ネット投句年間賞 2018年第四期は渡辺さんに
【年間賞】
ちらちらと地球の骨の見えて冬 福島 渡辺遊太
【略歴】
1940年生まれ 78歳
2003年まで化学工業会社等勤務。
2004年 心臓疾患の大手術で「生死の境」に直面。
2005年 長谷川櫂先生の「俳句的生活」に出会い、俳句を不安な気持ちの支えにしようと思い、「古志」入会。俳句を始める。
2015年 2011年の東日本大震災に遭遇、以後だんだん自分の俳句に迷いが生まれ、俳句を作る意味が見いだせなくなり「古志」退会。
2018年 2年間俳句を求めて他の俳句誌などを迷走の末、「古志」再入会。6月に「ネット投句」に入会。
【受賞感想】
この度は2018年第4期の年間賞ありがとうございます。正月早々の驚くべき連絡に、信じられない思いで「ネット投句」を開いてみて、「本当なんだ」と自分に言い聞かせました。 略歴にも書きましたように、以前に10年もの間「古志」にお世話になりながら、自分の俳句とは何かを掴めないままに退会した経過もありまして、今回の「古志」再入会にもどこか自分で完全には吹っ切れない気持ちがありました。
しかし、「ネット投句」で何度か特選にとって戴き、今回はまた「年間賞」という思いがけない賞を戴いたことにより、一筋の強烈な光が差し込んだ思いです。もう客観的にみれば自分の「骨がちらちら」する年齢かもしれませんが、今回の受賞を励みに、力及ばずも、もう一度俳句というものに全力を注ぎたいと思います。そういう気持ちを奮い立たせてくれるような、今回の出来事でした。 今後とも皆様のご指導をよろしくお願いいたします。(渡辺遊太)
【次点】
秋燈や妻の白髪も知らざりき 茨城 斉藤慎哉
「詩の職人」もよからむ花柊 長野 柚木紀子
遠く去る記憶のごとき冬干潟 愛知 稲垣雄二
【候補】
しろがねのまだ濡れてゐる芒かな 愛媛 木下誠
鶏頭花深くなりゆくものの影 長崎 百田直代
熱燗や癌細胞め死滅せよ 岩手 川村杳平
すき透る骨の髄まで新走り 東京 長井亜紀
夏に買ひし帽子ぽつんと秋終る 神奈川 三玉一郎
引力の形に葡萄みのりけり 兵庫 加藤百合子
冷まじきものの一つに女かな 長崎 川辺酸模
ほんたうはしづかな地球虫のこゑ 愛媛 岡崎陽市
この年のいたき心を返り花 大阪 古味瑳楓