ネット投句(2018年12月31日)選句と選評
①俳句をお作りください。そのためにはいつものことながら、
A.まず、わかるように。言葉遣いの問題。読みなおすこと。
B.ただごと、報告、説明、理屈にならないように。
C.大きなとらえ方、詠み肩で。
②暮、新年の句はとくに。
【特選】
数へ日や数へきれない親不孝 27_大阪 古味瑳楓
注連飾り神より先に雀ら来 27_大阪 澤田美那子
沈黙へ粗朶をつぎ足す焚火かな 42_長崎 川辺酸模
@沈黙の
【入選】
鳶色に鈍色重ね冬の旅 01_北海道 芳賀匙子
@Aの句多し。
書いて寝てまた書いて寝て大晦日 03_岩手 川村杳平
@Bの句多し。
柚子湯出てヒト科ヒト属赤ん坊 04_宮城 長谷川冬虹
@Bの句多し。
吾の影を誰か踏みゆく師走かな 05_秋田 佐藤一郎
根の国の命犇めく枯野かな 07_福島 渡辺遊太
@最後は具体。
大年を母と旅して蕎麦啜る 08_茨城 斉藤慎哉
@流れないように。
日本に柏手ありき初詣 11_埼玉 園田靖彦
@これはB
罪深きこの身に玉の初湯かな 11_埼玉 上田雅子
初風呂や延命治療はいたしません 11_埼玉 上田雅子
くすぐつたき白さを埋める初日記 12_千葉 菊地原弘美
追羽根は富士の高嶺を超えにけり 12_千葉 若土裕子
楽しみと悲しみのはて枯芙蓉 12_千葉 森住昌弘
@具体的に。
花の種心に育て冬籠 12_千葉 池田祥子
@これは理屈
枯れ枯れて軽々とある葎かな 12_千葉 池田祥子
@これもB
新たなる元号思ふ年の暮れ 13_東京 安藤文彦
@これもB
着ぶくれの飼い主よそに犬駆ける 13_東京 安藤文彦
晩白柚ドスンと落ちて夢うつつ 13_東京 岡 恵
@何が夢うつつ?
水仙の蕾にしゃがみつづける子 13_東京 岡 恵
たくましき一筆描きの冬銀河 13_東京 荒木大和
体調良し一気に仕上ぐ年賀状 13_東京 柴田清栄
ひととせの喜劇を生きて年惜しむ 13_東京 神谷宣行
初みくじよき旅行運女難なぜ 13_東京 西川遊歩
落ち葉踏む問わず語りの声つづく 13_東京 太田直子
硬き椅子に並ぶ家族やクリスマス 13_東京 長井亜紀
@これはB
賀状書くまた一枚とひ孫ふゆ 13_東京 長尾貴代
新しき孫を迎ふる年を待つ 14_神奈川 伊藤靖子
蕎麦つゆを仕込みて後は年の酒 14_神奈川 越智淳子
言問橋渡りて年を惜しみけり 14_神奈川 金澤道子
鎌倉の除夜や鐘の音行き交ひて 14_神奈川 金澤道子
隙間風世を憂ひつつ酌み交はす 14_神奈川 高橋佳代
除夜の鐘わが胸の玻璃びりびりと 14_神奈川 三玉一郎
何か見し目のらんらんと凍死かな 14_神奈川 三玉一郎
容赦なき寒さに育つしづけさよ 14_神奈川 三玉一郎
初富士のどんと現る車窓かな 14_神奈川 山本孝予
魚沼の藁の匂ふや注連飾 14_神奈川 松井恭子
風邪声の色つぽいとや年用意 14_神奈川 松井恭子
冬晴の海照る影も移りゆく 14_神奈川 森川ヨシ子
バスタブに五体のばすや去年今年 14_神奈川 水篠けいこ
着ぶくれて第一走者を待ち受ける 14_神奈川 湯浅菊子
癌転移なくて赤飯ちやんちやんこ 20_長野 金田伸一
いや赤し若潮迎へ海汲みあげ 20_長野 柚木紀子
断絶へ省略へいざ注連飾り 20_長野 柚木紀子
白菜の味する白菜虫食ひの 21_岐阜 夏井通江
子どもらの帰つたあとの松の内 21_岐阜 夏井通江
メモを取る家事の段取り去年今年 21_岐阜 三好政子
@家事の段取りのメモを取るのでは?この場合、575に乗せられるとわからない句になる。
駒鳥の囀ずる時計年新た 22_静岡 池ヶ谷章吾
妻の愛獅子柚浮かぶ冬至の夜 23_愛知 稲垣雄二
風に揺れ明日の夢見る冬芽かな 23_愛知 青沼尾燈子
柚子ふたつ香り弾けるちひさき湯 23_愛知 青沼尾燈子
師走尽空の青さをほめ合ヘリ 23_愛知 服部紀子
小抽斗ありてあれこれ長火鉢 26_京都 佐々木まき
ふんぱつの鰊蕎麦なり年忘れ 26_京都 佐々木まき
年惜しむ恋のおみくじなんぞ引き 26_京都 氷室茉胡
思ひ出はあちこちに飛び賀状書く 26_京都 氷室茉胡
冬晴のいま光なるわが一機 27_大阪 安藤久美
@わかりにくい
ビロードの黒うつくしや冬帽子 27_大阪 内山薫
年越や伊丹の酒を買ひ来たる 27_大阪 内山薫
新年や昭和の我で生き通す 27_大阪 内山薫
芋は亥に姿を変へて歳の市 27_大阪 福田弘子
鍵善で女四人の年忘れ 27_大阪 木下洋子
@ご報告
腹立たば膨るる河豚よ我もまた 27_大阪 澤田美那子
命つぐ継ぐ児の笑みに年立てり 27_大阪 齊藤遼風
やさしさの沁み入るものに柚子湯かな 28_兵庫 加藤百合子
屈強のシェフ捌きて薬喰 28_兵庫 高宮修
@何を?
吟詠を諳んじている初湯かな 28_兵庫 重定克則
@吟詠と諳ず、重なる
膕に両手差し入れ日向ぼこ 28_兵庫 千堂富子
さつと来てすつと消へゆく冬日かな 29_奈良 喜田りえこ
餅つきや五柱の神御座しける 29_奈良 真知子眞知
人の世の騒ぎは知らず勇魚吼ゆ 33_岡山 齋藤嘉子
@大げさ。C。ほかは理屈。
初日さす吾の刺したる布巾にも 37_香川 丸亀葉七子
わがすべてさらしてしまふ嚔かな 38_愛媛 岡崎陽市
良き年の捨てるに惜しき古暦 38_愛媛 豊田喜久子
行く年の日矢はなやかに燧灘 39_高知 曽根崇
寂しいから風は枯木に絡みけり 42_長崎 百田直代
@枯木となりにけり
削り置く茶杓一本去年今年 44_大分 山本桃潤
真つ新な山河に年は降り立ちぬ 44_大分 山本桃潤
歓声や窓に風花乱反射 44_大分 竹内幸一