古志広島ズーム句会(2020年10月4日)
・第一句座
【特選】
栗飯を炊いて一日を輝かす 石塚純子
四十年はめし指輪よ南瓜煮る 夏井通江
鈍けれど叩かれもせず秋の蠅 米山瑠衣
【入選】
ある時はここに戦や野紺菊 斉藤真知子
お月見の花をかかへて娘来る 菅谷和子
けふの風つれてはるかへ鷹渡る 百田直代
こうこうと声奮ひ立て渡り鳥 石塚純子
さざなみの秋の金魚となりにけり 飛岡光枝
スカイツリー一本の棒霧のなか 飛岡光枝
とりどりの花咲き競ふ秋一日 上松美智子
ふるさと恋しなみなみと新走 城山邦紀
ねむりゐる蔵書起こして良夜かな 菅谷和子
ふるさとの松はほろびぬ松茸も 神戸秀子
マスクしていや深くなる秋思かな 大平佳余子
やうやくに月も眠りにつきにけり 斉藤真知子
やがて来る雪より白し綿の花 菅谷和子
やはらかく無花果を裂く女かな 城山邦紀
菊入るる隙間もなしや菊人形 斉藤真知子
桐一葉けふはきのふとなりゆくも 城山邦紀
群青や秋の海行く白き船 伊藤靖子
よべ月のこぼしてゆきぬ花茗荷 大場梅子
行く秋や雲の如くに生きんとす 上松美智子
黒牛の舌すこやかに萩芒 神戸秀子
面倒や木賊のまとふ小倉縞 原京子
生きて世は我慢ばかりや鉦叩 大場梅子
青空に手をかざしては林檎もぐ 飛岡光枝
石二つ渡して橋や曼珠沙華 長井亜紀
祖母つくるどん栗餡の団子ありし 夏井通江
秋空は千年後の青さかな 夏井通江
爽やかに床屋出てくる山男 神戸秀子
団子汁よべの月見の団子かな 大平佳余子
萩日和働いてゐる竹箒 矢野京子
朝霧やナイチンゲール朗々と 林弘美
太陽のひかりの透ける梨を剥く 矢野京子
日暮るれば寝るほかはなき野分かな 米山瑠衣
白壁を走つているよ秋の風 百田直代
父擂りし鉢一杯のとろろ汁 伊藤靖子
日も月も武蔵野はいま大花野 大平佳余子
房総はたくましき腕鳥渡る 石塚純子
癒えて袖とほすうれしさ秋袷 丸亀葉菜子
梨の棚透けて太陽遊びをり 飛岡光枝
一管の竹の調べや竹の春 大平佳余子
何処をだう歩いてきたか牛膝 斉藤真知子
海底の岩も逆立つ野分かな 菅谷和子
・第二句座(席題=秋刀魚、花野)
【特選】
九十九里波の鍛えし秋刀魚かな 石塚純子
黒焦げのさんまの皮を愛しみけり 城山邦紀
龍の棲む暗き沼あり大花野 飛岡光枝
【入選】
太陽と月すれ違ふ大花野 菅谷和子
そよ風の季節になりぬさんま焼く 夏井通江
花野ゆくひとりとなつてしまひけり 斉藤真知子
花野行くかそけきものを摘みながら 石塚純子
花野道狸通れば兎も来 米山瑠衣
句集手に山田洋と花野ゆく 大場梅子
天が下八頭身の秋刀魚焼く 菅谷和子
焼いてなほ涼しき貌の秋刀魚かな 神戸秀子
秋刀魚焼く大統領選かしましく 斉藤真知子
大花野これより先は越のくに 長井亜紀
大花野骨をくはへて犬走る 飛岡光枝
日暮れれば花野たちまち消えにけり ストーン睦美
摩周湖の奈落へなだれ大花野 河本秀也