古志鎌倉ズーム句会(2020年7月12日)
第一句座
・藤英樹選
【特選】
唐黍を喰めばみづはの乙女かな 尚子
白黒をつけぬアジアの昼寝かな 美奈子
生き死にも孤独もあぶく金魚かな 遊歩
蟻の顔不敵なりけり楸邨忌 かよ
【入選】
むきだしのあの夏の日のラムネかな 美津子
晒井やわが無意識の森深く 遊歩
荒梅雨や原初に還る泥山河 宣行
軽井沢村の谷々百合の花 淳子
沖縄忌垂れし乳房を汗つたふ 光枝
鮎寿司やはるか囃子の近づき来 靖彦
真実といふ嘘あまた夜光虫 美奈子
自由こそ人間の糧桃啜る りえこ
花氷コロナウイルス閉ぢ込めよ 宣行
・長谷川櫂選
【特選】
唐黍を喰めばみづはの乙女かな 尚子
晒井やわが無意識の森深く 遊歩
指先の記憶たしかにレース編む 道子
夏の街烏のやうなマスクして 麒麟
沖縄忌垂れし乳房を汗つたふ 光枝
この島は龍の眼や泉湧く 光枝
白玉にへその大小茹であがる はるみ
東京のまぼろしの夏泥鰌鍋 光枝
蟻の顔不敵なりけり楸邨忌 かよ
【入選】
暴れ梅雨川の嘆きの激しさよ 美那子
むきだしのあの夏の日のラムネかな 美津子
着古してこその甚平河内木綿 美那子
荒梅雨やはじめに還る泥山河 宣行
白黒をつけずアジアの昼寝かな 美奈子
茄子漬や雲うつくしき雨後の空 美津子
軽井沢村の谷々百合揺るる 淳子
冷し酒飲みくらべゐる切子かな 洋子
ゆさゆさと七夕竹は立ち上がる 智子
黒雲のなかに青空昼寝覚 玲子
茫然や大地を悼む大夕焼 美津子
青梅雨やひとりで料るひとり分 美那子
退却てふ選択もあり月涼し りえこ
その後の話聞きゐる鱧の皮 洋子
触れ合はずさびしきことよ水海月 美津子
早食ひと言はれて土用鰻食ふ ひろし
空の一角ガクンと落ちて昼寝覚 玲子
のうぜんの花また花や濁流に 英樹
でこぼこのこども七人西瓜食ぶ かよ
自由こそ人間の糧桃熟るる りえこ
決壊や螢の火さへ呑みゆくか 千方
滴りの音また一つ胸の奥 順子
第二句座(席題=梯梧、虹)
・藤英樹選
【特選】
流されて跡かたも無き虹の村 光枝
火の記憶消ゆることなし海紅豆 宣行
海風によろこび踊る梯梧かな 淳子
乙女さぶ梯梧の花のくちびるよ 尚子
【入選】
梯梧散るがまの遺骨は親子かな 洋子
虹立ちてこのひと時を共にせん 益美
あの虹は我を貫きゐるらしき 櫂
虹立ちて消えてすなはちこの一句 美津子
江の島の海の音きく花梯梧 智子
・長谷川櫂選
【特選】
流されて跡かたも無き虹の村 光枝
虹立ちてこのひと時を共にせん 益美
敷き詰めて魂眠らせん花梯梧 りえこ
豪雨また虹の立つ間もなかりけり 千方
堂々と人老ゆる島梯梧咲く 美奈子
島に着けば島の時間よ花梯梧 道子
何も見ず何も語らず梯梧咲く 光枝
大虹のあつけらかんと消えて無し 宣行
乙女さぶ梯梧の花のくちびるよ 尚子
花梯梧つぎつぎ嵐呼ぶなかれ 千方
懐かしき元気食堂花でいご 麒麟
【入選】
花梯梧珊瑚の海を草の舟 宣行
梯梧散るがまの遺骨は親子かな 洋子
虹立ちて消えてすなはちこの一句 美津子
暗闇に梯梧の花の落ちつづく 光枝
子どもらは虹のもとより帰りくる 智子
島中を真つ赤に染めて花梯梧 智子
花梯梧うたと酒さへあればよく 千方
火の記憶消ゆることなし海紅豆 宣行
基地の町芝生あをあを梯梧かな 洋子
校庭は広々として虹の下 益美
海紅豆こぼれて君の黒髪に 英樹
海風によろこび踊る梯梧かな 淳子
梯梧とは血の花ならむ琉球弧 ひろし
紅型に見よや綾なす梯梧かな 淳子
太陽と虹の記憶や小豆島 麒麟
唐桟の縞織る路地や虹の朝 遊歩
夫眠るあたりにかかり虹二重 道子