ネット投句ズームスクーリング(2020年11月3日)
第一句座
【特選】
棲みつきし鬼も粧ふ浅間かな 上田雅子
鬼のゐぬ山のさびしき紅葉かな 高角みつこ
屋根に降る木の実の音も軽井沢 上田雅子
おのが影見下ろし浅間冬に入る 安藤久美
落葉踏む音の中より詩歌生る 稲垣雄二
【入選】
観音のごとき一樹の紅葉あり 安藤久美
よろよろの冬蜂の後蟻が追ふ 稲垣雄二
頼りなき膝がたのみよ紅葉狩 臼杵政治
金色の紅葉の下に念仏寺 永井奈緒
秋時雨コンロのわきに醤油瓶 夏井通江
紅葉山背負ふ金剛仁王尊 岩井善子
水尾の柚をかをらす句集かな 喜田りえこ
焼きしめてさながら紅葉楽茶碗 喜田りえこ
熊楠の写本百巻大花野 玉置陽子
君のこともつと知りたき林檎かな 玉置陽子
きのふよりしんと立ちゐる紅葉かな 高角みつこ
こもり居の夫かひがひし松手入れ 佐々木まき
一晩に落花一面金木犀 山中紅萼
一峰は女神の乳房紅葉せり 西川遊歩
紅葉山だんだん怖くなりにけり 斉藤真知子
先をゆく女かしまし紅葉狩 斉藤真知子
散紅葉喜んでゐる大地かな 斉藤真知子
混沌の地球へ忽と返り花 川辺酸模
今日からは雪の頭巾よ浅間山 川辺酸模
秋天にごつと座したり浅間山 川辺酸模
いつからか冬瓜一つ日向かな 梅田恵美子
桜落葉撥ねて生徒らランニング 百田直代
この家の重しとなれや茎の石 北側松太
墨を磨る音さへ秋の深みかな 北側松太
颯爽と夜空を飛ぶはむささびか 木下洋子
雑木紅葉坂を登れば無言館 澤田美那子
枝の先日毎撓みて柚子は黄に 澤田美那子
第二句座(席題=末枯、芋煮会)
【特選】
末枯れてふたりの庭を楽しまん 安藤久美
芋煮会酒呑童子の大鍋ぞ 稲垣雄二
曇天に末枯れの径続きけり 喜田りえこ
末枯れてなほ紅のあざみかな 玉置陽子
とつぜんの雨も一興芋煮会 高角みつこ
大鍋に出羽の歓喜や芋煮会 西川遊歩
【入選】
芋煮会百年前の鍋据ゑて 安藤久美
芋入れて後は何でも芋煮会 稲垣雄二
芋煮会ひとり入れぬ川原かな 永井奈緒
芋ふうと吹いて孫へや芋煮会 越智淳子
末枯の狭庭かさこそ雀かな 越智淳子
足裏に石がごつごつ芋煮会 夏井通江
末枯やいつまで続く道普請 花井淳
やうやくに火の猛りたり芋煮会 玉置陽子
末枯や二人そろそろ飽きてをり 高角みつこ
酒きれて宴もたけなわ芋煮会 高橋真樹子
長老の自慢の芋の芋煮会 佐々木まき
あれこれと手出し口出し芋煮会 山中紅萼
末枯れし枝に烏や睥睨す 山中紅萼
芋煮会マスク付けたり外したり 上田雅子
大鍋の底が見えきて芋煮会 斉藤真知子
ほろ酔ひによき川風や芋煮会 斉藤真知子
末枯やこんなところに大き石 斉藤真知子
吹きさますどんぶり重し芋煮会 梅田恵美子
大小のお椀の並び芋煮会 芳賀匙子
末枯や潮の香強き最上川 北側松太
末枯や乳房あらはに弁財天 北側松太
末枯の山ふところに父祖の墓 木下洋子