子
慰霊碑の庭を区切りて芹の水, 29_奈良 真知子眞知
早春の山に小雨のカサコソと 29_奈良 真知子眞知
梅東風や目高の水槽あわただし 37_香川 曽根崇
うやむやにマスクに返す会釈かな 37_香川 曽根崇
直角に檜葉垣刈られ春寒し 38_愛媛 豊田喜久子
脱け殻の父と添ひ寝か春の雷 42_長崎 川辺酸模
@春の雷、わざとらしい。か、もヘン。
さえざえと臥せる屍よ春の雷 42_長崎 川辺酸模
針供養縫ふも詩作に似て愉し 42_長崎 百田直代
諦念と希望と深き雪に住み 44_大分 山本桃潤
@希望の、住む
紅の氷柱が溶ける朝日かな 44_大分 山本桃潤