古志仙台ズーム句会(2021年3月28日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
けふは夫あすは父母訪ふ彼岸かな 及川由美子
高だかと詩を読むやうに囀れり 上村幸三
西行忌花ひとひらに始まりぬ 谷村和華子
いつのまに詩の神去りし朝寝かな 上村幸三
どら焼に恋をしてゐる桜餅 長谷川櫂
【入選】
チューリップひらがなだけの絵本読む 阿部けいこ
挨拶の前に消毒新社員 森 凛柚
春塵や三面鏡にさがす嘘 谷村和華子
舞ひ終へて親子にもどる彼岸獅子 武藤主明
大阿蘇の猛き目覚めや野火走る 川辺酸模
鳥となり蘇り来よ花の下 佐伯律子
葱坊主背筋をぴんと伸ばしけり 平尾 福
天竜に光のつぶて上り鮎 齋藤嘉子
欄間より淡き光の雛の間 阿部けいこ
音程の決まらぬ朝の初音かな 金谷 哲
・長谷川櫂選
【特選】
高だかと詩を読むやうに囀れり 上村幸三
悪臭の瓦礫の宙を蝶あそぶ 宮本みさ子
十年の長さそれぞれ草の餅 長谷川冬虹
弁当の飯に押しこむ目刺かな 上 俊一
いつのまに詩の神去りし朝寝かな 上村幸三
台所のバケツに卒業式の花 伊藤 寛
水温む歩いて渡る長き橋 阿部けいこ
鷹鳩に化す日に生れて米寿かな 石原夏生
原発忌まともに生きて十年目 宮本みさ子
【入選】
けふは夫あすは父母訪ふ彼岸かな 及川由美子
晴れやかに大きな顔の寝釈迦かな 上村幸三
舞ひ終へて親子にもどる彼岸獅子 武藤主明
マスクして素顔は知らず新社員 森 凛柚
きみとゐる今のまぶしや梨の花 川辺酸模
鳥よりも早起きをして畑を打つ 石原夏生
鷹山の節倹五加木飯かをる 佐藤和子
牡丹の芽一寸にして花の色 服部尚子
やどかりや富士を自慢の磯暮し 平尾 福
わが家に仔犬の来る日花ミモザ 平尾 福
ふらここで春の匂ひをかき混ぜん 辻奈央子
潮満ちて磯巾着の花盛り 平尾 福
三一一海岸捜す男あり 宮本みさ子
菜の花の苦さ噛みしめ旅寝かな 上 俊一
本籍と墓はふくしま彼岸寺 鈴木伊豆山
プレハブの校舎を閉ぢて卒業す 武藤主明
音程の決まらぬ朝の初音かな 金谷 哲
第二句座(席題:アネモネ 栄螺 地虫)
・長谷川冬虹選
【特選】
地虫出で猫に嗅がれてをりにけり 及川由美子
疫病に固く閉ぢたる栄螺かな 青沼尾燈子
地虫出づ活断層の上に住み 佐藤和子
浜の子等栄螺でカーブ投げて見せ 石原夏生
日を見たし月を見たしと地虫出づ 辻奈央子
【入選】
海神に角もらひたり大栄螺 石川桃瑪
浮世出て風をうかがふ地虫かな 川辺酸模
アネモネの好きな訳など語るまじ 佐伯律子
アネモネや親を叱るは哀しくて 齋藤嘉子
狭庭より妻の報告地虫出づ 伊藤 寛
・長谷川櫂選
【特選】
アネモネの式の半ばに開きけり 佐藤和子
疫病に固く閉ぢたる栄螺かな 青沼尾燈子
アネモネとぱつと目が合ひ求めけり 那珂侑子
アネモネや親を叱るは哀しくて 齋藤嘉子
アネモネを包むセロファン音立てて 及川由美子
【入選】
地虫出で猫に嗅がれてをりにけり 及川由美子
里山の育てたる海さざえ籠 佐藤和子
唯一の父の料理や焼さざえ 那珂侑子
海神に角もらひたり大栄螺 石川桃瑪
惜しげなく汁したたらせ栄螺焼く 石原夏生
日を見たし月を見たしと地虫出づ 辻奈央子
アネモネや突然柱時計鳴る 武藤主明