季語と歳時記の会(きごさい)の仕事の一つに「山桜100万本植樹計画」があります。
第1回目は2008年5月、新潟県加茂市の雙璧寺に120本を植樹しました。二回目は翌年2009年10月、韓国仁川市にある仁荷(インハ)大学校キャンパスに3本を植樹しました。
仁荷大学の王淑英先生からその山桜の写真が送られてきましたので掲載いたします。今日(4/14)の朝撮った写真です。クリックすると大きくなります。
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ネット投句(2024年3月15日)特選
春泥を独り言ちつつトルストイ | 埼玉 | 佐藤森恵 |
地に落ちて椿の骸花のまま | 愛知 | 稲垣雄二 |
失せしものに肌の弾力蕨餅 | 京都 | 氷室茉胡 |
春寒のこころに今も難破船 | 奈良 | きだりえこ |
はくれんは白を解きて花となる | 奈良 | きだりえこ |
散り敷きてはくれん白のただなかに | 奈良 | きだりえこ |
いつまでも家に居る娘と雛祭 | 奈良 | 中野美津子 |
過ぎて知る運や不運や草の餅 | 大分 | 竹中南行 |
ネット投句(2024年2月29日)特選
容赦なく記憶白濁ゆきげかわ | 北海道 | 芳賀匙子 |
蝶が来る寄り道したりキスしたり | 千葉 | 木地隆 |
春惜しむ駿河台なる老ホテル | 東京 | 櫻井滋 |
能登の雛圧死焼死の別れあり | 富山 | 酒井きよみ |
初蝶は心ふるはせ大空へ | 岐阜 | 梅田恵美子 |
弟子にユダ居らず寝釈迦となり給ふ | 京都 | 氷室茉胡 |
五濁悪世おんひらひらと春の風 | 兵庫 | 加藤百合子 |
未来に僕はいますか明日も雪 | 兵庫 | 魚返みりん |
冴え返り洗濯ばさみ砕け散る | 奈良 | 中野美津子 |
原発に囲まれ眠る原発忌 | 奈良 | 中野美津子 |
この道や遥かなれども青き踏む | 広島 | 森恵美子 |
古志広島ズーム句会(2024年4月7日)
第一句座 | |
・矢野京子選 | |
【特選】 | |
雨降れば雨の桜を観に行かん | 原京子 |
一切は花の屏風の中にあり | 長谷川櫂 |
花ふぶきはらはら時をこぼしけり | 夏井通江 |
鬼太鼓(おんでこ)のどんどこ佐渡の桜かな | 大場梅子 |
鯖鮓の棒一本の花ぐもり | 長谷川櫂 |
【入選】 | |
ランドセルに手と足が生え一年生 | 石塚純子 |
誰が植ゑしこの一本の山桜 | 斉藤真知子 |
迂闊にも鬼に捕まる花の酒 | ももたなおよ |
西郷の陣屋のあとか諸葛菜 | 今村榾火 |
妖のものも行き交ふ夕桜 | 瑞木綾乃 |
気分よく渡る石橋杜若 | 加藤裕子 |
お茶漬に昆布ひとひら花の昼 | 神戸秀子 |
金泥をまとひて帰る鶴の群れ | 菅谷和子 |
土もたげアルプスまぶしつくしんぼ | 石塚純子 |
あ | |
・長谷川櫂選 | |
【特選】 | |
春攪乱子は白昼の手術台 | 今村榾火 |
夕さればちちはは在す花筵 | 矢田民也 |
お茶漬に昆布ひとひら花の昼 | 神戸秀子 |
あの川も一夜二夜と花筏 | 大平佳余子 |
春愁や揃ひのものは欠けやすく | 矢田民也 |
【入選】 | |
ふり向けばすでに母校よ卒業す | 神戸秀子 |
頁めくる指先春の愁ひかな | 安藤文 |
共に生き五十二年の桜かな | 大場梅子 |
如意輪寺ながめつ熱き桜湯を | 大平佳余子 |
花筏あはきひかりをのせ流る | 矢田民也 |
したたかに花に溺れん花の酒 | 矢野京子 |
嫁菜飯握つて夫を誘ひ出す | 神戸秀子 |
鬼太鼓(おんでこ)のどんどこ佐渡の桜かな | 大場梅子 |
金泥をまとひて帰る鶴の群れ | 菅谷和子 |
野の梅を手折りてかへる利休の忌 | 菅谷和子 |
花便り一日一日開きゆく | 上松美智子 |
蝌蚪いまだ蛙になると知らざりき | 斉藤真知子 |
あ | |
第二句座(席題:桜鯛、蝶生る) | |
・矢野京子選 | |
【特選】 | |
恋文が天から降りて蝶生まる | ストーン睦美 |
桜鯛漁師のうたふ祝ひ唄 | 高橋真樹子 |
捌きをる腸ぬくし桜鯛 | 斉藤真知子 |
【入選】 | |
母癒えて一箸つける桜鯛 | 菅谷和子 |
桜鯛青き涙をこぼしけり | 岡村美沙子 |
身も心も花に染まりぬ桜鯛 | 長谷川櫂 |
蝶生れてやすみやすみにとぶことよ | 菅谷和子 |
笑ひだすキャベツ畑や蝶生る | 大平佳余子 |
瀬戸内の煌めきまとひ桜鯛 | 高橋真樹子 |
あ | |
・長谷川櫂選 | |
【特選】 | |
母癒えて一箸つける桜鯛 | 菅谷和子 |
うつくしき御目いただく桜鯛 | 金田伸一 |
桜鯛長生き嘆くことなかれ | 矢野京子 |
笑ひだすキャベツ畑や蝶生る | 大平佳余子 |
捌きをる腸ぬくし桜鯛 | 斉藤真知子 |
【入選】 | |
桜鯛うろこまことに花のごと | 夏井通江 |
桜鯛子鯛孫鯛とこしなへ | 矢野京子 |
蝶生まれ沈没船の帆を目指す | 岡村美沙子 |
蝶生れてやすみやすみにとぶことよ | 菅谷和子 |
睨まれて包丁止まる桜鯛 | 斉藤真知子 |
いっさいの光纏ひて蝶生る | ももたなおよ |
わが里の花の遅さや桜鯛 | 金田伸一 |
蝶生れ直ちに宙に羽根開く | 瑞木綾乃 |
瀬戸内の煌めきまとひ桜鯛 | 高橋真樹子 |
桜鯛もらつてさばく一大事 | 夏井通江 |
花の吉野句会(2024年3月30日、31日)
3月30日
きだりえこ選 | |
【特選】 | |
法螺貝は模様で選ぶ花の山 | 木下洋子 |
へうたんをぬけ出し花の吉野山 | 村松二本 |
満開の花の句座こそ一大事 | 田村史生 |
たれか捨てたれか拾ひぬ花の杖 | 長谷川櫂 |
花一分俳句ごくらく吉野山 | 川村杳平 |
【入選】 | |
ととのへて桜花待つ吉野杉 | 花井 淳 |
明日ひらく脈打つ花の蕾かな | 西川遊歩 |
むずむずとこの世へ生るる袋角 | 村松二本 |
をろをろと花を探すや吉野山 | 飛岡光枝 |
み吉野に焦がれて今宵花の句座 | 葛西美津子 |
せりせりと虚空を濯ぐ桜かな | 玉置陽子 |
それでもなほ人を見捨てず桜かな | 玉置陽子 |
村松二本選 | |
【特選】 | |
をろをろと花を探すや吉野山 | 飛岡光枝 |
せりせりと虚空を濯ぐ桜かな | 玉置陽子 |
花の塵積もりて吉野山歳時記 | 飛岡光枝 |
花一枝腹の裂けたる備前壺 | 飛岡光枝 |
今朝息を整へてゐるさくらかな | きだりえこ |
【入選】 | |
かをらせて永遠に幸の桜かな | きだりえこ |
初花やこの木の気息確かむる | 谷村和華子 |
昼酒や花の蕾の天女魚焼く | 稲垣雄二 |
巻き上げし屏風ひらけば花の満つ | 谷村和華子 |
吉野雛杉の柾目の深々と | 飛岡光枝 |
思ひ出はかの日のままや花の宿 | 木下洋子 |
足踏みの花追ひ越して金峯山 | 田村史生 |
宮滝へ水が水押す桜かな | 葛西美津子 |
明日開く莟の声や吉野山 | 高橋 慧 |
満開の花の句座こそ一大事 | 田村史生 |
雲白し花なほ白し吉野山 | 玉置陽子 |
あ | |
長谷川櫂選 | |
【特選】 | |
花冷えやささらで洗ふ鉄の鍋 | 西川遊歩 |
花を呼ぶ法螺よ太鼓よ蔵王堂 | 田村史生 |
唇に大吟醸や花ひらく | 村松二本 |
花一輪静御前の桜かな | 高橋 慧 |
花の塵積もりて吉野山歳時記 | 飛岡光枝 |
笊に歌貼つて迎へる花の宿 | 稲垣雄二 |
花一枝腹の裂けたる備前壺 | 飛岡光枝 |
陀羅尼助頼みし人も花の塵 | 飛岡光枝 |
花の宿一つ朽ちゆく花の中 | 稲垣雄二 |
花はまだでござりますると蟇 | 田村史生 |
柿の葉鮓包みて花の鯛一片 | 稲垣雄二 |
春の宵木の香を競ふ製材所 | 田村史生 |
花びらで繕ふ障子花の宿 | 宮本みさ子 |
花は今日白の奈落といふべしや | きだりえこ |
【入選】 | |
吉野山枡は桧や花の酒 | 稲垣雄二 |
さびさびと夕鶯や吉野山 | 飛岡光枝 |
み吉野の花の句会よ二十年 | 木下洋子 |
み吉野や白く儚き桜菓子 | 木下洋子 |
象川の水まだ冷た初桜 | 藤 英樹 |
法螺貝は模様で選ぶ花の山 | 木下洋子 |
花に酔ひ花の句に酔ふ一夜かな | 三玉一郎 |
宮滝の味噌を力に木の芽和 | きだりえこ |
うたた寝の花を醒まさむ鳥の恋 | 玉置陽子 |
思い出はかの日のままや花の宿 | 木下洋子 |
初花や今年の笠の出来いかに | 村松二本 |
山国や子守山守桜守 | 西川遊歩 |
明日開く莟の声や吉野山 | 高橋 慧 |
初つばめ花の奈落をすいすいと | 飛岡光枝 |
雲白し花なほ白し吉野山 | 玉置陽子 |
奈良漬に酔うて猩々花の宴 | 飛岡光枝 |
あ | |
31日 | |
きだりえこ選 | |
【特選】 | |
よべ莟なりしがけさは花の塵 | 長谷川櫂 |
南無権現われらもいつか吉野雛 | 長谷川櫂 |
それぞれの花びらを持て朝句会 | 花井 淳 |
また一人花の渚に座りけり | 飛岡光枝 |
空を這ひ花のびやかに枝垂れをり | 西川遊歩 |
【入選】 | |
昨日来し道はもうない花の句座 | 三玉一郎 |
杉箸の軽きを土産花の旅 | 稲垣雄二 |
熊の皮虫干ししをり初桜 | 藤 英樹 |
けふのこの句座も終れば花の塵 | 三玉一郎 |
今朝ほこと開く音する山桜 | ももたなおよ |
若鮎の干物ひらけば顔ふたつ | 宮本みさ子 |
花暮れて山のいづこに忘れ杖 | 長谷川櫂 |
ともしびに眠る白蛾や花の精 | 長谷川櫂 |
煮返して花の真闇の子鮎かな | 玉置陽子 |
一草の萌え立つ吉野宮の跡 | 西川遊歩 |
風の形いくつ変へるや花吹雪 | 越智淳子 |
あ | |
村松二本 | |
【特選】 | |
あをによし奈良の金魚の水温む | 飛岡光枝 |
佐保姫は花びらの湯をあふれしめ | 玉置陽子 |
南無権現われらもいつか吉野雛 | 長谷川櫂 |
花浴びて我も木花咲耶姫 | 玉置陽子 |
【入選】 | |
けふのこの句座も終れば花の塵 | 三玉一郎 |
目鼻なき木端仏も花のいろ | 玉置陽子 |
ともしびに眠る白蛾や花の精 | 長谷川櫂 |
吉野雛花の屏風にふぶきけり | 飛岡光枝 |
葛晒す桶も古りたり山桜 | 葛西美津子 |
鶯や天龍の歌聞かせてよ | きだりえこ |
あ | |
長谷川櫂 | |
【特選】 | |
佐保姫の鼾が揺らす吉野建 | 稲垣雄二 |
花浴びて我も木花咲耶姫 | 玉置陽子 |
葛晒す樽も古りたり山桜 | 葛西美津子 |
投げ入れて大甕に花ふぶきけり | 葛西美津子 |
黒髪を花の枕に沈めけり | 飛岡光枝 |
【入選】 | |
墨の香や花の句一句二十人 | ももたなおよ |
酢で締めて花にくもるや鯖一片 | 玉置陽子 |
春愁や晒して白き桜菓子 | 飛岡光枝 |
けふのこの句座も終れば花の塵 | 三玉一郎 |
空をゆく役行者か花ふぶき | 飛岡光枝 |
墨香る花の百句や吉野紙 | 飛岡光枝 |
み吉野の思へ出ひらく桜漬 | 木下洋子 |
咲きそめし幸の桜十二歳 | 木下洋子 |
のどけしや鬼が筆とる吉野紙 | きだりえこ |
奥千本かの日のままに花の杖 | 木下洋子 |
朝桜吉野の町の静けさよ | 上松美智子 |
一晩で一分開きぬ山桜 | 木下洋子 |
賽銭のごとんと落つる遅日かな | 村松二本 |
ネット投句(2024年2月15日)特選
あかぎれは砲弾の傷より痛し | 東京 | 岡田定 |
浮きが揺れ影また揺れて長閑かな | 神奈川 | 臼杵政治 |
鬼やらひ能登の鬼ども生きとるか | 富山 | 酒井きよみ |
さてもなほ火を持たせんか春暖炉 | 長野 | 金田伸一 |
幾筋かは恋の通ひ路田螺径 | 京都 | 氷室茉胡 |
水仙のその雪の香を手向けけり | 大阪 | 安藤久美 |
北陸の女の指に水温む | 奈良 | 中野美津子 |
痛苦とは生あるあかし春時雨 | 岡山 | 北村和枝 |
百の春死ぬることさへ母忘る | 長崎 | 川辺酸模 |
春大根提げて和尚は歩行禅 | 大分 | 山本桃潤 |
古志仙台ズーム句会(2024年3月24日)
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
揚雲雀むかし多賀城ありし跡 平尾 福
呆けたる我を乗せゆく春の雲 上村幸三
鳴くことも叶はぬ国へ雁帰る 武藤主明
のびのびと産土遊べ初燕 川辺酸模
【入選】
椴松や親指ほどの芽吹きあり 臼杵政治
百歳になつても三月三日かな 那珂侑子
ひた走る数千キロや西行忌 川村杳平
霾るや僧玄奘の道難儀 石川桃瑪
窯開けのその朝ひとつ初桜 齋藤嘉子
白木蓮咲き満ち空に来迎図 齋藤嘉子
春と春ぶつかり合うて春一番 三玉一郎
蛇一匹わけ知り顔に穴を出づ 服部尚子
長谷川櫂選(推敲例)
【特々選】
春愁やつつけば閉ざす貝の口 佐伯律子
生きて拝む東日本大震災忌 宮本みさ子
【特選】
避難所のホール響す卒業歌 川辺酸模
一艘の舳先がひらく水の春 上村幸三
泥の田に腹ごしらへて鳥帰る 及川由美子
【入選】
被災せし町の傍ら苗木市 川辺酸模
春彼岸吹雪の墓へ詣でけり 川村杳平
ぬくもりの母の手放し入学す 川辺酸模
冷凍のぼたもち供へ春彼岸 阿部けいこ
春風の翼よ赤子歩き初む 齋藤嘉子
白木蓮咲き満ち空は来迎図 齋藤嘉子
みちのくの嘆きつづける桜かな 青沼尾燈子
揚ひばり隣のひばり茶化しをり 佐伯律子
第二句座(席題:しやぼん玉、初蝶、蓬)
長谷川冬虹選
【特選】
初蝶とぶ野原はありやガザの地に 服部尚子
吾子のゐるかの世へ飛ばすしやぼん玉 齋藤嘉子
太陽を閉じ込めてゐるシャボン玉 齋藤嘉子
バンクシーガザに描けよしやぼん玉 川辺酸模
【入選】
紋白蝶蕊深く翅ふるへをり 谷村和華子
さ迷へる地球は青きしやぼん玉 武藤主明
初蝶や半世紀過ぐ初任の地 川村杳平
初蝶のたれか探してゐるごとく 青沼尾燈子
セシウムやわが田畑は蓬生に 齋藤嘉子
病む子へと伯母が得意の蓬餅 及川由美子
きかん坊の兄追ひかける石鹸玉 佐伯律子
重たくてゆつくり回る石鹸玉 上村幸三
タワマンの上から一つシャボン玉 服部尚子
長谷川櫂選
【特選】
重たくてゆつくり回る石鹸玉 上村幸三
【入選】
シャボン玉陽気な風がやつて来る 平尾 福
初蝶のたれか探してゐるごとく 青沼尾燈子
初蝶の絡まりながら消えにけり 武藤主明
初蝶は風塵にして自在なる 及川由美子
初蝶やつれなき風に右ひだり 川辺酸模
古志金沢ズーム句会(2024年3月17日)
第一句座
飴山忌または当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
座礁せし船のごとくに春来たり 長谷川櫂
草餅はどつしりとあり師に師あり 間宮伸子
触れたきはことばの肌飴山忌 松川まさみ
鬼の腕ぬつとあらはる霾ぐもり 泉早苗
鎮魂のサイレン響く春の海 梅田恵美子
春の海打ち寄せ「四季」は七千回 近藤沙羅
早蕨となりことば立つ飴山忌 稲垣雄二
しんしんと麹生きをり飴山忌 安藤久美
酒蔵へ汽車で分け入る飴山忌 藤倉桂
大いなる翼かくせる春の月 趙栄順
白山の真さをに光る春の雪 宮田勝
飴山忌がれきの中の漆桶 泉早苗
【入選】
路地を行く日和の声や花ミモザ 藤倉桂
飴山忌四高雑誌にその名読む 清水薫
京に来て京の風花知りにけり 密田妖子
實忌のその日小松に新幹線 清水薫
健やかなまなこ育てむ飴山忌 川上あきこ
白山の風もあそべや雪柳 安藤久美
飴山忌展宏魚目語らふか 花井淳
蛇出でよ草もととのふ大地あり 橋詰育子
飴山忌国原の春動き出す 酒井きよみ
白山の雪の精霊花麹 安藤久美
何もかも忘れし紙の雛かな 長谷川櫂
おりいぶは太陽が好き飴山忌 田中紫春
能登いまだかすみの中をさまよへる 酒井きよみ
真つ直ぐに言葉重ねむ飴山忌 藤倉桂
錯乱のこの世にありて草の餅 松川まさみ
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
椿から椿へ風の鵯は 近藤沙羅
種芋を日にあててをり實の忌 酒井きよみ
桜餅墓前に二つ實の忌 清水薫
【入選】
實忌の木の芽雨聴く床の中 玉置陽子
餡かけの白山とうふ飴山忌 泉早苗
夕空に白山しんと飴山忌 越智淳子
しんしんと麹生きをり飴山忌 安藤久美
おりいぶは太陽が好き飴山忌 田中紫春
大き目の子雀あそぶ實の忌 飛岡光枝
もろ蓋に眠る麹や飴山忌 玉置陽子
飴山忌がれきの中の漆桶 泉早苗
第二句座
席題:「春の月」、「蜂」
・鬼川こまち選
【特選】
人の世の後ろにそつと春の月 梅田恵美子
春の月地上は未だ殺し合ひ 山本桃潤
俳諧のみちのはるけさ春の月 宮田勝
高空から一片の花熊ん蜂 酒井きよみ
蜜蜂を招き狂はす花ミモザ 藤倉桂
遥かなる師を思ひけり春の月 橋詰育子
青年の耳朶の紅潮春の月 松川まさみ
子のお産手伝ひ明けて春の月 間宮伸子
【入選】
蜜蜂や花粉黄金に馥郁と 越智淳子
春月のぽつてり甘き雫かな 松川まさみ
避難所から一歩寄り添ふ春の月 花井淳
まきさんの忌日大きな春の月 趙栄順
摩天楼の街を濡らして春の月 山本桃潤
花もぐる逆さの尻や熊ん蜂 梅田恵美子
すずめ蜂無抵抗の吾を見逃せり 密田 妖子
春の月果実のごとく香るかな 趙栄順
蜂の子を食つて鬼舞ふ奥三河 稲垣雄二
橄欖の蜜蜂の巣を盗みけり 長谷川櫂
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
はんざきの卵木箱に春の月 藤倉桂
春月やがれきに混じる鬼の腕 安藤久美
夕暮れのまだ花めぐる熊ん蜂 酒井きよみ
【入選】
蜂の巣のひつそりとして怖ろしき 趙栄順
酒蔵を守る蜂の巣大いなる 飛岡光枝
まきさんの忌日大きな春の月 趙栄順
古志広島ズーム句会(2024年3月2日)
第一句座 | |
・矢野京子選 | |
【特選】 | |
真つ先に子供が見つけ菫かな | 斉藤真知子 |
(亜紀さんは菫となりて) | |
春光の怒濤崩れてまた怒濤 | 長谷川櫂 |
満開の後はうやむや梅の花 | 石塚純子 |
春菊の芽のほろ苦し實の忌 | 駒木幹正 |
五体投地の音痛きまで春の闇 | 石塚純子 |
【入選】 | |
鳥雲に書きて驚く我が齢 | 斉藤真知子 |
もどり来よ古巣はいまだそのままに | 大場梅子 |
麗しのボストンの春征爾逝く | 大場梅子 |
もういない共に朝寝をしたき人 | 大平佳余子 |
柔らかき一番摘みの菜花かな | 上松美智子 |
春の池大鯉ゆるりと遅れ来る | 駒木幹正 |
春の雪火入れ見にゆく男かな | 高橋真樹子 |
地に深く苗木一本卒業す | 石塚純子 |
年とらぬ雛飾りて老いにけり | 矢田民也 |
独り身も楽しきものぞ雛祭 | 安藤文 |
さきがけの菜花コップに利休の忌 | 神戸秀子 |
健啖家子規のたのしみ桜もち | 大場梅子 |
広重のやうに傘むけ春の雨 | 瑞木綾乃 |
北窓開くわれ八十歳の世やいかに | 石塚純子 |
青海苔掻く尻の向かふに太平洋 | 駒木幹正 |
生涯の友達を得て卒業す | 安藤文 |
若き日の朝寝が恋し雀来よ | 菅谷和子 |
春雨や心もとなき二次試験 | 林弘美 |
管理人燕の古巣捨てないで | 菅谷和子 |
母留守の水屋にありし椿餅 | 神戸秀子 |
海原の嘆きを掬ひ若布刈る | 城山邦紀 |
あ | |
・長谷川櫂選 | |
【特選】 | |
湧水や青麦畑も工業地 | 加藤裕子 |
妻へ注ぐ娘のくれし桃の酒 | 今村榾火 |
泥雛欠け雛死雛能登の春 | 矢田民也 |
あ | |
【入選】 | |
あけくれに薬を数ふ余寒かな | 矢田民也 |
その昔空爆ありきげんげ畑 | 今村榾火 |
地に深く苗木一本卒業す | 石塚純子 |
独り身も楽しきものぞ雛祭 | 安藤文 |
青海苔掻く尻の向かふに太平洋 | 駒木幹正 |
春菊の芽のほろ苦し實の忌 | 駒木幹正 |
あ | |
第二句座(席題:白魚、黄砂) | |
・矢野京子選 | |
【特選】 | |
アルプスを盾に物干すよなぐもり | 金田伸一 |
丼に花ふぶくごと白魚かな | 夏井通江 |
百歳の白魚の指包まるる | 瑞木綾乃 |
【入選】 | |
霾やチンタオ生まれの母眠る | ももたなおよ |
黄砂来る関門海峡ひとまたぎ | 斉藤真知子 |
母の忌の日輪ぼうと霾れり | 神戸秀子 |
霾や原爆ドームに万客に | 瑞木綾乃 |
白魚の一尾するりと網をぬけ | 斉藤真知子 |
あ | |
・長谷川櫂選 | |
【特選】 | |
さつきまで泳いでゐしを白魚汁 | 矢野京子 |
つちふるや桜いよいよ枝垂れけり | 岡村美沙子 |
丼に花ふぶくごと白魚かな | 夏井通江 |
【入選】 | |
アルプスを盾に物干すよなぐもり | 金田伸一 |
母の忌の湯気ほのぼのと白魚椀 | 神戸秀子 |
霾るやぬつと出で来し馬の顔 | 原京子 |
白魚の目のつぶつぶとかきあげに | 大平佳余子 |
大牟田の煙突高し蒙古風 | 今村榾火 |
母の忌の日輪ぼうと霾れり | 神戸秀子 |
舌にのせ生白魚の味微か | 上松美智子 |
白魚の下に白魚透けゐたり | 矢田民也 |
太陽は黄砂の向かふ北京の春 | ストーン睦美 |
蒙古風只一本の道続く | 加藤裕子 |
「太宰府全国俳句大会」3月13日投句締め切り
◎募集句
投 句 当季雑詠三句一組(何組でも可)
応募料 一組三句
千円左記の大会募集句応募用紙とともに、小為替を同封又は現金書留。
※入選句結果を希望の方は八十四円切手二枚同封のこと。
応募締切 令和六年三月十三日(水)当日消印有効
表 彰 太宰府天満宮表彰、その他
応募先 〒830-1212 北野郵便局留
「第一回太宰府天満宮奉納全国俳句大会」募集句係 上瀧玲子行
入選発表 大会当日
選 者 長谷川擢(朝日俳壇選者)、井上泰至(日本伝統俳句協会副会長)、小澤 實(「澤」主宰)、川越歌澄(第一回北斗賞受賞)
◎俳句大会
日 時 令和六年五月十八日(土)九時より受付
会 場 太宰府天満宮 余香殿(御本殿左) 太宰府市宰府四丁目七番一号
交 通 西鉄太宰府駅より徒歩五分 ※車でお越しの方は周辺駐車場をご利用ください。
吟行地 太宰府天満宮及びその周辺(観世音寺・大宰府政庁跡等)
参加料 1,000円(当日受付にて)
投句締切 十二時三十分(吟行句及び当季雑詠 三句)
開 会 十三時
選 者 金子清黙 木下万沙羅 月渓花代 中原南大喜 永田寿美香 味酒安則 (五十音順)
第一部 十一時~十二時(余香殿)某調講演 前権官司 味酒安則氏(当家四十二代)「なぜ、梅は飛んだか 菅原道真公の詩歌の世界」
第二部 十三時~十六時( 予定)
俳句大会